軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

決着

「お、おのれっ!? どういうことだ、呪い移しか!?」

「……そういうのをした覚えは全くないんだが」

「ではなぜ余のダンジョンイーターが!? どう考えても貴様の仕業だろうが!」

訳が分からない、と 喚(わめ) く10番コア。

……ああ、そうか。分かったぞ?

要するに、10番コアはあの黒いダンジョンコア――アンデッドコアに呪いを仕込んでいた。破壊した奴を支配するような呪いをだ。

で、俺の方も既に1個は壊してたけど、『神の目覚まし』もしくは『神の毛布』のおかげで呪いを無効化していたのだろう。まったく呪われた感なかったし毛布で弾いたかな。

ダンジョンイーターとかいう奴は、ソトの言ってたイモ虫か。名前からするにダンジョンを食べる者。ダンジョンコアに襲い掛かる性質があったと思われる……って、いつのまにそんなのをソトに仕込んでたんだ? 危なかったな。

ともあれ、そのダンジョンイーターというイモ虫が黒いダンジョンコアを襲い、破壊。俺の代わりに呪われた。そして10番コアが呪いの対象に自害しろと命令した結果、呪われたダンジョンイーターが自害。

というのが今の状況か。なるほど。

「ソト、イモ虫『たち』って言ってたな。1匹だけじゃなくて複数いたんだな? そこに居るので全部とは限らないから、残りがいないかしっかり確かめておけ」

『了解です! 私が食べるならともかく私を食べるとかマジゆるせんですもんね! ニクお姉ちゃん、私の身体を隅々までチェックしてください!』

10番コアに聞こえないように小声でソトに伝えておく。

念の為あとで『神の目覚まし』かき鳴らしつつダンジョンを散歩しておくか。効果あるかは分からないけど。

「さて10番コア。また逃げるか、それとも決着をつけるかここで決めろよ。不意打ちされるのも面倒だしな。俺はどっちでもいいぞ?」

「くっ……!」

たじろぐ10番コア。10番コアの切り札、超魔法も支配の呪いも俺に通じない。

他に切り札が無ければ、俺の勝ちは揺るがないが……

……逃げてもらって、ハクさんに10番コアのダンジョンを攻略してもらう方が安全かなぁ。こっちは順次アンデッドコアのダンジョンを攻略するだけの簡単なお仕事にもどるだけだし。

「……逃げて良いぞ? 見逃してやるよ」

「お、おのれっ……おのれぇ!」

10番コアは激昂して襲い掛かって来た。その姿は、せいぜい老人が杖を振り回して襲い掛かってくるような、その程度の威圧しかない。

俺は【エレメンタルバースト】を撃つ。光の奔流が10番コアに命中する。

「うぐぅ!! く、おぉおお!!」

ぐぐっと力を込めて弾く10番コア。歪曲して当たらないようにしてたバリアみたいなものも『神の目覚まし』で解除されてるのかもしれない。

「くそがっ、余を、余を馬鹿にしおって!! くそがあああああ!!!」

「光の槍よ、聖なる力で敵を貫け。――【ホーリーランス】」

適当にそれっぽく詠唱して唱えれば、神聖な空気を纏った白い槍が10番コアに飛ぶ。

もっと魔法的なバリバリとした魔法エフェクト的な槍が出るかと思ったのに、随分と物質的な白い円錐の長槍だ。太さ20cm、長さ2mほどもあるその槍に、目を見開く10番コア。

「なんだそれは――あがっ!? ぎゃああっ!」

「……あれ、普通に刺さるんだ?」

10番コアの腹に、ざくんっと突き刺さった。【エレメンタルバースト】は弾けたのに、と意外に思いつつ、そのまま畳み掛ける。

「【ホーリーランス】【ホーリーランス】【ホーリーランス】」

「ぐあ、な、ぎゃあ、がふっ」

白い槍が連続で飛んで、頭を庇う10番コアの手足に、容赦なく槍が刺さる。

いわゆる弱点属性、というやつなのかもしれない。なにせアンデッドを使役するダンジョンコアだ、聖属性に弱いのかも? 【エレメンタルバースト】よりは魔力消費がある感じはするが、『神の毛布』を装備している俺にとっては誤差だ。

「ぐっ……こ、これは、なんだ!? 余の知っている、【ホーリーランス】では無いッ!」

「あ、そうなの? 【ホーリーランス】」

「ぐぎゃああああああ!!! ち、力が、ぬけ、るっ……!……【ドレイン】!……ちぃ、不発……」

腕に刺さった槍を抜いて地面に投げ捨てると、ぱしゅんと光の粒になって消える。

どうやら適当に改変したせいか本来の【ホーリーランス】ではないらしいが……まぁ通用するならそれでいい。君が、死ぬまで、撃つのを辞めない!!

「……ッ、――これは、光神の……あ、ぐっ……」

「逃げないのか? いや、もう逃げても無駄なのかな?」

「くそ、余は……余は、真の神に……ッ」

ここまできたら、もう詰みだ。

10番コアが逃げてもハクさんがダンジョンを攻略して殺されるだけ。このまま俺との戦いをしても、勝てない。

「ま、俺は別段恨みがあったわけじゃないけど……運が無かったな10番コア」

「…………くそ、くそ……ッ」

手がぶらりと垂れ下がり、もう頭は庇えない。俺は、頭に向けて【ホーリーランス】を撃つ。

「……呪ってや――」

ざくんっと槍が、10番コアの頭を貫いた。

10番コアの身体は、サラサラと砂の様に崩れて消えて行く。

……これで10番コアを倒した、ってことでいいんだろうか。とりあえず、呪いについては『神の目覚まし』で解呪するとして。

俺はロクコに向かって連絡をとる。

「ロクコ、回収してくれ。そしてハクさんに連絡。10番コアを討ち取った」

『ケーマ! 10番コアのダンジョンで、10番コアが大量に現れたらしいわ!!』

「……は?」

おい、これまだ終わらないのか? というか、こいつは偽物……いや『憑依』だったのか?

まぁいい、それなら――

「じゃ、俺は次のアンデッドダンジョンを攻略するから、配置よろしく」

『……んん? ハク姉様への援軍はしなくていいの?』

「アンデッドダンジョンを全部片づけてからなら手伝うけど」

そもそもハクさんや先輩方は俺がいなきゃなにもできない無能ってわけじゃないしな。

ハクさんから要請があったら対応すればいいだろ、アンデッドコアを引き付けてるだけでも十分な貢献だろうし。

「要請があれば対応するけど、俺はあくまでもこの戦いの1要素。やると決めた仕事をするだけさ」

『ケーマらしいっちゃらしいわね。……分かったわ、次のダンジョンに送るわね』

「ああ、一応色々とハクさんに報告はしといてくれ。呪いとか、アンデッドコアとか、ダンジョンイーターとか」

『了解。じゃ、次のダンジョンよろしく』

俺はロクコに『再配置』されて次のアンデッドダンジョンを攻略し始める。

そうして、8個目のアンデッドダンジョンを攻略したところで、ハクさんの方から「10番のダンジョンコアを破壊しました。こちらの勝利です」と連絡があった。

尚、それでもアンデッドコアはこちらへの攻撃をやめてくれなかったので、残ったアンデッドコアの対応をハクさんにも手伝ってもらい……ようやく、俺達は10番コアに完全勝利した。