軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第21話 スキルも出会いも増えていく

「これはまた……便利になったな」

痛みに耐えつつ、"武身強化"の説明文を読んでいく。

出血するほどひどい怪我なのに、不思議と耐えられる。

小さいころに骨折したときは泣くほど痛かったのに……これも身体能力が上がってるからか?

で、本題の"武身強化"。

こいつはなかなかいい強化をもらっている。

★★★

【武身強化】

分類:アクティブスキル

~効果~

・身体能力もしくは装備している武器を【12秒間】強化する

・スタック数:2

・クールダウン:12秒

★★★

まず目につくのは、強化範囲が身体能力も含めるようになったところ。

今までは武器だけだった。けど身体能力が強化できたら、異常な動きを見せるモンスターにもさらに対応しやすくなる。

加えて、スキルのスタック数も二つに増加した。これなら身体強化+武器強化の重ねがけができるぞ。

地味なところだが、"手に持っている武器"から"装備している武器"に効果範囲が変更されてるのが気になる。

頭とか足で武器を使う機会があるのか? 知らんけど。

「あと"酸液"もか」

おまけで"酸液"のクールダウンが短くなった。

あのミミックを一瞬で溶かすほどの火力があるから、素直に嬉しいポイントだ。

「とりあえず身体は動くな……宝箱の中身を確認しよう」

よいしょと立ち上がり、周囲を警戒しながら宝箱へと近づく。

ここからさらに罠とかあったら、さすがにキレるかも。

ゲームみたいに苦労したらご褒美が、なんて都合のいい展開がないのもわかってはいるけどさ。

パカッ

「……盾?」

宝箱の中には小型の盾が入っていた。

試しに持ってみると、これがすごく軽い。

ワープナイフと同じくらいじゃないか?

軽い盾が防具として成り立つのかは謎だけど。

とりあえず効果説明文を見てみよう。

ピコン!

★★★

【スタンシールド】

効果:タイミングよく相手の直接攻撃をブロックすると、より多くのダメージを軽減したうえで、触れた相手を【1秒間】スタン状態にする

スタン状態:相手は動けなくなり、スキルも発動できなくなる

★★★

(スタン?)

何やら面白そうな性能。

タイミングよくってことはジャストガードか? 某高難度ゲームで例えるとパリィってやつ。

ダンジョンのモンスターに法則性のあるモーションがあるわけじゃないから、ちょっと難しそう。

慣れたら意外といけるのか?

「一秒とはいえスタンは強すぎるな……行動制限とスキル封じって盛りすぎだろ」

条件が難しい分、ボーナスが大きいのかも。

ワープナイフと同じで、武器固有の効果にはクールダウンが存在しない点も評価ポイント。

極論だが、ジャスガさえ決まれば不利な戦況でもひっくり返すだけのポテンシャルがある。

まぁ、説明文“は”強そう、なんて話はゲームだとよくある話だが。

スタン効果に関しては、発動すればラッキー程度に考えて、防御や回避は今まで通りに立ち回った方がよさそうだ。

「とりあえず帰るか」

時間に余裕はある……が、この重症。

さっさと病院に見てもらった方がよさそうだ。

腕は動くからバイトならできると思うが……ダンジョン探索は難しそう。

この不安定さが探索者の難しいところなんだろうな。

いい教訓になった。

◇◇◇

「その傷は一体……?」

なんとかダンジョンから帰還すると、入口付近で篠宮さんに声をかけられる。

「ちょっとミミックに噛まれて……って篠宮さんも大丈夫なの?」

「あの程度の怪我なら半日で治りますよ。病院からも承諾を得ていますし」

あの程度? 出血や骨折とかひどかったよな?

俺が知らない間に、日本の医療技術はそこまで進歩していたのか?

「腕、見せていただいてもいいですか?」

「あぁ、どうぞ……」

言われるがまま、傷を負った腕を篠宮さんの方へ差し出す。

篠宮さんは優しく腕に触れると、何かを意識するような仕草を見せる。

すると腕の周りが突然、淡い緑色の光に包まれた。

「傷が……塞がっていく……」

痛みが消えた。出血も止まった。

腕もさっきより動く。

光が消え、篠宮さんが手を離したタイミングで包帯を取ってみると、傷一つない腕がそこにあった。

あれだけの深い傷、病院で縫ってもらうレベルだったのに。

「これが篠宮さんの回復スキル?」

「静は光を操ったり回復系統のスキルが得意なんです。なので、多少の傷ならだいたい治せます」

「はぇえ……すっご……」

病院とか必要ないんじゃないか?

医者から仕事を奪うレベルで革命的なんだが。

「万能だと思います?」

「思う思う」

「それが、外傷以外はダメなんですよね。ちぎれた手足も生やせませんし、あとはMPの制限があるので治せるのは十数人が限界です」

「あー……」

そっか、MPがあるから多用はできないのか。

こんなの一日中使えたら強すぎるもんな。

……俺が使えたらとんでもないことになってた。

定期的にヒールし続ける化け物って怖すぎる。

「というかスキルのこと、話して大丈夫なの?」

「あー、まぁ"文也様"には恩がありますので、全然大丈夫です」

グッと親指を立てる篠宮さん。この子、意外とノリがいい。ここまで信頼されるとは驚きだなー……なんて思っていると、

「あと……文也様にはすごく興味がありますから」

「えっ」

意味深なセリフ。

両手を合わせてスリスリさせながら、やや上目遣いで俺を見てくる。

何故、顔を赤くする?

何故、あざとい仕草を見せる?

というか何故"文也様"って呼ぶんだ?

「モテモテだなぁ……」

「あんな美人を……羨ましい」

「如月さんだけじゃ足りないってか……くそが」

周りの男性探索者から妬みの言葉が飛んでくる。

別に口説いたつもりはないんです。ただ自分にできることをしただけなんです。

それは如月さんであっても……そういや俺、抱きつかれたんだよな。酒の勢いもあったとはいえ、彼女もやっぱり……

「文也様」

「はい」

「昨日のお礼がしたいので、よければ一緒にお食事はどうですか?」

「……いいの?」

「はいっ。文也様に美味しい料理を振る舞いたくて」

満面の笑み。なのにどこか影を感じるのは何故だろう。

だが断る理由がない。早めにダンジョンを出たから時間も余ってるし。

ここは好意に甘えるとしよう。

(篠宮さんだけでよかったかも……)

如月さんがいたら色々こじれそうな気がする。

彼女は大人だし感情的になることはないとわかっている。

なのに二人が出会う場面を想像すると、猛烈に嫌な雰囲気がする。

ガシャーン!!

「藤崎くんの……彼女……?」

あっヤバい。

なんか修羅場の匂いがしてきた。