軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新しい呪文

「はい、どうぞ」

2階層へと通されたけれど、あれ?あれ?

いつの間にレベル3に?マキちゃんに手伝ってもらってかみつき蛇を倒したけれど、そんなにたくさん倒した記憶ないよ?

首をかしげながら2階層へ続く階段を下りて、めまいがした。

「うわー、今日は2階層もイモ洗い状態だ……」

かみつき蛇の争奪戦が繰り広げられている。

奥の方、つまり蹴り兎が出ると言われているところはまだマシだろうか。

ん、あ、ふと、並んでいる若者たちはスマホを見ていたなと思い出す。ダンジョンにスマホを持ち込むのは危険だって教えてあげた方がよかっただろうか?

っと、人のこと気にしている場合じゃないよね。ぼーっと突っ立てたら邪魔だと怒られた。

仕方がない、ちょっと怖いけれど奥へ行ってみよう。

マキちゃん曰く、蹴り兎の攻撃を受けても頭を守れば痛いけど死にはしないって言ってたし。

それに、人が多いから、蹴り兎は見つけられ次第だれかに倒されている。

きょろきょろしつつ、なんとか奥の壁までたどり着く。

壁を背にすれば、警戒すべきは前方のみ。

そして、私は考え抜いた作戦があるのだ。

「【思い浮かべたように穴を掘る】」

思い浮かべたのは、私を中心とした半分にしたドーナツ状の穴。背中は壁。周りはドーナツ状の穴よ。

外側の円は直径5m、内側の円が直径1m。2m幅のお堀のような穴が掘れた。で、土は穴の周りに積みあがっている。

つまりだ、積みあがった土を飛び越えた蹴り兎は穴に落ちるってわけ。落ちたらポンポンしちゃえばいいってことよね。

「さ、私は読書でもしましょ」

本を取り出して、ぺらりとページをめくると、ザシュッっと土を蹴る音が聞こえた。

「ぎゃー、さっそく来た!」

ポンポンする心の準備をして音のした方に視線を向ける。

堀の幅は2m、これを飛び越えてくるとは思わないけれど、跳び兎の跳躍がどれくらいなのか分からないので身構える。

と、1mほど……ちょうど真ん中くらいで落下。

土をかぶせないと、と思ったらそのまま光が立ち上がってきた。

「え?転落死?」

恐る恐る堀をのぞく。

「あ、うん……直径5mって、深さも5mなのか……ってきうか、私も落ちたら危ないじゃんっ!

直径1mの半円は大きな椅子に毛が生えた程度の大きさだよ?足をぶらぶらさせて座っている場合じゃないって。

これって、屋上の柵の外に座ってるくらい危険じゃないのっ!

ど、どうしよう、一度穴を埋めて掘りなおす?

5mは魔力50消費でしょ?埋めるのに50また消費して、それから、さらにでかいの掘ると……足りる?

いざというときの魔力も残したいし。

とりあえず落ちないように目いっぱい後ろに下がる。まぁ後ろは壁なんだけど。

う、ん?

壁……掘れないのかな?

私が入れるくらいだと、高さ1mくらいの穴……。

掘ってみようかと思って、はっとする。

もし、ここで魔力切れになって倒れたら、穴に落ちて死亡。

すーはーと深呼吸。

ステータス。

名前: 佐藤有希(ニクス)

年齢:35

レベル:3

HP:48/50

MP:1022/1072

スキル:土魔法

称号/サレ女

「お、おお、そうだ。レベルが3になったから魔力も上がっている。1000超えてる!」

にしては、HPはなかなか上がらないけれど、どうしてだろう?

まぁいいや。とりあえず、壁を少しだけ掘ってみよう。10センチ。地面を掘るときは消費魔力1だった。

えーっと、呪文は何にしよう……って、だめだめ、まだ実験だから、イメージを定着させないよ。

「【壁にイメージ通りの穴を掘る】」

MP:1012/1072

「あ、壁は石というか岩だ。固いから掘るのに魔力が10倍いるのか……」

地面なら10センチで1、壁(岩)なら10センチで10。

うん、ならば100センチでも100だよね。足りる足りる。

100センチ掘るのに呪文作ろう。

「岩を掘る……削る?採掘?いや、鉱石を掘りだすわけじゃないから、掘削?削岩?」

穴を掘るのはスコップやシャベルのイメージあるし、なんならショベルカーで掘るイメージも簡単だったけど、岩を削る?穴をあける?

アスファルトやコンクリートに穴をあけるイメージ……工事現場……。ドドドとかガガガとかうるさいんだよねぇ、あの音。

よし、決めた。岩に穴をあける呪文は……。

「【ガガッ】」

1メートル四方の穴があいた。削られた岩は穴へ落下。

体を岩の壁にあけた1mに滑り込ませる。