軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョンアタック観戦

俺はロクコと一緒にマスタールームからダイード国王子たちのダンジョン攻略を見物……いや監視……いややっぱり見物だな。見物することにした。場合によってはこちらから手出しをする事も必要だろうし。

「ケーマ、何か食べる?」

「あ、じゃあポップコーンでも食うか。あとジュースも付けよう」

モニターに王子たちを映しつつ、大きなクッションに背を預けて映画かスポーツ鑑賞のように気楽な見物だ。なにせうちのダンジョンは万全、多少腕がいい程度のパーティーでは完全攻略することはできないのだ。

ポップコーンをむしゃりと食べつつ、オレンジジュースで流し込む。うむ。冒険者のダンジョン攻略は、安全を確保した上でなら立派な娯楽だよな。いっそ前線の様子をモニターに映し出すダンジョンとかも面白いかもしれない。やらんけど。

「それ、メロンパン味とか無いの?」

「……見たことないなぁ」

「じゃあいいわ、それ少し頂戴」

「あいよ」

ロクコとポップコーンをシェアしつつダンジョンアタック鑑賞だ。平和だなぁ。

王子たちのダンジョン攻略はとても順調だった。

改めて今日も入口から入って迷宮エリアを攻略していく。ゴブリンやクレイゴーレムでは相手にならない。昨日と同じ要領でガンガン進んでいく。

お試し部屋では試用魔剣を抜いた王子が「こんなに簡単に魔剣が手に入るとは」と言いつつ『影』の冒険者に「それは試用品で、この部屋からは持ち出せない」と言われ渋々台座に剣を戻していた。

この『影』は準勇者級なだけあって安定感がある冒険者だな。王子含む他の3人は好き勝手に好きな事をしてるだけな感じだし、情報も集めていないようだ。

……王子達だけならお試し部屋だけですら撃退できそうなところを、『影』がしっかりアシストしている。というか、王子達は遊園地にでも遊びに来たかのような気楽さすぎるのだが、本当に冒険者ランクでダンジョンに入れるだけのものを持ってんのだろうか?

「というか王子側近の魔法使い、魔法使いのくせに脳筋っぽいなぁ」

「魔法と頭の良さって関係あるの?」

「……そういや無いな」

基本的にこの世界の魔法使いに頭の良さはあまり関係ない。魔法を使う事と頭を使うかどうかはまた別の問題なのである。

基本的に魔法は弓矢みたいな飛び道具と変わらないモノだ。戦士と比べてもそこには筋力で殴るか魔力で殴るかの違いしかない。所詮魔法とは便利な道具のひとつにすぎないのだ。

魔力を使う代わりにいつでも作れて場所を取らないのが利点だ。

そうこうしているうちに王子たちは迷宮エリアを突破。『強欲の宿屋』をスルーして螺旋階段エリアへ向かうようだ。

『よぉし、この先に魔剣があるんだな!』

『ここから先は情報が少ない。気を付けてくださいよ王子』

『お、うむ。そうだな。ケンホ、露払いは任せるぞ』

『大きい階段ですね……落ちたら怪我しそうです。気を付けるんですよケンホ』

『まかせとけ! 次期騎士団長の俺がお手本を見せてやる!』

『……命綱つけておきましょう、ケンホ殿』

螺旋階段エリアに突撃しそうだった王子達を抑え、ついでに露払いの脳筋前衛に命綱を結ぶアシスト。ほんと、この『影』がいなかったらもう決着だろうなぁ。

実際命綱が無かったら、このケンホとか言う奴は壁に押し出されたり階段の板が折れて足を踏み外したりで大怪我あるいは絶命していたところだ。5、6回ほど。

『この壁が出てきてこの段が折れる、と……次は俺が行きつつ印つけておくんで、それを参考に来てくださいね』

『うむ。承知した』

『やはりプロの冒険者は頼りになりますねぇ』

この『影』の人、……ドルチェさんが交渉して聞き出した話では、ダイード王家に仕えてる暗部が雇われ冒険者という 体(てい) で接触して護衛しているんだとか。

(尚、交渉と言ってはいるが目が合った瞬間に寝転がって腹を見せるレベルで情報開示されたそうな。余計なトラブルは御免だと言わんばかりに)

そうこうして螺旋階段エリアを無事攻略され、倉庫エリアに足を踏み入れる王子達。

とりあえず魔剣が目当てっぽいし、こういうのはさっさと持って帰ってもらうに限る。下手に後遺症が残るような怪我をされても厄介だし。スイートルームに泊まるならまだ話も違うところだったんだが。

……あ。ちなみにドルチェさんは2泊くらいスイートに泊ったのち、レイスのくせに教会に寝泊まりしてるので今はスイートルーム空いているぞ。

しっかしレイスなのに教会とかなー。まぁオフトン教だからなー。

地下がひんやりじめじめしてて怨念も溜まってて落ち着くらしい。……教会なのになー。怨念とかなー。教会の地下、犯罪者を閉じ込めてる牢屋があるからなー。ドルチェさんが溜まってる怨念も食べてくれるっていうからむしろお任せだけどなー。

「で、どーするのよケーマ?」

「……とりあえず、ハニワゴーレムに遭遇しないようにして、魔剣を見つけてもらおうか」

というわけで、適当にゴーレムをけしかけつつ魔剣のある部屋へ誘導。

王子たちはなんとダンジョンアタック2日目にして魔剣ゴーレムブレードを手に入れることに成功したのである!

『王子、これは魔剣のようです』

『おお! やったなハークス、これくれよ!』

『む、まぁまだあるだろうしその剣はケンホにやろう。さっき階段を降りるときに先行してもらったしな。クルシュもそれでいいか?』

『ええ、私は構いませんよ。私は後衛ですし』

『影』の冒険者が壁にかかっていた魔剣を王子に渡すと、それをケンホがもらい受けた。……今の口ぶりだと、人数分は魔剣を確保したそうな感じかなぁ。下手したらもっと獲れるだけって感じか。

「ケーマ、こいつらに何本くらいあげるの?」

「とりあえず……5本かな」

魔剣といっても俺の【クリエイトゴーレム】によるものなので、元手は銅貨1枚もかかっていない。だが本来貴重品な魔剣をバラ撒くと価値が下がってしまう。そこの調整はよく考えなきゃならない所だ。

が、まぁこれくらいの腕の連中には5本くらいやっても良いだろう。なにせPT全員の一日当たりのDP値を合計するとワタル級だからな。

……あ、でもワタルって今どれくらいだったっけかな? このところ見てなかったから分からんな……

『おお! これで3本目だな!』

『クルシュの分も手に入ったな! ほら、持っとけ!』

『フッ、ありがたく受け取っておきましょう』

というわけで、結局王子たちは俺が予定しておいた5本の魔剣を持って引き返した。

さーて、これで帰ってくれればいいけど。こいつらにボスが通用するか分からないしな。