軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

一旦報告

俺達は一旦ダンジョンに戻り、ハクさんに報告をした。メールで良いかと思ったけれどロクコの顔見たいから連れてきて直に報告しろということだったので、『白の砂浜』にパラソルを刺してテーブルを置き、青い海を見ながらの報告会兼お茶会となった。クロウェさんとキヌエさんが給仕を務める優雅なお茶会だ。

ソト? うん、今日は留守番だよ。何するか分からないんだもん、ハクさんに指名されてなかったら呼ばないに決まってるじゃないか。なにせ初対面でタイツ食べた前科があるからな。

幸い今回は特に後ろめたいこともないため、俺の胃も安心である。……ごめんうそ。聖王国でナリキンとロクファに『憑依』した状態とはいえ、ロクコとだいぶイチャイチャしてる自覚がすごいあるので割と殺される覚悟をしてる。

「……というわけで、地図は書き写しておきましたのでこちらをどうぞ」

俺が差し出した怪しい場所の地図を受け取り、ハクさんが満足げに頷いた。

「サンシターの……果樹園。ふむ、怪しいとは思っていましたが、メロン500個をすぐさま収穫できるというのはあからさまにおかしいです。よく見つけましたね」

「なんか、鳥とか虫を追い払う魔道具があるらしいですよ。で、『憑依』用のモンスターは潜入には向かないので、これ以上を調べるならハクさんが送り込んでいる密偵とかに任せた方が良いんじゃないかと」

「賢明な判断ね。……ここまで的確に範囲を絞りこんでくれれば、こちらも動きやすいです。何か分かったら情報を共有しましょう」

地図をクロウェさんに渡し、お茶を一口飲むハクさん。

「それにしても……ケーマさん、随分と思い切った調査をしたものね?」

「あー、すみません。帝国の貴族って扱いだとハクさんに迷惑かかっちゃいますかね」

「いえ。我が国には『ナリキン』という貴族は居ないから問題ないわ。いち冒険者はいるかもだけれど、Cランクまでなら別に外国籍だろうと取れるものだし」

つまりイチャモン付けられてもすっとぼけるから好きにしろという事らしい。

「そっちではなく、メロン500個の方よ。個人で消費する量ではないでしょうに」

「まったくですね姉様。食べても食べてもなくならないレベルでメロンが箱いっぱい、そして箱自体もいっぱいなんですよ。しばらくはメロン見たくないってくらいですね、メロンパンならいいんだけど」

「食べ過ぎて吐かないようにね」

と、やれやれと肩をすくめるロクコに、さすがのハクさんも苦笑する。

「ああそれと。混沌の犬に洗脳されてる疑いもないわけではないから、お父様から頂いた『目覚まし』を定期的に使っておきなさい。お父様のお力であれば、少なくとも魔法やスキルによるものであれば解除できます」

「あー……はい」

「言われてみれば、普段のケーマだとあんなにお金ばらまくような事しないわよね。旅先で気が大きくなってる、ってだけならいいんだけど」

「『憑依』を使うと身体に意識が引っ張られがちなので、そういう影響もあるでしょう。憑依先のモンスターは人化しているとはいえリビングアーマーなのでしょう? 体の構造が根本的に違いますから、かなり影響すると思いますよ」

身体に意識が引っ張られる、そういうのもあるのか。確かにナリキンに憑依してると自然と尊大な口調になったりするもんな。そういう演技してるっていうのもあるけど。

「ロクコちゃんの依り代の方は……天使だったかしら? また珍妙なものを選んだわよね」

「見慣れると結構可愛いですよ?」

「そうなの? でもロクコちゃんもあまり影響を受けないように気を付けてね?」

「大丈夫です姉様、むしろ私が影響させてやります!」

うん、ロクファが存外にナリキンとの距離が近くて積極的なのってロクコの影響受けてるのかもしれないね。

「しかし、混沌の犬と同行している以上は洗脳される懸念は消せません。送り込んだモンスターが帰ってきたら、まず『目覚まし』を聞かせるのを忘れぬよう」

「はい、わかりました。肝に銘じておきます」

目覚ましは帰ってくるのを待たずにソトに頼んで一旦持って行ってもらうのもいいな……おっと、ソトの輸送力についてはハクさんには秘密だけど。

「とりあえず、情報に対する報酬です」

「あ、どうも……!?」

金貨がどっさり入った袋だった。……いつもワタルが持ってくるのに似てるので、たぶん100枚分。持ち上げたときの重さもそんな感じだ。

「こんなに貰っていいんですか?」

「別に構いませんよ、中々の情報でしたから。……覚えておきなさいケーマさん。こういう情報に報酬を惜しむと、大抵碌な事になりませんよ」

「勉強になります」

ハクさんは口元を隠しつつ笑った。情報は大事、ケチるな。よし覚えた。

「……時に、メロン500個も食べきれないでしょう。聖王国からゴレーヌ村まで送ったら私のところに持ってきなさい。このルートを使えば足が付きませんから、いくらでも引き取りますよ」

「あ、はい」

「もちろん、食べられる状態ならその分の対価は支払いますから。【収納】用の配下もたくさんいますから遠慮しなくていいですよ。いいですね?」

……メロンクリームソーダ大好きだもんねハクさんって。ソーダ水とアイスもセットにして送ったらきっと喜ぶに違いない。

あと【収納】用の配下て。まぁ時間が止まる倉庫は便利極まりないのは間違いないけど専用の配下がいるとかさすがハクさんだ。

「姉様、【収納】用のモンスターなんているんですね」

「ええ。魔剣に【収納】覚えさせておくという手もあるわ。便利よ」

なるほど、魔道具でなくモンスタータイプの魔剣ならスクロールを使えるのか。そして詠唱が必要な魔法は喋れない魔剣には発動できないが、【収納】は詠唱が要らない魔法なので使えるらしい。

確かに色々と便利そうだな、寿命も無いから長く使えるし。指輪サキュバスも普通に使えそうだし、こっちは普通に詠唱が必要な呪文も使えそうだ。……今度覚えさせておこう。3人で【収納】が使えれば、単純に【収納】容量3倍だ。……ソトのダンジョンになっててそれどころじゃないけどね!

「……ん?」

まてよ? そうなると、いっそ【収納】を覚えさせた魔剣をダンジョンでばらまけば、勝手に全国津々浦々に散らばるのでは? そして、そいつらは俺の配下なのでソトの【収納】を繋げられる対象になる……

いやまぁ、ハクさんから見たときに「何を無駄にばら撒いているのか」ってすごい違和感を覚えられそうだから、客寄せのための超大当たりという名目で1,2本が限度だろうし、実際冒険者が押しかけてきそうだからやめとくか。