軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第180話 防衛戦

リーツは前線で指揮を取るため、最前線まで出ていた。

この手の防衛戦は、兵の士気が非常に重要になる。

どうしても後方からの指揮だと、味方は死に物狂いで戦ってくれない。

しかし、大将が自ら前線で戦うと、死なせまいと、兵たちはいつもより奮闘する。

当然、大将自ら戦場で戦うと、死んでしまうリスクが高まる。

リーツとて戦場で不安がないわけではない。

死への恐怖心は、常に胸の内にある。

しかし、アルスに仕える前は傭兵だったリーツは、命のやりとりには慣れていた。

傭兵時代は、指揮をする立場ではなく、される立場だった。

もちろん、前線で戦ったことも何度もある。

死にかけた経験もゼロではない。

リーツは色んな戦場での経験から、戦場では冷静さを保ってさえいれば、死ぬことはないと学んでいた。

冷静さを常に保ち、適切な行動をとっておけば、どれだけ厳しい戦場でも生き残ることは出来ていた。

もちろん、リーツの高い武勇があってこそではある。

相手は自分たちの数倍の人数で攻めてはくるが、それでも冷静さはきちんと保って戦うと、リーツは深呼吸をして心を落ち着かせた。

敵兵が近づいてくる。

そろそろ、シャーロットとムーシャの二人に、放てと合図をしなくてはいけない。

リーツは右腕を掲げた。

それを見た、音魔法を使う魔法兵が、合図を鳴らす。

その瞬間、戦場に魔法が放たれた。

ムーシャが、きちんと高威力の魔法を使えるかリーツは不安に思っていたが、杞憂だった。

前回の戦いで、最初に放った魔法よりも、威力は弱まっていたものの、それでも強力な威力だった。

それに、シャーロットの安定した強力な魔法が重なるので、予想通りの凄まじい威力となった。

敵兵が倒れていく。

何回か撃ち、戦場を地獄へと変貌させた。

そこで、魔力水が切れて、魔法が止まる。

大型触媒機へ魔力水を入れるのは、結構時間がかかる。

それまで、ここは通してはいけない。

屍を超えて敵兵たちが接近してくる。

この地獄を見ても、怯まず向かってくる。

凄まじい訓練を受けてきたのだろう。

敵兵の練度の高さに、リーツは感心しつつも、こちらの攻撃指示のタイミングを見計らう。

まだ歩兵と騎兵は突撃させない。

後ろに小型と中型の触媒機を持っている、魔法兵たちがいるからだ。

最初に、魔法兵が攻撃して敵を崩す。

そこで、最初に騎兵突撃をした後、最後に歩兵で突撃だ。

リーツは今回馬には乗らない。

リーダーとして、泥臭く戦う姿を兵士たちに見せた方が、士気が高まるだろうと思ったからだ。

騎馬兵はブラッハムとクラマントに率いさせる。

ブラッハムは地上で戦うのが一番強いが、馬を操らせても、結構上手である。クラマントは何をやらせても、戦闘に関しては超一流だ。

二人とも、十分、騎馬兵たちを率いる実力は持っていた。

敵兵が魔法兵たちの射程圏内に入ってくる。

それを見てリーツは、魔法兵たちに魔法を放つよう、左手を掲げた。

リーツの指示で、魔法兵たちはすぐに行動に移した。

初級魔法を使いまくる。

あまり、敵にダメージを与えられないような攻撃ではある。

敵兵も無策で来るわけではなく、魔法兵が帯同しており、防御しているので、中々攻撃が通らない。

大型触媒機を使った攻撃なら、防御魔法を崩すことが出来るが、小型、中型の触媒機では中々崩せない。

シャーロット並みの魔法兵ならば、小型、中型の触媒機でも、攻撃を通すことは可能ではある。

(先に、敵の魔法兵を倒さないと。魔法兵は後ろにいる……)

後ろにいるため、歩兵で倒すことは難しい。

倒す方法は二つ。

弓兵を使うか、騎兵を素早く動かして、背後に回り込み魔法兵を奇襲するかだ。

弓兵を使って魔法兵を倒すのは、簡単なことではない。

相手も魔法兵が狙われるとまずいことは、重々承知している。

中型の触媒機は自身の防御も兼ねるため、盾のような形になっている。小型の触媒機は片手で扱えるので、使わない手の方で小さな盾を構えている。

防御はきちんとしているので、弓兵で倒すのは非常に難しい。

ただ、進軍速度を遅くすることは出来る。

走って移動すると、盾を構えて防御しながらの進軍がしにくくなるので、歩いての進軍になる。

離れていては、魔法兵は歩兵に防御魔法をかけることができない。

魔法兵の進軍が遅くなると、必然的に歩兵の進軍も遅くなる。

魔法兵は仕留められないが、メリットはあった。

だが、リーツはその方法は選ばない。

現状、進軍速度をちょっと緩めても、そこまで意味がないと思っていたからだ。

一度、敵兵の陣形を崩して、撤退させないと、十分な時間は稼げないとリーツは考えており、進軍速度を遅らせるだけでは不十分すぎた。

騎兵を使うしかないと、リーツは結論を出す。

歩兵で、まず敵と乱戦を起こす。

乱戦で一時的にも優位にたち、敵軍の注目が歩兵たちに向いたら、騎兵を出動させ、背後に回り込ませ、魔法兵を倒せるだけ倒す。

その後、一旦歩兵は撤退。

敵兵が追いかけてきたところを、魔法兵の攻撃で崩し、それと同時に歩兵を反転させて、崩れた敵兵を一気に叩く。

リーツはそう作戦を頭に浮かべた。

難点はいくつかある。

まず敵歩兵の士気は非常に高く、歩兵同士の戦いで、優位に立てるかという問題だ。

これは自分の指揮と頑張り次第だと、リーツは思った。

また、弓兵たちは魔法兵を狙わせず、敵歩兵を狙わせるつもりだ。

敵歩兵は、どちらかというと機動力重視の装備で、あまり防御力が高そうではない。

弓攻撃で敵兵を仕留めることは、可能そうではあった。

恐らく、弓での攻撃は魔法兵に行くと考えての、この装備なのだろう。

あとは、背後を突く騎兵達だ。決して簡単なことではない。成功しない可能性もあるし、成功してもその後討ち取られる危険性がある。

クラマントとブラッハムが主に騎兵を率いることになる。

二人とも馬の扱いは上手だ。

ブラッハムはきちんとやってくれるだろう。クラマントがきちんとやってくれるかどうかだが、仮にここで逃げ出すなら、最初からカナレの援軍には来ていないだろう。

恐らくクランと多額の報酬を約束して、ここにきているはず。

きちんと仕事はこなしてくれるだろうと、リーツは信じていた。

リーツは、作戦を頭で組み上げ、行動を開始した。