軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

トンネルを抜けたら

俺達は帰路を急いだ。

「ワタル。なんかゴレーヌ村がゴレーヌ町になってるらしい」

「らしいですね? どういうことなんでしょうか」

ツィーア山貫通トンネルを通っている最中に聞いてみたが、この反応、どうやらワタルは何も知らないようだ。

「ロクコとネルネは何か知ってるか?」

「さぁ? でも町って私達が旅行に行ってたくらいの時間でできるものなの?」

「留守を任せたのはアメリアさんですよねー? 四天王の方々の知る魔法にー、町を作る魔法でもあるんでしょうかー? きっと土魔法ですねー!」

町を作る魔法なぁ。ダンジョンの機能を使わないとして……建物だけならクリエイトゴーレム使えばいけるかな。

『神の寝具』を使えばMPは実質無限といっていい。つまり、俺以外がそういう手段を使って町を作ることも可能だ。

もちろん、ダンジョン機能を使えばそれはそれで可能だろう。

むしろ魔国のように人に擬態できるダンジョンモンスターを使えば住人すら1日で用意できるだろう。

……まさかハクさんが村の近くに町を作らせてゴレーヌ町を名乗っているのか?

というか、他の候補が思いつかない。

イッテツはそういう事しないだろうし。するにしても俺に一言あるはずだ。

ツィーアを拠点にしている219番、『光の楽園』のアイツがやる場合はハクさんの指示だろう。ハクさんの手下だし。

「ハクさんの仕業かなぁ」

「案外、イチカさんの仕業だったりして? 美味しいものを食べたくて町を作った! みたいな」

「だとしたらゴレーヌ町ってのは屋台街だな。儲け云々の話と辻褄は合うけど」

まぁうだうだ言うより実物を見た方が早いだろう。

トンネルを抜ければ、そこはゴレーヌ村だ。

* * *

トンネルを抜ければ、そこはゴレーヌ町だった。

いや、トンネルを抜けてすぐ、つまり『踊る人形亭』付近の建築物は俺の知っているゴレーヌ村の光景のままだった。

が、ちょっと遠くにかなり大きな壁が建っていたのだ。

ゴレーヌ村は山の中腹にあり、そこから離れるということは山を 下(くだ) る形になる。

なので見晴らしがよく、少し下った所にある大きな壁というのは良く分かるもので……

こっそりメニューからマップを開いて確認すると、その壁は俺達ダンジョンの用意していた領域のギリギリ内側に建っていた。

帰ってきてダンジョンと接続されたから保有DP表示も更新されてるっぽいんだけど、DPがぎゅんぎゅん増えている。……この増え具合、ハリボテではない町がここにあると思ってよさそうだ。

……なんでいきなり町になってんの!?

「わぁ。ツィーアの町みたいな壁があるわね。どうなってるのかしら」

「これは……町、ですねぇ。宿周りは変わってないみたいですが」

「おー? どのような魔法でしょうかー? レイ達はどんな魔法を使ったのか把握してるでしょうかー? やはり土系ー……むむむー?」

俺達がいない間に何があった!? と驚きを隠せないでいると、カンタラが通りかかった。

「おっ、村長。帰ってきたのか、おかえりー」

「おいカンタラ!? なんだあの壁は!?」

「何って。見ての通り壁だろ?」

見ての通り壁だから訳が分からないんだが?

「カンタラさんー? あれはどういう魔法で作られたんですかー?」

「魔法? ちげーよ。ミーシャ様とクーサンがせっせと作ったんだよ、あっという間だったぜ」

「ミーシャ様とクーサンですかー?……魔法ならドルチェ様かアメリア様でしょうしー、それは確かに魔法ではないー?……何かしらの魔道具を使ってる可能性もー?」

「多分バジリスク使ってるぞ。石化の魔眼が関係してるはずだ」

「魔眼ですかー……」

「アレの効果を再現する魔道具を作れないかなぁ」

「あー! それは楽しそうですー! バジリスクの眼をそのまま素材に使うのはどうでしょうかー?」

「やっぱりそれが近道だろうなぁ……でも簡単には手に入らないよなぁ」

ネルネがカンタラと盛り上がる。そしてチラッチラッとワタルを見る。

「あのー、僕なら手に入れて来れると思いますが……」

「ありがとうございますワタルさんー! 大好きですよー?」

「さすが勇者様だぜ! あ、金はちゃんと払うからな! 相場は金貨20枚だったか?」

「私も半分出しますよー」

「……ネルネさんの分は僕の負担ということで、10枚でいいですよ」

……うん、俺に必要な情報としては、ミーシャとクーサンが短期間であの壁を作ったってことくらいか。バジリスク云々はどうでもいいか……

さっさと知ってそうな奴に聞くのがよさそうだな。つまり――村長代理を任せていたアメリアさんだ。

まだ日が高いし、おそらく村長邸にいるだろう。

「ともあれ、ここらで解散だな。ネルネ、馬をダイン商会に返しておいてくれ」

「わかりましたー」

「ロクコ、壁や町の話を聞きにさっさと帰るぞ」

「そうね。私も色々やることが増えたみたいだし、早く帰りましょ」

そして俺は、ロクコと一緒に村長邸に向かった。

……というか、通りの先には街並みが良く見えるんだが。本当に町になってんなぁ。

ゴレーヌ村だった部分はそのままだが、これはもうゴレーヌ町といっても過言ではないな。本当にどうなってんだコレ。