軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

で。

「うぅ……ごめんなさぁい……」

「まったく。ソトったらそんな大事なコトがあるならちゃんと相談しなさいよ。私の娘でしょう?」

ぐてーっとテーブルに突っ伏すソト。そして余罪が判明した。

靴下関連で本当に好き勝手していたりしたようだが……

どうやらレオナは死ぬらしい。

で、そのレオナを守る為に、監禁して、強固な壁で囲ったんだそうな。

それが起きるのは十数年先らしいが、準備は早いに越したことはないということで、俺がハクさんに命じられてワコークに行ったタイミングを狙って事を起こしたそうだ。

「で、でも、レオナさんはパパとママの天敵、でしょう? 言っても助けてくれないって思ってぇ……」

「それはそうなんだが、おかげさまで色々事情が変わってるだろうが」

なにせ俺達がワコークに行く前。俺に修行を付けたのがレオナである。

おそらくは、その時点からソト、正確には時空神カリニソトの介入で。

「……それにしても、どうやってレオナを監禁してたんだ?」

「うふふ……愛ですよ、愛」

「具体的な方法が知りたいんだが」

「愛で拘束具を作りました」

何だその、愛って物質なの?

まだ尋問が必要か、と思ったが、どうにも本気でそう言っている模様。

「なんか詳しく聞きたいような聞きたくないような……」

「概念の物質化は神器作成の基本ですね! パパにはまだ早いです」

娘のモノ作りが神の領域に達している件。

……いやまぁ、そのレベルでなきゃレオナを拘束なんてできないか。

「ソトにはできるってのか? いやできたからレオナを拘束できてるんだろうけど」

「私もレオナさん専用のアイテム作るしかできませんよ。神力が殆どないですからね」

得意げにえへんと胸を張るソト。

ソトは本当にレオナ特効だな……

「ねぇケーマ。GP使えば父様に似たようなもの作ってもらえるんじゃない?」

「ああ、GPの使い道、そういうのもアリなのか」

「試しにケーマ用の拘束具を作ってもらおうかしら」

「やめてくれよロクコ? 使い道無いだろ?……無いよな?」

「……そうね。ケーマなら普通の拘束具で事足りそうだし」

「うん、俺に使う理由がないよな?」

「ええ。今のところは」

……ダンジョンコアって、宝物を閉じ込めておきたい欲求とかあるのかな……?

ともあれ、ソトは白状し、レオナは無事救出された。

レオナを監禁した隠し部屋は計5重の壁に隠されており、しかもちょっとした迷路になっていたらしい。

なんでダンジョンコアの機能を使わずにダンジョン作ってるんだお前。

* * *

サキュバスシスター長のスイラに肩を借りて、レオナは応接室にやってきた。

救出されてから1日が経っていたが、まだ調子は戻っていないらしい。

「……助かったわ、ケーマさん」

「なんというかその。ウチの娘がすまなかったな?」

「い、いえ、それは良いのよ……ええ、うん。ぐっ、き、気付け薬を」

レオナはどこからともなく赤い石を取り出し、ガリガリ齧って食べていた。

「おい、ホントに大丈夫か?」

「あ、ああ、うん、大丈夫よ。ええ、私は大丈夫」

それって大丈夫な奴の発言じゃない気がするんだが。まだ足がガクガク震えていてまともに歩けていないし。今なら普通にレオナにも勝てそうだ。

「いったい何されてたんだ?」

「徹底的に愛でられてたわ。それ以上はちょっと親御さんには言えないわね……」

流石に恥ずかしいから、と屈辱に顔を歪ませつつも頬を赤らめるレオナ。

「しいて言えば、純愛って過ぎれば毒になるのよ。毒無効の効かない毒ね」

「純愛……純愛なの? 我が娘ながらストーカーからの監禁だろ? 日本なら警察に介入されるレベルだぞ」

「言われてみるとこちらでも普通に犯罪ね? まぁ訴えたりはしないわよ。意味ないし」

「……まぁソトを前科持ちにしたくもないし、それはありがたいけど」

「ならないわよ。ハクちゃんの姪でしょ、貴族を4、5人殺しても無罪になる立場。放浪してる根なし草一人の監禁くらいアクビで流されて終わりよ」

一応レオナを呼んだのは示談の為という目的もあったので、レオナ側も最初からそのつもりなのは助かるな。

と、レオナは思い出したかのように赤い石をまた取り出して、ガリガリ食べている。

「……ところで、その赤い石はなんだ?」

「ああこれ? 賢者の石よ。ケーマさんも食べる? 落ち着くわよ」

「精神安定剤なのか、賢者の石って」

「【超錬金】で作り放題な万能薬ね。まだ30分に1個食べないと動けなくなるのよ……あなたの娘さんに監禁された後遺症で」

「一応叱っといたけども、ホント悪かったな。うん、悪かった」

と、ザラザラと応接室のテーブルの上に積み上げるレオナ。

試しに一つ貰ってみる。ガッ……硬い。普通に石なんだが?

「魔力流さないと普通に石よ」

「そういうのは先に言え。歯が欠けるかと思ったわ」

魔力を流しながら齧ると、チーズ……いや、グミのような食感でねちっと噛み切れる。

もちゅもちゅしてて悪くない。鉄っぽい風味のある塩味だ。

「思ってたよりねっとりしてるんだな」

「魔力で色々変わるのよ。ケーマさんの魔力だとそうなるのね。私だとリンゴみたくなるわ」

「イチカに知られたらいろんな人に声かけそうな要素だな……」

「……普通の錬金術で作ったら小石1個分で金貨100枚くらいになるかしらね? 私だと【超錬金】でタダでいくらでも作れるけど」

【超錬金】では賢者の石を基本として色々作るため、基礎中の基礎らしい。しかもその気になれば窒素から質量保存の法則を無視して作れるそうな。

……つまり無手でも空気から色々作り出せるってことだよな?

そんなレオナをホントどうやって監禁してたんだよソトは。愛の拘束具ってやつはどんだけヤバいんだ?

「にしても、なんでレオナはソトにこれほど好かれてるんだ? 愛の告白くらいされてるだろ?」

「……なんか、私は『いつまでもどこまでも甘い味がして美味しい』らしいわ」

「なんだそりゃ。ケーキってことか?」

「さしずめソトちゃんはフォークね……」

普段靴下なんて食ってるから、時空神の方のソトは味覚がぶっ壊れたんだな。

食育、ちゃんとしないとだなぁ。イチカにも手伝ってもらおう……

あ、レオナへの示談金は「レオナは十数年後に死ぬはずらしい」という情報で済んだよ。

まぁ物質的なところはレオナなら自分でなんとでもできるからな。