軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

VS10番コア(2)

『ケーマ、【人化】を解除して!』

ロクコの声。指示に従い俺はナリキンの【人化】を解除する。おっ、息が軽くなった……いや、息してないのかリビングアーマーだし。重力に肺が潰されることもない。

「ククク、やはりその姿が、それが貴様の正体だな! 良いザマよのう? 無様なものよ!」

ニヤニヤ顔をゆがめて俺を見下ろし挑発する10番コア。

……【人化】を解いたおかげで考える余裕が出てきた。

10番コアは『神の毛布』の絶対防御を越えて、俺に魔法攻撃を通してきた。神なら神を殺せるらしい。くそっ、初耳だったよそんなの!

だが何でもありの殺し合いで敵が知らない事をしてきたからと言って文句を言うのは筋違い。『神の毛布』を過信しすぎた俺が悪い。完全に油断していた。

……反省は次に生かせばいい。たとえここでナリキンを殺されても、俺にはまだ次があるのだから。

……いやまて。『憑依』してる魂ごと復活不能な攻撃とかしてきたらどうする?

そうだ。そもそも10番コアは『存在を消す』攻撃が使えるのだ。光神の力だろうというハクさんの推測だし、光神から見捨てられてる現状でそれができるのかは不明だが、不明という事は使えてもおかしくないという事。

一旦退くべきだろうか。退くならナリキンごとだな。

「さて、それでは貴様をどう料理してくれようか……? ふむ、リビングアーマーとなると我が力と相性が良くないな。無機物をアンデッドにするのは骨が折れるのだ」

そう言いつつ近づいてくる10番コア。俺は、手の届くほどの近距離にまで10番コアが近づいてきたところで【エレメンタルバースト】を無詠唱で放つ。光がぐにゃりと歪み、10番コアの顔をかすめて後ろへ。

「おっと、まだ抵抗できるのか。――【 F(フォース) ドレイン】!」

強烈な脱力感。生命力と魔力が奪われる感覚。力が抜けて、【 F(フォース) グラヴィティ】により強化された重力に逆らえずがしゃんと崩れて地面に這いつくばる形になった。

ガシャンッ! と兜――頭を踏みつけられる。

「死なぬ程度にたっぷりと奪ってやったわ、これでもう動けまい? ククク、もはや【ジャッジメントレイ】を撃つ魔力は残ってなかろう。まして無詠唱ではな」

……毛布の効果で急速回復してるのが分かるけど、黙っておこう。

さて、今の【エレメンタルバースト】は歪められたがダメージが通った。ドレインで回復されたが、完全に効かないわけではないらしい。

なにやら超魔法――【エンチャントルート: D(ディー) 】とかで強化された10番コアにも通じる。至近距離なら。

……ん? エンチャント(・・・・・・) ?

エンチャント。それはすなわち、付与。状態変化だ。通常の状態ではない、つまり異常な状態と言っていい。

であれば――アレを試す価値はある。

「ハハハ! フハハハハ! どうしてくれようか、このクソ鎧がッ!」

ガン、ガンッと兜を踏まれるが、これはさっぱり痛くない。兜なので。そんな中、俺は 体(ヨロイ) の中にこっそりと【収納】を開き、俺は切り札をもってくる。

そして俺は、早速切り札――『神の目覚まし』を無音で使用する。あらゆる状態を『正常』に強制する神の寝具。対象は10番コア、いや、この付近の空間全部にしてしまおう。俺の『憑依』だけ解けないように。

「……なっ!? 貴様、何をした!?」

動揺する10番コア。その様子から、企みが成功したことを理解する。

同時に俺は【エレメンタルバースト】を10番コアに叩き込む。10番コアは足を負傷しつつ俺から距離をとった。やはり至近距離からならダメージが通る!

「おのれッ、どうやって超魔法を解除したのだ!?」

俺が感じる重力も元に戻っている。さすが『神の目覚まし』、お父様の力作。

喋れないのも不便なので、俺は再び【人化】する。

「どうやら上手くいったようだな」

「我が超魔法を、よくも、よくも! ええいもう一度、超魔法発動――【エンチャントルート: M(エム) 】……くっ、超魔法発動――【エンチャントルート:30 S(エス) 】……ッ、クソ、クソッ! どうなっておる!? 発動すると同時に解除されるだと!?」

うん、なにせ『神の目覚まし』鳴らしっぱなしだからね。音は聞こえないけど。

……さて?

この状況で、果たして10番コアは俺に対して有効な攻撃が使えるのかな?

こちらの攻撃は、至近距離での【エレメンタルバースト】が通ると判明している。

「さぁ反撃と行こうか」

「ぐ、ち、近寄るんじゃない! 【ダークランス】!」

闇魔法の黒い槍が俺に向かって飛んでくるが、バチンッと目の前で弾ける。『神の毛布』に守られている俺にただの魔法は一切通用しない。精々目隠しくらいの効果しかない。

「ジャッジメントレイ!!」

と叫びつつ、俺は【エレメンタルバースト】を発動する。10番コアは錫杖を前に構えこちらの攻撃を歪めて当てさせてくれない。

だが足は止まる。

近寄り、殴りかかりながらその拳から【エレメンタルバースト】を放つ!

「ジャッジメントレイ・パンチ!!」

「『回収』ッ!」

ぱしゅん、と10番コアが消える。空ぶったパンチと【エレメンタルバースト】。

逃げたようだ…… 潔(いさぎよ) い。さすが長生きしてるコアなだけの事はある、退き際を分かっているな。

『ケーマ、今ならボス部屋通り抜けられるわ。このダンジョンのコアをさっさと回収しちゃったら? ソトには私が報酬あげといたから、いつでも働いてくれるわよ』

『はい。パパ、いつでもいいですよー。……けほっ、少しむせた。キヌエさんの靴下は最高ですね』

おいソト何してんの。まぁとにかく俺は10番コアが戻ってくる前にこのダンジョンを攻略しておく。

コア部屋に足を踏み入れ、黒いコアにタッチ。同時にソトがダンジョンコアを回収。ダンジョンからコアが消え失せた。

「これで勝ったかな。次のダンジョンに行こう――ん?」

バシュンッ! と黒い飛沫が弾ける。何か当てられて、そして『神の毛布』によって無効化されたらしい。飛んできた方向を見ると10番コアがこちらを睨んでいた。

「クソッ、なんなんだ貴様は! 近づくだけで超魔法が無効化されたぞ!?」

「ああ、離れて発動してから、ってのを試したのか。さすが10番コア、と言っておこう」

「フンッ、そのような口が利けるのも今だけだ……【支配】ッ!」

10番コアの目が赤く光る。……が、それだけ。何も起きない。動かずに様子見していると10番コアが突然上機嫌に笑った。

「クカカカ! 手ごたえありだ! 流石にアンデッドコアを媒介とした呪いは効いたか! こいつはダンジョンコアを支配するために余が仕込んだ呪いよ、抗えるものか!」

うん?……ごめん、よく分からないんだけど? 何かされたんだろうか俺は。

「教えてやろう。この呪いはアンデッドコアを破壊した者を支配する呪い。指一本も動かせまい? ン?」

「な、なんだと!?」

そういえば1個目のコアは破壊したな……と思いつつ、あれ? と考える。

今普通に返事できたんだけど? というか指も動かせそうだぞ?

「む、喋れるのか!? その装備に抵抗力があるのか。さっさと始末しなければ……自害せよ!」

「……うん??」

「……む???」

何も起きないぞ。と、そこにソトから通信が入る。

『パパ! さっき保管した黒コアなんですが……なんか変なイモ虫に集られて壊されちゃいました! あ、でもそのイモ虫たちは突然コロリと死んだんですが、毒団子だったんですかねこれ?』

……うん? 訳が分からんのだけど??