軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

デスゲーム

デスゲームと言われて想像するのはまず謎の小部屋とピエロである。

それが俺の日常だったし、そうであってほしかった。

けれど時代の進歩と共にそんな古臭い、まず拉致監禁が必要で監禁場所とか移動中の車両や人員の手配となにかと金がかかるようなものは娯楽の中でも淘汰されていった。

そしてついにはVRMMOのファンタジー世界に閉じ込めて、ゲーム内での死亡がリアルでも死ぬという形になった今日この頃。

「なんでSF世界でデスゲームなんですかねぇ!」

人型ロボットのコックピットで毒づきながら大量の弾幕を回避する。

右へ左へ、上へ下へ、前へ後ろへと大忙しな作業を手動で行いながらもどうにか敵に肉薄し、攻撃力だけなら最強と名高いビームサーベルで一閃。

ボスの取り巻きの数を減らしながら再び突撃をかます。

『そこの旧式! 前へ出過ぎだ!』

「しょうがねえだろ! こいつの性能じゃ後ろからじゃ何もできねえんだよ!」

『隊列を乱すなと言っている! スタンドプレーで戦線を乱すな!』

「いないものとして扱えとブリーフィングで言っただろ! 俺は蠅と同じ扱いで好きなように戦えっての!」

『そうはいくか! 全員で生きて帰ると約束したはずだ!』

「その全員の内何人生きてるか数えた方が早いだろうがボケ!」

VR空間に閉じ込められて、歩兵としてはもちろんロボットのパイロットとして突撃をかますこと数百数千。

その中でも生き残りはどんどん数を減らしていった。

そしてついに辿り着いたラスボスだが……。

『というかなんでそんな旧式の機体を持ってきた!』

「これしかなかったんですー! ステータス上げるのに必死で機体の方はこれが精いっぱいだったんだよハゲ!」

『まだ禿げてねえよ!』

周囲が第七世代と呼ばれるスピードも装甲も桁違いな機体、中には第八世代とか新世代機なんて呼ばれているようなユニークロボットに乗って戦場を闊歩するランカーに混ざって俺は第三世代機でラスボス戦に挑むことになった。

ランカー全員の出動といえば聞こえはいいが、もう100人も残っていないから実質戦闘可能な奴全員ランカーで強制参加になったわけである。

ようするに強い奴ほど無茶な戦場に送り込まれるから、弱い俺でもランキング圏内に入れたという事だ。

ランキング圏外はもうあきらめて安全な町やコロニーで死を待つばかりという状況である。

……俺も似たり寄ったりで、居住区としているコロニーの近場にラスボス出現してなければ今頃縁側で茶を飲んでたんだけどな。

日常的なクエストクリアして日銭を稼いでいたらステータスだけは一線級、機体はノリでカスタマイズできる程度に金を持っていたが最新鋭機を用意できるほどではないというちぐはぐな状態だった。

具体的に言うと第三世代機を購入した時の金額が30万クレジット、これをフルカスタムしてどうにか最前線で戦えるようにするのに200万クレジット。

そして第七世代の機体を購入して、俺が扱いやすいようにするのに必要な金額が500万クレジットである。

そして俺の貯蓄が300万クレジット。

だいたいドル換算なので隠居生活を送るには十分と思っていたのだが、コロニーから避難艇を出すのは無理という事になり俺が出撃しなければいけなくなったわけだ。

その際に他のランカーも集まってラスボス戦となったのはいいが……。

「くそっ、左腕全損! 右腕限界! 両脚部スラスター臨界! そろそろ限界だ!」

『離脱しろ!』

「それを許してくれる相手じゃねえだろ! もとより隠居していた身、死期が早まっただけならやる事は一つだ!」

『なにを……まてっ! 馬鹿な事を考えるな!』

「勝てよ!」

通信を切る。

見知った面々が涙をこらえている映像がプツリと切れて、360度見渡せるモニターはいくつか砂嵐が映っている。

機体はボロボロ、使える武装は無し、ただ一つを除いて……。

「よう、糞ったれの親玉! 盛大な花火に付き合ってもらうぜ!」

エンジン臨界までスラスターの推力を上げ、全身のビーム兵器を稼働させる。

コックピット内が赤く点滅してアラート音が鳴り響く。

小さな爆発が発生しているのは限界を迎えたスラスターが破損したという事だろう。

「じゃあな! お前ら!」

最後に手元のスライドに手をかけ、パスコードを打ち込む。

0214、自爆コードとしては非常に短く、しかしていざという時に打ち込むには十分なそれをゆっくり押すとアラートと赤ランプの点灯は速度を増した。

ダークマターエネルギー炉、なんかよくわからんけど核よりも凄いエネルギーをそのまま使えるという物だけに自爆の威力も相当だろう。

光に分解されていく俺の四肢を見ながら、映画ならここで煙草でも吸いながらニヒルにほほ笑むんだろうなぁとか考えながら……。

「どうせならおっぱいに埋もれて死にたかった!」

俺の口は無意識に本音を紡ぎだしていた。