軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

土魔法の可能性

「えっと、土属性だから、体についた土は落とすことができるの。ほかの汚れには意味がないけれど……」

ミサさんが、土を触って手を汚し、志崎さんの服で拭いた。

「ミサ、どうして俺で試そうとするんだ」

「えーっと、土汚れが綺麗になるように想像して【クリーン】」

ミサさんが呪文を唱えると、あっという間に志崎さんの服についた土汚れが綺麗になった。

「す、すごい!お兄ちゃん、見た?一瞬できれいになったよ、私にもできた!すごい、すごい!」

土のついた手をミサさんが頬に当てて喜ぶ。

「あ……しまった、汚れ……【クリーン】」

すぐに覚えたての魔法でミサさんは手と顔についた汚れを落とした。

土汚れは綺麗になったものの、ふらりとミサさんがふらつく。

「うっ、ちょっとめまい。魔力が切れそう……」

「すごい、ちゃんと、切れる前に分かるんだ……」

思わず漏れた言葉に、ミサさんが変な顔をして、志崎さんが笑った。

「有希はもう2回魔力切れで倒れたそうだ」

「そうなの?魔力、私よりずっと多そうなのに……?」

首をかしげる。

「多いのかな?魔力切れで倒れちゃうくらいだから多くはないと……」

あれ?でもミサさんはスライムを落とす穴を掘ってクリーンを2回使っただけで魔力が切れそうって言ったよね?

私の方が多いってことかな?

「あの、大丈夫?」

「大丈夫よ。立ち眩みみたいな感じになるけど、本当の立ち眩みと違って、すぐに回復するから。ただ、魔力が回復するわけじゃないから、しばらくは魔法が使えないわ」

そうなのか。覚えておこう。

ダンジョンの外に出て、カウンターの上に、志崎さんはスライムの魔石をじゃらじゃらと出し、数え始めた。

ものすごい量だ。

……でも、魔石を数えて査定するのって、ダンジョン管理協会の職員のミサさんの仕事じゃないの?

いや、もって行った方がいくつあると申告したうえで、職員が数えて確認するみたいな感じだっけ?

ミサさんは水切りゴムワイパーを手に考え込んでいる。

「んー、もっと幅が広いといいのかな?さすがに酸で弱ってるから素材……強酸にはセラミックはテフロンがいいんだっけ?作ってもらおう」

ミサさんがうんとうなづいて、私を見た。

「師匠!武器ができたら師匠にも贈ります!」

「し、師匠?いや、あの……私は何も教えては……」

「いいえ。土魔法なんて役に立たない……だから、志崎の妹なのに使えない……って、ずっと言われてきたけれど……」

「そんなこと言われたの?誰に?ひどいよ」

カッと頭に血が上った。

「兄は兄、妹は妹、別の人なのに。比べて悪口を言うなんておかしいよ。それならその悪口を言った人だって、志崎に比べて使えない、志崎に比べて人間としても終わってる、志崎に比べてっていくらだって」

ミサさんがクスリと笑った。

「そうね、お兄ちゃんに比べてチビ、お兄ちゃんに比べて稼ぎが少ない、お兄ちゃんに比べて歯が汚い、お兄ちゃんに比べて剥げてる、言い返せばよかった!」

志崎さんのスペックが高くて、人類で勝てる人、少なそう……。

「あんな風に土魔法を使えるんだって教えてもらえて、自信が付いたわ。私ももっと使い方を研究する!」

「研究?」

「うん。だから、師匠も新しく土魔法の使い方が分かったら教えてね!」

「師匠……と言われるようなことはしてない……です……けど……。その、ミサさんも新しい発見をしたら教えてくれるんだよね?なら、立場は同じで、土魔法仲間?」

ミサさんがにこりと嬉しそうに笑った。

初めて会った時のとげとげした雰囲気もなくなり、空気が柔らかい。