軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第28話 騎士でないことがおかしい?

良かったですわ。もし、私が自前で鎧を用意していたら、こんな空気にさらされていたのですよね。

はい。団長の目の前に金色の鎧が立っています。周りの冷たい視線つきでです。

「何をしに来た」

そんな団長から問いただす言葉が出てきました。

これは謹慎でもされている騎士が、参加しようとしているということでしょうか?

「もちろん野盗討伐に参加するためです」

フルフェイスをつけているため、くぐもった声が相手から聞こえてきました。

すごくやる気は伝わってきますが、この周りとの温度差には気がついていないようです。

「私はその許可は出していない。デュークアルベルト・ファングラン」

ん? その名前って暇人のように私に毎日声をかけてくるファングラン公爵家のぼっちゃんですよね?

……あれ? 見習い騎士は、このような仕事の随行は認められていなかったはず。

団長も許可は出していないとすれば、何故に参加しようとしているのですか!

「そこのアルバート・マルトレディルは参加するのに、私に参加する権利がないとはおかしいではないですか! 伯父上!」

どこもおかしなところはないですよ。

私は団長の従騎士です。今回の参加を拒否したものの、団長に参加を強要されたのです。

片や、ファングラン公爵子息は見習い騎士。どこの部隊所属かは知りませんが、見習い騎士が勝手な行動は許されないはずです。

「マルトレディルは従騎士だ。お前は見習い騎士。そもそも階級が違う」

「それがおかしいのです。私が騎士ではないということが!」

……ファングラン公爵家は大丈夫ですか? 何故に入ったばかりで騎士の階級が与えられると思っているのです。

叙任の儀式を受けないと、騎士として認められませんよ。

「はぁ……」

甥のバカさ加減に、思わずため息が出たという感じでしょうか?

「デュークアルベルト・ファングラン。最低三か月は見習い騎士として基礎を学べ。そのあと従騎士になれるかは、お前を受け入れる騎士がいるかどうかだ。今回の勝手な行動をした罰として一週間の再教育だ」

「ひっ! おおお伯父上! 私はそのような教育など必要ありません! そもそも、その教育というものをマルトレディルは受けていないではないですか!」

あ……わかってしまいました。

あの教育訓練が嫌で逃げ出してきたというところでしょうか。それで早く騎士として扱ってもらいたいと。

「あ〜! いたいた! デュークくーん! 勝手に訓練サボったらダメよー」

遠くの方から、聞き覚えのある声が聞こえてきました。確かメリッサさんという女性騎士の方の声です。

「ひぃぃぃぃぃ――――!」

もの凄くガタガタと震えだす金色の鎧。

「ファングラン団長。申し訳ございません。すぐに回収します」

「ああ、一週間の再教育を追加しておけ」

「はっ! 了解いたしました」

そうですか。彼女が教育係だったのですか。頑張ってくださいね。

「不公平です! ならば、そこにいるマルトレディルも再教育を受けるべきです!」

何故か私も再教育すべきと名指しされてしまいました。

残念ながら、私には意味がない教育ですわ。

「あら? 彼はいいのよ」

「何故ですか! 納得できません」

「アルバートくーん。こっちにきてくれる?」

呼ばれてしまったので仕方がなくメリッサさんのところに向かいます。目の前に立ったところで、がしりと首をホールドされ、 肉肉(憎憎) しい胸に顔を押し付けられてしまいました。

イラッとします。

「今からおねーさんと一緒に遊ばない?」

「任務の同行を命じられているので無理ですね」

私は谷間から上を見ながら答えます。

「ほらね? 何も変わらないでしょう? だから必要ないのよ?」

「しかし! しかし!」

私はメリッサさんから解放されました。

まぁ、わからないでもないですよ。プライドが高いファングラン公爵家のぼっちゃんからすれば、屈辱的なことなのでしょう。

私は納得ができずに、悪態をついている金色の鎧に向かっていきます。

ふっと笑みを浮かべ、斜め上に首を傾げて金色の鎧を見上げます。

「ファングラン様は女装されるのが屈辱てきですか? でも、そういう仕事もありましてよ?」

私は令嬢らしく口元に手を当てて、嘲笑って差し上げます。

そう、新人イビリの内容は、メイドの格好をして女性騎士たちに仕えることです。

これ、かなり屈辱的らしいのですよ。

特に高位貴族出身者にとってですね。

でも、そういう潜入調査の仕事もあるので、無駄ではないのですけどね。

「あら〜やっぱり、おねーさんと遊びましょう?」

メリッサさんが近づいてきたところで、腰を抱えられて背後に下げられてしまいました。

だから、気配を消して背後に立たないようにと、言ったではないですか。レクス。

思わず剣に指がかかってしまいましたよ。

「メリッサ・ヘルアデル。デュークアルベルト・ファングランを連れてもどれ。邪魔だ」

「了解いたしました」

メリッサさんは団長に敬礼をして、抵抗するファングラン公爵家のぼっちゃんの腕を掴んで、引きずりながら戻っていきました。

鎧を着た人を引きずって行くとは、彼女の肉肉しい胸は伊達ではないということですか。

「それで団長。いつになったら、私を解放してくれるのですか?」

この腰を抱えている腕を外して欲しいのですけど?

「デュークアルベルトだけズルい。私も隊長に言われてみたい」

なんだか、ボソボソと言っていますが、あれは嫌味で言ったのですよ。

「たいち……っ」

人前で隊長と言いかけたレクスに向かって、肘鉄を食らわします。もちろん魔装術を使ってです。

「団長。それで話の続きをお願いしますね」

「相変わらず容赦がねぇ」

ラドベルト。うるさいですよ。