軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

騎士団団長サリーさん去る

俺は、応接室で第一騎士団団長ことサリーさんと向き合って座っていた。2人きりで。

だが決して色っぽい状況ではない。気分は生活指導の先生に呼び出しを食らった生徒である。

どうやら、ここに来てから影が薄かったサリーさんだが――俺の身辺について調査をしていたらしい。

「いやぁ、お風呂とはいいものですね。あのベッドも。……もう2、3日泊りたいところですが、そろそろ次の目的地に行こうかと。……時に、ケーマさんは何やら面白い物を作られたようですね?」

「……あーはい、ちょっと教会作りまして」

「ほう、教会。――白神教ですか?」

「……いえ、オフトン教です」

「そうですか、オフトン教。聞いたこと無い宗教ですね? 聞いたところによれば、ダンジョンで聖典を見つけた、ということらしいですが?」

うん、それ把握してたのになんでどの宗教の教会か聞いたの?

あ、はい。なんとなく分かりますスイマセン。

「……はい。先日、自分で作りました」

「そうですか。ハク様に報告しておきますね」

「……そういえば報告してなかったですね、お願いします」

『 白の浜辺(ホットライン) 』つかえば一発だが、折角なので頼もう。報告を遅らせるという意味もある。

「一応、白神教とは仲が良い、という立場で良いかと思いますが――サブ宗教とは、いやはや。どのような問題が起きても私達に迷惑が掛からないよう、ケーマさんだけで対処してくださいね」

「……はい」

聞いたこと無いどころかバッチリ把握してんじゃねーか。

いやまぁ、村人にもどういうのか話が流れてるし知ってても当然だけどさ。

「あ、それと話は変わりますが、シキナ・クッコロについてです。……『フタナール』を浴びて性別が混沌化してしまったようですね? 確認したところ、効果は一時的なものだと思いますが」

「はぁ、何か注意する点でもありますか?」

「ロクコ様に近づけないようにだけ気を付けておいてください。あの手の薬は、円満に子孫が残せるようにと媚薬効果も付加されていることが多いので」

「アッハイ」

やべぇな、シキナがさらに酷いことになってるのか……。

というか、確認したって何を確認したんだろうか。モノを確認したんだろうか?

いややめとこう。彼氏持ちのサリーさんが生えたシキナに何をしたかなんて俺に関係のない話だ。

「いっそ効果が切れるまで拘束して監禁するのが良いくらいです」

「はっはっは……検討しときます」

ちなみに俺は生えてからのシキナとあの1度しか顔を合わせていない。セツナに使い方を習いにいかせてからは殆ど部屋に引き籠っていたはずだ。何してるかは知らん。

このまま部屋の扉を外から封じてしまうのも良いか。

「しかし、領主の娘にもシキナにも手を出さないんですね。少し意外でしたが」

「え?」

「あ、いえ。なんでも――なくはないですが、まぁ気にしないでください」

そういう言い方されると気になるんだが……

というか、やっぱりマイオドールもシキナも、ハクさんの息がかかってるハニトラなのか。いや、シキナは割とわかりやすい所あったけど。

「これはひとり言なのですが、次で最後だと言ってました」

「最後、ですか?」

「ん? おっと、私何か言いましたか?」

ああ、あくまでひとり言なんだな。

……で、つまりあと1人ハニトラが来ると。OK分かった。

しかし分からない点もある。

なんでサリーさんはそれを俺に話したんだ?

ハクさんの差し金か、それとも独断か……差し金だとしたら「1人」というのはブラフで0人かもしれないし、2人以上かもしれない。

独断だとしたら、やっぱりサリーさんがそうする理由が分からない。

俺が困惑していると、サリーさんは「ふふ」と軽く笑って席を立った。

「それでは私はこれで。……くれぐれも、ロクコ様に害の無いように。それと、膝枕の件も報告しておきますね」

「……ハイ」

ば、バカな、どこから話が漏れた! 監視用のハエ型モンスターでもいるのか!?

ロクコが話すとは思え……思えるな!

ともあれ、サリーさんは彼氏と腕を組んで仲良さげに去って行った。

見送りの場にはロクコが来たため、シキナは部屋で待機のままとしておいた。

あと、サリーさんにバラしたのはロクコだった。なんてこった……

「いや、ケーマってばハク姉様のこと誤解してない? 優しいわよ、ハク姉様」

「お前に対してはな! 俺には非常に厳しいぞ……」

「ケーマにやましい所がないなら別に問題ないでしょ?」

「ハクさん相手にロクコの件はやましい所に当たるじゃないか、膝枕とか添い寝とか」

「……そ、そうかしら? ……いいじゃない、私がしたいんだから」

命の危険が無かったらいくらでもしていいと思うよ。うん。

「そういえば、教会の方、管理人用意したのね。1000DP丁度で」

「ああ、サキュバス達の仕事になったよ。どうだまいったか?」

「……別に勝負してたわけじゃないけどね。でも、ケーマ、知ってる?」

「ん? なんだ?」

「私、1000DP以上使ったらだめって言ったはずなんだけど。1000DP丁度って……アウトよね?」

「……え?」

俺はメニューを見る。1000DPと表示されていた残りDPのところは、0DPとなっている。

……これって、あれか。残りの資金とかいうわけじゃなくて、残りHPが0になったら死亡的な――

「マジかぁ……」

「マジよ。えっと、それじゃあケーマ? 私のお願い、聞いてくれるわよね?」

ちらりちらり、と俺のことを遠慮がちに見るロクコ。……はぁ、仕方ない。これは俺のミスだ。

「……俺は何をすればいいんだ?」

「…………! ま、またあとでね! 今はダメよ、今は。まだ明るいし! あ、今日も日が悪いかしら? スイートルームの片付けしないとだし!」

そう言って、顔を真っ赤にしてロクコは宿に戻って行った。

ロクコ、お前は一体俺に何をさせる気なんだ。

……きっとスイートルームで添い寝してくれとかそういう感じだろう。うん。

さーて、マイオドール用の家はどこまで建ったか確認してこようかなー。

ちなみにその日の夜にロクコからバニースーツを渡された。DPで交換したらしい。

広げてみるとちゃんと男物サイズだ。

……え? これを着ろって? 誰得だよ! あ、ロクコ得なのか!?

ロクコの趣味っていったいどうなってるんだ……ゴブリンフェチだけじゃなかったのか……謎が深まるな。

……え? マジで着なきゃダメなの?