軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第94話 陥落

私たちは魔法罠解除兵にワクマクロ砦までの罠を解除させつつ進軍し、無事罠にかかる事無く近くまでたどり着いた。

小さめの砦が眼前に見える。あれがワクマクロ砦だ。

話にあったように小さな砦で、防壁もあまり高くない。

これでもサムクではかなり重要な場所を守っている砦だ。

サムク郡自体があまり裕福ではないということが、その事から伺い知ることができる。

「さて、砦の攻略だが……爆発魔法で防壁を完全に壊してそのあと攻略するか?」

ルメイルがそう質問をした。

「砦を完全に壊してしまうのはまずいかと。攻略した後はこちらが利用することになるわけですから。攻略する際に砦の防御力を下げすぎてしまうと、こちらが利用する際、奇襲を受けてあっさりと敵に奪われる恐れがあります。そうなると補給路を断たれ、わが軍が窮地に陥ります」

リーツが質問に答えた。

「なるほど……しかし、仮に無傷で攻略できたとしても、弱い砦なら簡単に奪われてしまわないか?」

「防壁が完全に壊れた城を使うよりも、奪われる確率は相当下がるでしょう。奇襲となると、大型の触媒機は重すぎて機動力が低くなり、使えなくなりますからね」

「確かにそれもそうだな……」

大型の触媒機はバランスボールを一回り大きくしたような大きさである。

重さは相当なもので、台車に乗せて二人がかりで動かさなければいけない。

奇襲をする際には、速さであったり目立ちにくさが重要になるだろうから、使う事は難しいだろう。

中型の触媒機であれば使えるだろうが、それなら流石にワクマクロ砦の防衛力でも何とかなるのだろう。

「まあでも、完全に壊すのはまずくても、一部を壊すだけであるのなら、問題はないかと。これだけ兵がいれば修復も、難しくはないでしょうからね」

「ふむ、では一部だけを爆発魔法で破壊し、壊したところから兵を突入させるという作戦でいくべきか」

「はい。それで大丈夫でしょう。あとは砦の中にどこまで魔法罠が仕掛けられているかですね……最初に突入させる兵は魔法罠解除兵と一緒に行かせた方がいいでしょうね。なるべく腕の立つものを優先して」

攻略の方針を決め、翌日実際に攻略が始まった。

まずは爆発魔法を使用する。

使用するのはシャーロットだ。

大型の触媒機に爆発の魔力水を注ぎこみ、シャーロットが呪文を唱えて魔法を使用した。

爆発の魔法を実際に見るのは私は初めてであった。

シャーロットが呪文を唱え終えると、赤い火の玉が発射された。

かなりの速度で砦の防壁に向かって飛んでいく。

防壁に当たる前に大爆発を引き起こした。

爆発の規模は凄まじく、かなり爆心地より離れているのだが、爆風が届いてきたくらいだ。

しかし、防壁は無傷である。

どういうことなのか。

私は近くにいたリーツに尋ねてみた。

「この砦にも、一応魔法の防衛機能はありますからね。しかし、今の一撃を防ぐので精一杯でしょうね」

魔法にはあまり詳しくないので、細かいことは分からないが、防壁には耐久力のようなものがあるようだ。

もう一撃シャーロットが魔法を放つと、リーツの言った通り途中では爆発せず、防壁に到達して爆発した。

たった一撃で防壁は崩れた。

「おおー」「さすがシャーロットさんだ」

歓声が上がり、シャーロットが得意げな表情をする。

念のためもう一発撃って、入り口を大きくする。

崩れた事で防壁に大きな隙間が空いた。

ここからいきなり兵を突撃させるという事はしない。

敵兵が崩れた防壁付近に集まって来たという事を確認する。それを見て、今度は炎属性の魔法を大型触媒機に投入。シャーロット以外の魔法兵も一緒に魔法を使い、防壁の隙間を炎魔法で一斉攻撃する。

集まって来た兵士は爆炎に焼かれた。

遠くなのではっきりとは見えないが、多分あの兵士たちは文字通り消し炭になったのだろう。

その後、ルメイルが、

「突撃せよ!」

と号令を送り兵士たちが防壁へと突入を開始した。

私は後方で待機することになる。まあ、突撃しても足手纏いになるだけだしな。

リーツは行く気だったようだが、ここは止めておいた。

しばらくすると、あっさり敵が降伏してきたという報告が飛び込んできた。

どうも防壁が破られた事と、その後爆炎で大勢の兵が死んだことで、砦内はパニックになっていたようだった。

仮に防壁が破られるとしても、こんなに一瞬で破られるとは想定していなかったようだ。シャーロットの名はまだミーシアン中までは轟いていなかったので、情報が足りていなかったのだろう。

パニックに陥っている砦は、罠があったとしても制圧するのは容易だったようだ。

どうしようもないと悟った敵将は、将兵の命を助けるために降伏を決断したようである。

思ったよりあっさりとワクマクロ砦の陥落に成功した。