軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お仕置き

今回の事を話すために、帰還の挨拶回りを兼ねて1日の情報収集は必要だった。

……驚くべきことに、村人の連中はゴレーヌ村を町サイズに拡張したのは、俺が計画していたものをソトにやらせたという認識が殆どで、残りはアメリアさん主導だと思っていたというものだった。

そりゃあ子供が大人を働かせて勝手に町を作ったなんて誰も思いつかないだろう。ちゃんとした大人が計画していたと考えるのが普通だ。

ましてや国を相手に交渉し、四天王を手のひらの上で転がすように働かせる子供って。俺もよそで聞いたら信じられないと思う。

というわけで帰ってきた翌日の夜。仕入れた情報をまとめつつ、俺はロクコとソトを自分の部屋に呼んだ。

副村長のウォズマ達がいないので、より突っ込んだ会話ができる。

「ホントびっくりしたわよソト。ここまで大きくしちゃって。DPもガンガン増えてるし」

「えへへ、頑張りました! ママの用意していたダンジョン領域のギリギリまで広げたんですよ」

「頑張ったわね。ミーシャ達を手のひらで転がして使うとか、さすが私とケーマの娘よ」

よしよしとソトの頭を撫でるロクコ。昨日も一緒に寝たらしい。

今日一日は足止めも兼ねてたっぷり褒めてもらっておいた。

「まぁそれはそれとして、やりすぎた分はケーマにしっかり叱られておきなさい。ケーマ、褒めるのはしっかり褒めといたから存分に叱っていいわよ」

「うぐう!」

「勝手に大きくして、やりすぎた自覚もあるんでしょ? ソトは賢いから、そこらへんも自分で分かってるはずよ」

「……うぅ、はい」

と、ソトをこちらに寄こすロクコ。

一応悪かったという自覚はあるんだな。それじゃあお叱りのターンと行こうじゃないか。

「さてソト。とても周到な計画だったようだな。良く出来てるよ。で、何を企んでいた?」

「何って。私はただパパとママに喜んでもらいたくて、村を発展させただけですよ?」

「はっはっは。それだけなワケがないだろ」

ニコニコと笑顔で誤魔化そうとするソト。悪かったとは思っているが、自分から白状する気はないらしい。

俺は地図を広げる。メニュー機能のマップと照らし合わせて比べつつだ。

「……ふむ、概ね、壁とダンジョン領域が一致している」

「はい。ママから聞いてましたからね」

「――ここはどうなってる?」

と、俺は地図で壁の内側にありつつも、ダンジョン領域から外れている箇所をトントンと指で叩いた。門の近くだ。

「ああ。すみません、そこは地形の関係でちょっと門が飛び出ちゃって」

「この家の持ち主は、ソト。お前だな?」

「はい。私の倉庫にしようと1軒もらいました。お友達と冒険にいくので門の近くに家が欲しかったんです。ついでにこの付近は私のダンジョン領域にしてます。……これだけ広げたんだから、少しだけ私へのご褒美にもらっても良いですよね?」

そう。書類上は金銭報酬を得ず、現物として建物を1軒貰っている。

「まぁそれは良いだろう。が、ここで悪さをしてるとなったら話は別だ」

「悪さですか? さて、私は何も悪い事なんてしてませんよ。なんなら直接見てもらってもいいです、私の隠れ家にご招待しますよ?」

「随分と饒舌だな。やましい事があると見える」

俺がそういうと、今度は口を閉じてにこっと笑うソト。素直だなぁ。

「実はタレコミがあった」

「……!」

「さて、自白するなら多少は考慮してやってもいいぞ? どうするソト」

「……くっ、分かりました。白状します」

はぁ、とため息をつくソト。すこし不貞腐れた顔で話し始める。

「私の計画は、2つ。靴下の大量入手と、私の収入を増やすことでした」

曰く、工事にかこつけて大量の労働者を引き入れ、四天王も含めて使い捨てられるほどに大量の靴下を配り、それらを『ゴミ収集』という形で入手したとのこと。

その過程で冒険者ギルドの依頼を利用してギルド功績と小遣い稼ぎもしている。

また、区長についてだ。カリソト区の区長として雇った文官は、ソトの出したモンスターである。その拠点のひとつはソトのダンジョン領域にした地域にあり、手伝い職員のDPも、区長の収入もソトの手に入ってくる。

つまり、靴下の大量入手と収入の増加。それが計画だった。

「あら。それじゃあ隠れ家の方は? 密告があったんでしょう?」

「カモフラージュですよ。密告者はニクお姉ちゃんでしょう? あの隠れ家で何か悪さをしているように見せかけることで、本当の目的を隠そうとしたんです……」

そして俺はそっと首を横に振った。

「タレコミはニクじゃない。イチカだ」

「? イチカちゃんが? なんで?」

「お前の買った食べ物が、人一人を隠している量――だそうだ。いやぁ、食べ物についてイチカはよく見てるよな」

「ッ、ゆ、優秀ですねぇ? スパイにでもなったらいい仕事すると思いますよ!」

あからさまに動揺したソト。畳みかけるならここだな。

「ああ。それとミチルからもあったぞ。教会のロリサキュバス、招待したらしいな?」

「え、ええ。お友達と遊ぶための秘密基地ですからね。マイオドールちゃんも呼んで、みんなでお茶しましたが。……ミチルが何て?」

「お前からレオナのニオイがしたってよ」

「……あー、パパには内緒でしたけどぉ、私、レオナさんとお付き合いしてるのでぇ。そういう事もあると思います」

「うんうん」

目を泳がせるソト。

「してるだろ、監禁。場所は地下室かな? ああいや、俺の娘のことだ。地下室からさらに隠し部屋が2、3段階あるかもしれん。まぁだとしても関係ない。今、スイラ達に家宅捜索させてるからな。大人しく結果を待とうか」

「!? さ、サキュバスは反則でしょうよ!? あいつら壁を無視できるじゃないですか!」

「ああ。監禁して隠してる人間を探すには最高の捜査員だよな。どうして【収納】ダンジョンの方に隠さなかったんだ?」

「……レオナさんの反撃で、日常生活に支障が出るので」

ついに口を割った。項垂れて自白するソト。

……だがここからが本当の本番だ。

「で。レオナを監禁したのはなんでだ? 時空神の知識が関係してるんだろ、吐け」

「げぇ、もう全部吐きましたよ!?」

「なぁに、これもお叱りの一環だよソト。ここからが本番だといっても良い。ってかお前がどこまで隠してるか本当に分からないからなぁ、思いつく限りたーっぷり、尋問しようじゃないか」

「ひぇぇ……」

そう、もうコリゴリだよと音を上げるまで。

悪さをした子供には、しっかり罰を与えるのが親の仕事なのだから。

……あとマジで余罪がたっぷりありそうだしな。

さしあたり、ちゃんと「ごめんなさい」って言うまでは尋問を続けてやろう。