軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第29話 違いますから!

「何を言っているのですか? マルトレディル」

結局、朝のゴタゴタのせいで各部隊の紹介を省略され、団長直属の部隊のみ紹介されて出発することになったのでした。

「ですから、私はこちらで待機させていただきます……あと敬語をやめてください」

そして私と団長が何をもめているのかと言えば、拠点に私が居残るといい、団長は共に行動をすることを言っているのです。

そして、また敬語になっているのでボソボソと言って注意しました。

「んんっ! マルトレディル。今回の行程は説明したはずだが?」

はい。昨日説明されましたね。

その話の中に拠点の話はありませんでした。

野盗は朝の早い時間や夜の人気のない街道で旅人を襲ってくるという話です。

なので、別働隊に商人を装わせて囮にするという話でした。

ちょっと小綺麗な荷馬車があるので、それは囮用なのはわかります。ですが、おかしいのですよ。

なぜ、この拠点の話がでなかったのかと。

今は夕暮れ時。他の者たちはせっせと拠点の準備に取り掛かっています。ですが、団長を中心とした者たちは、そのまま任務につくという風に騎獣に乗ったままなのです。

ええ、団長が昨日してくださった今回の作戦の行程通りでしょう。

ですが、この感じは好きではありませんね。

「はい。昨日団長から説明をしていただきました」

「だったら……」

「まだ、騎士団に入って一ヶ月も経たずに騎士の方々に混じって任務など、足を引っ張ってしまうと思うのです」

「それはないかと……」

なんだか、見覚えのある方々から白い目で見られていますが、本当のことではないですか。まだ二週間も経っていないのです。

白い目で見てくる方々を、ボコボコにした記憶はありますけどね。

「ですから、ここで団長のお帰りをお待ちしています。いってらっしゃいませ」

ニコリと笑みを浮かべて、ここにいると言いました。

「……隊長に送り出されるのもいい。いや、しかし、どうすれば……隊長が可愛すぎて全て許してしまいそうになる」

独り言でブツブツと言っていますが、声に出さないでくださいよ。

しかしこの感じだと、やはり何かありそうですね。

「ファングラン団長」

そこに団長に声をかける者が近づいてきました。

「従騎士マルトレディルはこちらで面倒をみよう。さっさと行き給え」

団長にさっさと行くように偉そうに言っている人物が誰かと言えば……

「伯父上」

私はそう言って声をかけた者の側に駆け寄りました。

この方は母の兄になります。

銀髪と紫紺の瞳は、ボン・キュッ・ボンの美人の母と同じで、昔はそれはもう令嬢方からキャーキャー言われるほどモテていた方です。

「ここでは将校セレグアーゼと呼びなさい」

「はい。あ、団長。お帰りをお待ちしています」

「はぁ。マルトレディル。何かあれば私のところに来るように、それだけを言っておく」

このレクスの言い方は、やはり何かあるということですね。

ああ、嫌ですわ。

この作戦は、絶対にあのクソジジイが一枚噛んでいるはずです。

団長ではなくなったのなら、口出しすべきではないです。老害でしかありません。

そうして団長は、三個小隊を引き連れて夕暮れの中、消えていきました。

「こっちに来なさい」

私は伯父様に言われてついて行くと、そこには簡易に建てられた天幕がありました。

中に入ると、何かしら箱が積み重なってあるので、雨よけの天幕でしょう。

「シエラメリーナ。何故この作戦に参加している」

もの凄く眉間にシワが入っている伯父様に見下されています。

何故と言われても困りますわ。

「はぁ、カリーナから何かあれば手を貸して欲しいと言われたが、そもそも君が騎士団に入る意味はあるのか?」

どうやら母から伯父様に、連絡が行っていたのでしょう。

私からすれば、アルバートの身代わりをする意味はないのですが、マルトレディル伯爵家としてはあるのでしょうね。

「ないですね。取り敢えず三か月を乗り越えればいいのです」

「普通ならカリーナが止めるだろう。母親だろう?」

「母がですか?」

首を傾けて考えてみますが、私が剣を振るっていることに対して、文句は言われたことはありません。

ただ、貴族の令嬢としての言葉遣いや歩き方、知識などには色々言われました。

「母が父と結婚した理由を知らないと?」

「うっ……それを言われてしまえば、ぐうの音も出ない」

伯父様は額に右手を当てて、うなだれてしまいました。

そうですよね。昔よく利用されていましたものね。

「ユーフィア・フェリランの部隊にいたという理由で即決だったな。まさか娘をユーフィア・フェリランと重ねているとか言うまいな。いや、そこまで愚かではないだろう」

伯父様が遠い目をしながらブツブツとおっしゃっています。

昔もそのような目をして、妹のセレグアーゼ伯爵令嬢に付き合っていましたね。

ええ、家族に面会という形で、私に会いに来るセレグアーゼ伯爵令嬢に。

因みに騎士セレグアーゼとは違う部隊でしたよ。

「騎士団に入ってしまったのなら仕方がない。何か困ったことがあるのならできるだけフォローしよう」

困ったことですか? 今のところ団長がすぐに隊長呼びになるのと、敬語になってしまうことぐらいですかね。

「あと、マルトレディル伯爵から団長の従騎士になった経緯がわからないと連絡を受けたので、隊長クラスの三分の一を地面に伏していたと言っておいた」

「叔父様。それ私が勝手に暴れたことになっていません?」

「ん? 全員でかかってこいと言っていたと聞いたのだが、違うのか?」

言いましたよ。ウザくて全員で来いと言いましたよ。

しかし、それは実技試験という名目が!

ああ、だから父の『煮るなり焼くなり好きにしていいよ』という言葉になったのですね。