軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第95話 戦後処理

ワクマクロ砦が落ちたのち、私たちは戦後処理を行うため砦の中に入る。

入る前に、

「アルス様は……しばらく砦の中はご覧にならない方がよろしいかと」

とリーツに止められた。

戦の直後だ。砦内が酷いことになっているだろうとは想像がつく。

特に炎魔法を使って焼き払った場所などは、見るに堪えない状態になっているだろう。

しかし、それでもここで見ずに逃げるなどという事は出来ない。

今回はルメイルの指揮で軍は率いられているとはいえ、私の家臣が殺した兵も大勢いるはずだ。

その者たちの死から目を背けるのは、当主として失格の行動であるように思えた。

それにこれから戦場に何度も立つことになるのに、いちいち死体に動揺していてはいざという時、混乱して致命的なミスを犯してしまうかもしれない。

見慣れておく必要もあるだろう。

「気を遣わなくていい。私も砦の中に行く」

「そうですか……」

私の覚悟を知ったのか、リーツはそれ以上は止めなかった。

砦の中に、ルメイル、家臣たちと共に入っていく。

砦の中には予想通り、死体が何体も転がっていた。

初めて見た地獄のような光景に、私は思わずめまいを感じる。何とかリーツ達に心配をかけないように、気を確かに持った。

炎魔法で焼かれて炭化している死体もあった。

もはや人間の死体であると間近で見ても実感がわかず、思っていたほど衝撃は受けなかった。

私と同じく初めて戦場の光景を目にするロセルも、動揺しているように見て取れた。

子供で、まだ精神的に成熟していないロセルが、死体を見てどうなるか心配だったが、自分を失うほど動揺するということはなかったようだ。

そのほかの家臣たちは、慣れているのかまるで気にしていないようだった。

砦の中を進んでいくと、奥の方で複数の人間たちが捕縛されていた。

生き残った敵兵と敵将たちだろう。

「ルメイル様、この者たちの処遇をどういたしますか?」

「それはクラン様が決めることである。だが、今回は敵対し殺し合うことになったが、彼らは同じミーシアンの同胞であるから、恐らく命は助けるであろう。沙汰が下るまで縄は解いてはならぬが、なるべく負担がかからぬよう気を遣うのだ」

「分かりました」

クランがどう判断するかは分からないが、全員を殺すということはしないだろう。しかし、何人かは捕まってなお敵意のこもった目で、こちらを見ている。

この砦の大将は降伏を決めたが、全員納得しているわけでもないのだろう。サムク郡長に忠誠を誓い続ける者がいれば、その者は処刑せざるを得ない。

クランが説き伏せることが出来ればいいのだがな。

「それではすぐに砦の応急処置を始める。メナス頼んだぞ」

「はい」

ルメイルは側近のメナスに砦の応急処置を任せた。

彼は築城適性がBあり、城作りに詳しいのだろう。メナスは魔法兵を何人か集めた後、防壁の修復の指示を出し始めた。

「あの、死んでしまった兵の死体を弔うべきだと思うのですが……」

私はルメイルにそう意見をした。

砦の中を死体だらけにしておくのは、流石に我慢ならないからな。

「それもそうだな。味方の死者も少ないが何名か出たし、敵兵も先ほども言った通り同胞である。弔ってやろう」

ルメイルは兵士たちに命令して、死者を弔う準備を始めた。

ミーシアンでは火葬が主流である。

火葬をした後、残った骨を埋めて墓を作る。日本のやり方とほぼ同じだ。

味方の遺体は身元が分かっているので、恐らく遺族のもとに返されるだろう。

敵兵の遺体は身元が分からないので、一カ所に集めて燃やし、それから穴を掘って埋葬し墓を作成した。

死者を弔った後は、私たちはクランが砦に来るのを待った。

中々心は落ち着かなかった。

多くの死体を目の当たりにして、平常心でいられるはずもなかった。

リーツやシャーロット達が平気でいるのを見て、私は戦にはあまり向いていないのだと悟った。心の問題以前に戦う力も弱いし、画期的な戦術を思いつくわけでもない。正直戦場ではあまり私は役に立たない。

いい人材を見つけても、戦いの場では殺すか殺されるかで、能力があるからと言って殺さないなどと甘いことは言ってられない場合もある。

私は早くこんな戦は終わらせて、カナレの土地を貰い、人材集めを本格的に開始したいと心の底から思った。

「アルス様、報告がございます」

私が考え事にふけっていると、リーツが声をかけてきた。

「ファムがここにやってきているようなのです」

「何?」

なぜファムがここに?

シャドーにはベルツドに入るよう頼んだはずだが。

「アルス様への面会を希望しているようですが」

「分かった今すぐ会う」

私はリーツの案内に従い、ファムのいる場所へと向かった。