作品タイトル不明
コードレッド
いやしかし、この戸川とか言う人、喋って見ると案外気さくというかわかりやすい。
実利第一主義とでも言うべきだな、俺達はできるならやってみようで量産いけるかもというノリと、おやっさんが言い出したという勢いでここまで来たが……機体を見るに理にかなった造りではある。
俺の指摘がいちゃもんでしかないというのは理解しているが、言われればその通りだとしか言えんのよ。
ビーム回避とか普通しない、装甲や盾で受け止めて耐える。
それが可能な程度に取り回しを良くする。
これで既存の機体に負けないスペックを持っているなら、それは確かに傑作と言っていい。
スサノオも同じことをできるが、指摘された盗難や輸送コストは重くのしかかってくる。
いや、輸送コストに関しては他より多少マシな面もあるぞ?
機体そのものを運ぶんじゃなくパーツ輸送だけで済むようになるわけだから。
全壊してなければ、というかコックピット周りが無事なら手足頭をつければ修理完了なわけだから。
ただ盗難リスクは馬鹿みたいに跳ね上がるんだけどな。
「あれ?」
「どした、凛」
「インベーダー警報! 識別カラーライトグリーン……イエロー……オレンジ!」
「……マジで?」
お約束ではあるけど、誰か一級フラグ建築士の資格でも持ってるのか?
コンペに乱入者はお約束とはいえ……こんな急速に警報カラーが上がっていくとか普通はありえない。
「総員機体へ搭乗! インベーダー警報カラー上昇! 避難準備を!」
近くにいた軍人さんが叫ぶ。
俺達も機体に乗り込み、そして備える。
数秒後、ワームホールと言われるインベーダーが現れる空間の歪みからそれらは出てきた。
「デカい……」
誰かが呟く。
確かにデカいが、まだ中型程度だ。
だが見覚えはある。
ベヒモス、中型陸戦インベーダー、四足歩行するそいつは頑強な甲殻と鱗に覆われており実弾兵器のほとんどを無効化してしまう。
ビーム兵器も生中な物は通らない。
ようするに超鈍足の対物理特化重戦車みたいな存在だ。
その取り巻きがワイバーン、比べれば小型に見えるが実際はギアと変わらない18mから20mほどの大きさを誇る。
ベヒモスが500m級とかでサイズ感がバグるだけなんだ。
大型になればkmを超えるし、その上に超大型とかコロニー級なんて言われるギアで相手取るようなのじゃないのも出てくるけどさ。
「凛! スサノオ各機への指示を任せる!」
『え、ちょ、お兄ちゃん!?』
「俺が時間を稼ぐ! その間にスサノオチームの指揮を取れ! 敵はベヒモスとワイバーン! ベヒモスは物理攻撃がほとんど効かない! ワイバーンは隣にでかいのいるから小さく見えるけどあれでギアと同じサイズだ! 急げ!」
『わ、わかった! スサノオ各機へ通達! インベーダー出現によりギアパイロットの義務である防衛戦へと移行します。 これよりオペレーション開始、1号機はツクヨミ改と共に前へ、2号機は客席の前で防御! 4号機5号機は私とはぐれの対処を! 6号機7号機は2号機の援護を!』
それでいい、まず重視すべきはどこを防衛するかだ。
今回はお偉方の避難を最優先にするべきだが……一つ忘れていることがある。
「凛、他の社や軍の機体にも送れ。その上で軍の指揮下で動くと表明、最低限の指示はこちらで出すがおおよそは任せると言っていい。ただし俺とクリスと良平の三人は抜いておけ」
『え、あ、わかった!』
デモンストレーションとしちゃこれ以上ないシチュエーションだ。
そりゃ他の企業も躍起になって自社製品の売り込みをする。
ただ指揮役がいない烏合の衆だとベヒモスとワイバーンの群相手は無理だ。
あっという間に食い散らかされるから軍に指示してもらうのが一番だな。
『こちらは軍の柳ヶ瀬大将である。各機軍の指揮下に入るべし。繰り返す、軍の指揮下に入るべし』
「大将へ意見具申、現在の進行速度に対して軍の編成に時間がかかっている様子。猶予がないためツクヨミ改とスサノオ一部を用いて前線をキープするべしと考えます。残りは避難の護衛のために残します」
『こちら柳ヶ瀬。了解した、できるのならばやってみせよ。だが軍が編成を終えるまでだ』
「了解」
よし、言質はとった。
「聞こえたなクリス、良平。前と同じフォーメーションで行くぞ。凜はお偉方の避難誘導しながらレーダーから目を離すなよ。逐一報告だ」
『『『了解!』』』