軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生い立ちを聞かされました

魔物を討伐した翌日からミッシェルさんの稽古がまたグレードアップしました。

何故だ?

そして爺さんとメリダばぁちゃんの様子もおかしい。なんというか微妙な空気が漂っている。

何故だ?

そんなよく分からない1日を過ごした後、付与魔法を覚えた後に造った風呂から上がった時に爺さんから話し掛けられた。

「シン、ちょっといいかのう」

「何? じいちゃん」

「ちょっと話があるんじゃ」

「ふーん」

ちなみにばぁちゃんとミッシェルさんはもう帰った。何かいつもいるみたいだけど普段は昨日みたいに泊まる事は殆ど無いし、別に毎日来てる訳でもない。

そんな爺さんと二人きりの状況で話を始めた。

「実はのう、シンの生い立ちについての話なんじゃ」

「生い立ち?」

あれか、俺を拾った時の話をしてくれるんだろうか?

「実はのう、お前はワシの本当の孫ではないのじゃ」

「え?」

……ゴメン、それ知ってた……。

「スマンのう……今まで黙っておって」

「いや……それは別にいいけど……」

とりあえず、ここは話を合わせとこう。

「それで……本当の孫じゃ無いなら俺はどうしてじいちゃんと暮らしてるの?」

「あれは九年前の事じゃ。ここから近い町へ買い出しに行く為にたまたま、そうたまたま街道を歩いておったのじゃ。そうして歩いていると雨が降ってきての、近くにあった森で雨宿りをする為に少し街道を逸れたんじゃ」

「雨……」

そういえば、あの時も雨降ってたっけ。

「そしたらの……先に来ておったと思われる馬車があったんじゃが……どうやら魔物に襲われたらしくての……そりゃあ酷い有り様じゃった」

魔物……襲われた馬車……何となく想像が付いた。

「辺りは壊された馬車の残骸と……その……食い散らかされた人の死体が散乱しておっての……これは生きている者はおるまいと、せめて弔ってやろうと思って現場に近付いたんじゃ。そうしたら……散らかった馬車の残骸の間から赤子の泣き声が聞こえての」

そこまで喋ってから爺さんはじっと俺を見詰めた。

「ワシは慌ててその声の主を探した。そして……見つけた赤子が」

「それが俺……」

「そうじゃ。恐らく馬車が襲われた時に衝撃で気を失ったのじゃろう。そして降っていた雨で体温が下がって仮死状態になったのではないかと思う。じゃからお前は魔物に気付かれずに生き残ったのじゃろう」

そうか、魔物に襲われてなんで俺だけ生き残ったのか不思議に思ったけど仮死状態に陥ったと。多分その余りのストレスから前世の記憶が甦った。それを切っ掛けにして仮死状態から復帰したのかな?

「お前が何故仮死状態から復帰したのかは定かでは無い。しかしワシが近寄ったタイミングでお前は息を吹き返した。ワシはそれを天命じゃと思うてのう、襲われた者達を弔った後、お前を家に連れて帰ったのじゃよ」

「それで……俺の両親は何処の誰なの?」

「スマンのう、余りに無惨に破壊されておってな……身元を示す物は見つけられなかったのじゃよ」

「ふーん、そっか」

「……随分とあっさりしとるのう……」

んーだってねぇ……。

「両親って言われても覚えてないから……」

「それもそうじゃのう」

それに……。

「それにさ、俺にはじいちゃんがいるもの」

「……!」

そうだよ、本当の孫じゃ無いのにメッチャ可愛がって育ててくれた爺さんがいる。

「それに、メリダばぁちゃんもいるしミッシェルおじさんもいる。他にもディスおじさんとかクリスねーちゃんとか、後お調子者だけどジークにーちゃんもいるし」

今まで出てきた事無い人もいるけど勘弁して。

「ほら、だから両親がいなくたって寂しいと思った事なんか一度も無いよ。むしろ騒がしくて困っちゃうよ」

「シン……」

だから……。

「だからさ、じいちゃん」

「ん?」

「俺を拾ってくれてありがとう」

命を救ってくれて。

「助けてくれてありがとう」

いつも美味いご飯を食べさせてくれて。

「可愛がってくれてありがとう」

魔法とか一杯教えてくれて。

「俺、じいちゃんに拾われて幸せだよ」

生まれてすぐこんな不幸な目に合ってるのに今こんなに充実してる。こんな幸せなことはないよ。

「シン……う、うぐ……う、う、うおぉぉ」

やっべ、爺さん泣いちゃった。でも本心だからなあ。言えて良かった。

爺さん、ありがとう。