軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第12話 圧倒的な才

「さて、魔法を使ってもらおうか」

私たちは平原に到着すると、周囲に人がいないことを確認して、シャーロットに魔法を使うための道具を持たせた。

魔力水と触媒機である。

魔力水は皮で作られた水筒に入っている。

触媒機は、野球ボールくらいの大きさの球体に、読めない謎の文字が、大量に書かれているという見た目だ。

鎖が付いており、首にかけて使用する。

リーツは、まず触媒機の中に、魔力水を入れる。

触媒機には蓋が付いており、リーツはそれを取った。そして水筒に入っている魔力水を中に注ぎ込む。ドロドロの液体が、触媒機の中に流れ込んでいく。入れる量は僅かだ。

一度魔法を使用すれば、中にある魔力水は全部なくなってしまう。そのため連射することは不可能である。

「これを首にかけてくれ」

魔力水を注ぎ込んだ触媒機を、リーツはシャーロットに渡した。

彼女は受け取り、言われた通り首にかける。

「かけたけど、どうやって使うの?」

「首にかけた状態で、呪文を唱えると使用できるんだ。注いだ魔力水は、炎の魔力水だから、炎属性の魔法が使えるね」

「ん? 魔力水というのには、色々種類があるのか?」

私は赤い魔力水しか見たことがない。別の種類があるのだろうか?

「ええ、ありますよ。青色とか、緑色とか色々あります」

「色が違うとどうなるんだ?」

「魔法には属性というものがありまして、魔力水の色によって、使用可能な属性が決まるのです。赤い魔力水は、炎属性の魔法を使うことができるので、炎の魔力水と呼ばれております。青色は水属性の魔法が使えるので、水の魔力水、緑は風属性の魔法が使えるので、風の魔力水と呼ばれていますね」

「属性はどれくらいあるんだ?」

「いっぱいありますよ。先ほど三属性のほかに、雷属性、闇属性、光属性、氷属性、音属性、毒属性、影属性、呪属性、治癒属性、力属性などなどです」

想像以上にあるな。

言った数でも多いと思うくらいなのに、ほかにもまだあるのか。影属性と闇属性とか、違いがあるのかと思ってしまう。

分かれているということは、違いがあるんだろうけどな。

「ミーシアン州では、炎の魔力石がよく採掘されているので、出回っているのは炎の魔力水が中心となっております。炎の魔力水の次にミーシアン州で出回っているのは、音の魔力水ですかね」

音……音って何に使うのだろう?

戦場だと合図を出すときに、使ったりするのだろうか。

それとも、鼓膜を破くほどの轟音を出すとか。

それだと自分たちも被害受けるから駄目か。

「呪文は教えてくれないの?」

説明に夢中になっていたため、シャーロットを少し放置してしまっていた。

「あ、ごめん、今から教えるから」

リーツは慌てて、呪文を教える。

「今回使うのは、ファイアバレットの魔法だね。『火弾よ、敵を焼き尽くせ』ってのが呪文だ」

これは私も使った魔法だ。

炎の弾が一直線に飛んでいって、何かに当たったら爆発する。

爆発の規模は小規模である。

あくまで私の放った、ファイアバレットの爆発規模が小さかっただけで、才能のあるものが放てば、もっと大きな爆発が起こる可能性もある。

「魔法を使う際は、手の平を前に出さないと駄目だよ。そうしないと発動しないようになっているからね」

「右? 左?」

「利き腕を使った方が、狙いを定めやすいよ」

「じゃあ左」

シャーロットは左利きだったみたいだ。

平原には木がポツンポツンと生えており、それの一本を狙って、ファイアバレットを撃てとリーツは言った。

シャーロットは一番近くに生えていた木に、左手の平を向ける。

「炎弾よ、敵を焼き尽くせ」

呪文を唱えた。

すると、触媒機が一瞬、光を放つ。それとほぼ同時に、シャーロットの手のひらから炎弾がとびだした。

物凄い速度で飛んでいき、木に命中。

凄まじい音が周囲に鳴り響き、大爆発が発生した。

木は跡形もなく消滅した。

爆発があった場所には、大きなクレーターが残されていた。

私とリーツはその様子を唖然とした表情で見る。

以前、私が使った時の爆発の威力は、精々爆竹が爆発したくらいだった。使い手が違うだけで、こんなに変わるものかと、衝撃を受けていた。

「……これって、結構凄いの?」

「す、凄いどころの話じゃない……戦場で魔法兵を何度も見たことがあるけど、ファイアバレットがこんな爆発する場面初めて見た……君、本当に初めて使ったのかい?」

シャーロットはコクリと頷いた。

「間違いありません。彼女は魔法の天才です」

リーツに言われなくても、一度魔法を見ればわかった。

「しかしアルス様の人材を見抜く能力、本当に凄いです。感服いたしました」

リーツは尊敬の眼差しを向けながらそう言った。

シャーロットがステータス通り、凄まじい魔法の使い手であると分かった。

あそこまでの威力を目の当たりにすれば、父も認めるしかないだろう。

彼女が家臣になれるという確信を得て、私達は屋敷への帰路に着いた。