軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

451 調 査 1

「なる程、やはり向こうから積極的に話すことはなかったけれど、水を向ければペラペラと喋ってくれた、と……」

臨時集会として集まった『ソサエティー』のメンバー達から、集めた情報の報告を受けているのだけど……。

「はい。ミツハ様の予想通り、そういう 下賤(げせん) な話を、聖女と呼ばれております私達『ソサエティー』の者達に聞かせるのは 躊躇(ためら) われたそうで……。

ですから、こちらから話題にすれば、問題なく話していただけましたわ」

他の者達も、こくこくと頷いている。

やはり、そうか……。

噂が広まっているというのに、『ソサエティー』の者達が誰も知らないというから、おかしいとは思っていたんだよねぇ……。

でも、別に誰かが意図的に『ソサエティー』の関係者にだけ情報を遮断していた、とかいう理由じゃなかったか。

まあ、特定のルートで流される情報であればともかく、噂という不確定のルートで広がる情報を個人の力でどうこう、というのは、不可能だよねぇ……。

もしそれが可能だとすると、かなりの規模の組織だということになる。

さすがに、そこまで巨大な組織を使ってやることが、他国からの留学生である貴族の少女の悪い噂を流すこと、というのは、ちょっと考えづらい。

……いや、勿論その可能性がゼロとは言わないけれど、まぁ、コンマ以下の確率だろう。

「では、皆様が収集されました情報と、それを 誰が(・・) 、 誰から聞いたか(・・・・・・・) 、という相関図を、日時込みで書き上げますよ!

……私達『ソサエティー』が、罠に嵌められて断罪されようとしている異国からの留学生の少女を護り、救うのです!!」

「「「「「「おおおおおおお〜〜!!」」」」」」

少しだけ、話を盛った。

いや、士気を上げるには必要なことだよね、そういう配慮は……。

……でも、ちょっとやり過ぎた。

退屈を持て余し、楽しいこと、そして聖女(非公式)としてのやり甲斐のある活動を求めていたお嬢様達に、『正義』を、そして『弱者を助ける』という、 錦(にしき) の 御旗(みはた) を与えてしまった。

……どうなっても、知らない……。

* *

「……妙ね……」

サビーネちゃんが、某高校生探偵みたいなことを言い出した。

『ソサエティー』のみんなで書き上げた、ミレイシャ嬢の悪口……というか、誹謗中傷。日本であれば名誉毀損罪や侮辱罪に該当する立派な犯罪行為であり、刑事責任を問われる場合がある……の拡散相関図を見ての言葉だ。

さすが、身体は子供、頭脳は大人の天才少女だけのことはある。

さすがサビーネちゃん。……さすサビ!!

「うん、妙だよね……」

ありゃ? 身体は子供、頭脳も子供の、コレットちゃんまで……。

「そうですわよね……」

そして、みっちゃんの言葉に、うんうんと頷くメンバー達。

……えええ? 何も分かっていないの、私だけ?

「……そっ、そうだよね! 変だよね!」

慌てて、みんなに合わせてそう言ったところ……。

「ミツハさん、あなた、何も分かっていらっしゃいませんわよね?」

みっちゃんからの、痛恨の一撃ががが!

「いや、そこは気付いていても知らない振りをしてスルーするのが、仲間というものでは……」

「甘やかすと、ミツハさんのためになりませんわよ!」

ううう、みっちゃんの、いけず……。

「これ、情報の拡散の 所々(ところどころ) に、男性の名前が入っているよね?」

おお、サビーネちゃんが、助け船を出してくれた! ……さすサビ!!

「……う、うん……」

「……」

「「「…………」」」

「「「「「「………………」」」」」」

「そこまで言われて、まだ分かりませんの!!」

ひ~ん! みっちゃんに怒られたぁ……。

* *

仕方なく、サビーネちゃんが全部説明してくれた。

何でも、女性の間でこの手の悪口や噂話が広まる時には、 女性の間だけで広まる(・・・・・・・・・・) らしいのだ。

……決して、間に男性が挟まることはない、と……。

勿論、恋人同士とかの例外はあるけれど、それを恋人から聞いた男性は、男の友人に喋ることはあっても、他の女性に喋ることはない、と……。

まあ、直接の関わりがない他の女性の悪口を触れて廻る男がどう思われるかということくらい、余程の馬鹿でなければ分かるはずだ。

……なのに、この相関図においては、噂の拡散の結節点に当たる部分において、男性の名が頻繁に登場する。

明らかに、通常の『女性の間での噂話の拡散』としては、異常な 頻度(ひんど) で……。

「そっ、それって……」

うんうん、と頷く、サビーネちゃん。

「ここでは、男女の仲がとてもいい……」

「「「「「「違いますわよっっ!!」」」」」」

……違ったらしい……。

そして、呆れた顔のサビーネちゃんからの視線が痛い……。

「噂の拡散に、男性達が意図的に関与しているということですわよ!

……いえ、この場合、男性達が首謀者、と言うべきでしょうか……」

「おお、なる程!

さすが、みっちゃん! さすみつ!!」

「……ミツハさん、別に私の分析力が優れているわけではなく、あなたひとりが劣っているだけですからね……」

「ぐはっ!」

痛恨の一撃を受けた!!

……でも、斬り込むべきところが分かったなら、やりようはある。

もしこの分析が間違っていたとしても、別に問題はない。

その時は、また別の方面から調査するだけだ。

それに、間違った方向で調査しても、いくらかの新しい情報が手に入るだろう。

それらは、少しは役に立つだろう。完全に無駄だというわけじゃない。

「では、この相関図を元に、新たな作戦を練りましょう!」

「「「「「「お〜〜っ!!」」」」」」

……ノリがいいね、キミタチ……。