軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レイドダンジョンバトル(8)

申し込まれたダンジョンバトルは10番コアのを含めずに15個。

1対15とは圧倒的な戦力差である。準備期間は最短の1時間だ。

「今更なんだけど、ダンジョンバトルに申請拒否が無いってのは不具合じゃないかな。修正されるべきじゃないかな」

「そんなことより、15個同時よケーマ!? どうするのこれ!」

さすがに慌てるロクコ。俺もこれにはどうしたものかと頭が痛くなる。

「……切り札を使うしかないかもしれないな」

「ならそれを使ってとっとと10番を返り討ちにして頂戴! あのジジイ、ハク姉様を白豚呼ばわりしたわよ!? 許せないわ! 戦争よ戦争!!」

「既に10番を滅ぼすためのダンジョンバトル中で、もうとっくに戦争なんだよなぁ」

ロクコは怒りに燃えている。ハクさんを貶されたのが相当頭に来たらしい。

と言うか、ロクコ的には俺が切り札を使えば返り討ちにできるのを一切疑っていないのだろうか。相手は15倍だぞ、15倍。

「だってケーマ、切り札を使うしかない『かもしれない』って言ったわ?」

「言ったな」

「使わなくても勝てるかもしれないけど、使ったら確実に勝てるって事じゃない」

「そう言う意味じゃないんだけど……まぁ勝てるけどね?」

そう。ロクコの言う通り、切り札を使えば確実に勝てる。相手が15コアだろうが関係ない、必勝の切り札といっていい。

だからこそ、なるべく使いたくない切り札だ。特に、ハクさんが見てる前では。

「ならハク姉様に見ないように言ったら良いわ」

「それ通じるの?……まぁまずはハクさんに報告かな。ダンジョンバトル仕掛けられたのも含めて」

というわけで、アバターを通じてハクさんに話しかける。

「もしもしハクさん、報告です」

『前線で何かありましたか?』

「姉様! 10番コアからダンジョンバトルを仕掛けられたわ! 配下含めて15個分!」

俺の発言を横から割り込んでロクコが話す。

『ええ!? まって、援軍、援軍を出すわ! 相手の番号は分かる? こちらからダンジョンバトルを仕掛け返すわ!』

「あらそんな手が……」

そういえば10番コアへのダンジョンバトルではハクさんがお父様と話をつけてあるらしく、裏切者派閥からの番号情報は伏せられていたらしい。

一方で10番コアはそんな根回しをせずいきなりダンジョンバトルを申請してきたようで、相手の番号がそのまま分かるようになっていた。

「でもいいです姉様。こっちはこっちでなんとかするので、10番コアのダンジョンをどうにかしてください」

『え、援軍いらないの?』

「ただ、切り札を使うので、こっち見ないでくださいね」

『……大丈夫なの?』

「大丈夫です!」

ロクコがキリッと言い切った。

……まぁそれでいいって言うなら、切り札を使うか。

「一応、ダンジョンバトル仕掛けてきた相手の番号は報告しますね。ええっと、26番、66番、233番、427番……」

『!……おかしいわ。それ、全部死んでるコアよ』

「そうなんですか?」

『ええ、間違いないわ』

となると、アンデッド型コアである10番は他のダンジョンコアを殺してアンデッドとして従えている、ということか。

なるほど。これは10番コアは正真正銘の裏切者といっていい存在だし、このコアたちは10番コアの言う通り下僕。アンデッドらしい戦い方は、ダンジョンコア規模でも有効だったというわけだ。

「まぁ、私の切り札を使えば問題ないので! 姉様を侮辱した10番コアには、まず最初に私をターゲットにした不運を嘆いてもらいますね!」

『……本当に問題ないの?』

ハクさんの声は、話している最中のロクコではなく俺に向かって聞いていた。

俺はロクコとかわって答える。

「切り札が使えるなら、何人相手でも問題ないですよ」

『分かった。任せたわ。……損害や経費は言い値で補填してあげるわ』

そう言って、任せられた。

報告を終え、ダンジョンバトルへ向けて準備する。

つまり、『切り札』の準備だ。

「さて、それでどんな切り札なの?」

「そうだなぁ……まずは靴下の準備をしないといけないかな……後払いでも大丈夫かな? いっそハクさんに用意してもらった方が喜びそうだな」

「……靴下?」

首をかしげるロクコ。

「ソトへの報酬だよ。なにせ、切り札はソトだから」

「ソトが?……ソトが、15コア相手に勝てる切り札なの?」

「そうだよ」

だって考えてみて欲しい。

ソトのダンジョン、つまり『【収納】ダンジョン』は、他のダンジョンには無い特性がいくつもある。生まれが特殊なのは勿論、その性能が飛びぬけてヤバい。

特にヤバいのが、魂的繋がりがある相手の【収納】を介して、『どんな場所にも出入口を開ける』というものだ。

「……えっと、敵モンスターを聖王国にでも送り付けるとか?」

「おっ、それもアリだな」

なにせナリキンがあちらにいる。あっちでモンスターをDP交換してもらい【収納】を覚えさせたら『出口』の完成だ。

あとは『入口』側に敵モンスターを入れてやればいい。

「でも、相手は15コアよ?」

「何言ってんだよ。ダンジョンの入口を15個作ればいいだけだろ」

ダンジョンの出入口が1つでなくていいのも常識。15コア相手なら15個の出入口を作ってもいいのだ。

「でも、相手がそうそう都合よく『入口』に入ってくれるのかしら」

「なーに、ダンジョンバトルのゲートにフタしてやれば、入らざるを得ないだろ?」

「……え? ゲートにフタ??」

そう、どんなダンジョンバトルでも、確実にゲートを通ってモンスターが行き来するのだ。なら、そのゲートに被せて『入口』を開けば?

「な、なんかすごくズルいわね?」

「ああ、すごくズルいんだ」

しかも、ソトのダンジョンは時間が止まる【収納】である。

時間停止に耐性がなければ、そこに入るだけで完封だ。

「少なくともソトが居れば防衛戦で負けることは無いだろうな」

「……ねぇケーマ?」

「すごくズルいって言ったろ。まったくソトはとんでもない切り札だよ」

せっかくだしソトのダンジョンを拡張するDPを使いまくろう。

『入口』として用意する【収納】のスクロール代も併せて経費としてハクさんに請求すればいいし、俺達の損は一切無い。

しいて言えば、ダンジョンバトルのゲートが村に出てくると大変面倒だというところだろうか?

「あ、お父様にGP払って、相手のゲートの場所を固定できるかな? 地上部に出ると面倒だし、倉庫エリアとかの人が少ない所の方が目撃者も少なくてやりやすそう……いや、いっそ『白の砂浜』に繋げてもらうか」

「あー、あっちのダンジョンなら最悪負けても困らないものね。……確かハク姉様はお父様に言って私達のゲートの位置を近くにしてもらったって言ってたし、そういう調整もできるんじゃない?」

ホント気楽な戦いになりそうだよ。

ロクコの言っていた通り、10番コアには最初に俺達を狙ってしまった不運を存分に呪ってもらおう。

……次回、10番コア死す!! なんちゃって。相手アンデッドだけど。