軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝都観光(1)

ハクさんの離宮とゲートがつながって二日目、俺は帝都の観光をすることにした。

それは最初のダンジョン建設先候補、それが『帝都の中』だからだ。

なぜかって、理由はいくつかあるけど、一番の理由はダンジョンバトルの後ここに俺らのダンジョンが飛び地であった場合、そこに『配置』することで一瞬で帝都まで行けるんじゃないか、というものだ。

え? 今回のダンジョンバトルにおける利点? 現地冒険者を当日に呼び込んで防衛させるとかかな。けどこれは別にほかの場所でもできないことはない。

先に言ったことのちゃぶ台返しになるが、ぶっちゃけここでやるのはないと思ってる。ああ、建前だよ建前。

本当の理由としては、ここを一度見ておきたかったからだ。

ハクさんの本拠地にして冒険者のメッカ、帝都。大国の首都なだけあって発展しているし、人が多い。

今こうしているこの大通りもダンジョンの領域で、視界内にいるたくさんの人……のみならず、この帝都にいるすべての者がハクさんのDPを生み出す元となっている。

単に観光という意味でも、うちの村の最終発展形という意味でも、見ておいて損はない。ここまでやる気はないけど。

「人が多いですねハク姉様。こんなたくさんのニンゲンを見たのは初めてです」

「ふふふ、このくらい日常茶飯事よ」

ちなみに、下見についてはハクさんも同行していた。

ただしそのままの姿で同行すると当然大変なことになるので、DP節約形態……ロリモードでついてきていた。

外見年齢可変式はロクコだけじゃなかった。ロクコのロリ状態よりはやや年上のお姉ちゃんに見える。大人びた少女、といったところか。

そんなハクさん(小)を姉と呼ぶのに合わせるため、当然ロクコも小さい方の姿である。

ついでにニクも一緒だ。

……この布陣を、ロリトライアングルと名付けよう。いや、名付けたところでどうというわけでもないけど。

「……ああ、ケーマさん……おにいちゃん、とか呼んだ方がいいかしら?」

「や、そこは普段通りでお願いしますどうかこの通り」

「そ。それじゃ、どこか行きたいところはある? この帝都で私の知らない場所は無いわよ?」

先頭を行くハクさんがくるりと振り返って、無邪気にみえる笑顔で言った。

名実共にこの帝都を掌握してる人が言うと重みが違うな。

「そうですね、いくつかの店と、冒険者ギルド……それと、地下闘技場とかいうのを見ておきたいです」

「あら、地下闘技場……ふふ、それは夜ね、じゃあまずは商業地区を案内しましょうか」

*

ハクさんに連れられて商業地区へやってきた。野菜や果物の店、服や装飾品を売っている店。肉屋に魚屋もある。そういえば海も近くにあったな。ツィーアよりも盛況だ。

武器や防具の店は見当たらない。そういうのは別の地区で売っているんだろうか。

「ここは商業地区のメインストリートよ。一応装飾品程度の武具も売ってるけど、基本的に武具は冒険者通りで売ってるわ。照明とかの生活に便利な魔道具もこっちで売ってるわね」

ということらしい。早速ロクコがハクさんにつれられて服屋に入っていった。高級そうな店で、皇族御用達で、お忍びのロリモードについても知っているらしい。むしろお忍びでふらりと立ち寄って買い物する用の店だとか。

……完全にショッピングだな。一応ついていくけど。

「ダンジョン産の服飾系アイテムに勇者のもたらしたデザインなんかもあるから、種類は豊富よ。ほら、このウサギの衣装とか、白い天使の衣装とか」

「バニースーツにナース服じゃないですか……過去の勇者ェ」

婦警さんの服にメイド服とかスク水もあった。素材はこっちの世界のでどうにか作っているようだけど、再現度がとても高い。ちゃんと男性用の衣装もあるあたり、深いこだわりが感じられる。……かつての勇者にコスプレイヤーでもいたんだろうな。

「お値段は……うん、金貨数十枚とか。やっぱり服は高いな……」

「ここは皇族御用達の最上級店だもの。さ、ロクコちゃん。お着換えしましょうか」

「は、はいっ」

といいつつ、ハクさんの手にあるのは先ほどのバニースーツとかなんだが。ビキニアーマーもあるぞ、いいのかロクコ。

ハクさんは指をパチンとならして店員を呼びつけると、ロクコと共に店の奥へ入っていった。俺とニクは置いてけぼりである。

「ニク、じゃなくてクロも何か欲しいものあるか?」

「その……ではその、あ、あちらの衣装を見たいです」

そう言ってニクが指さしたのは、下着コーナーだった。

……難易度高いな。

ロクコはいろいろ着せ替えられていたが、結局無難なワンピースになっていた。

ちなみにDPで出した方が安上がりで品質もいいので、俺は買わなかったが、ハクさんはそれはもういろいろ買っていた。ツケで。

わざわざ代金を城に取りに来させるのも、この店を優遇しているがゆえのパフォーマンスらしい。城とのやり取りがある、と周囲にわからせるためだとか。そういうのもあるんだなぁ、面倒くさい。

「金をばらまいて経済を回すのも上に立つ者の義務よ。ああ、これはダンジョンバトルが終わった後にロクコちゃんにプレゼントしますからね」

「はいっ。ありがとうございますハク姉様!」

買った衣装、結構キワモノだったけどいいのか? 着てるところは見てないけどさ。

「次は魔道具の店に行きましょうか」

*

魔道具の店では、様々な道具が置いてあった。

火をつける魔道具、水を出す魔道具、照明の魔道具。ここらはポピュラーで、売れ筋らしい。冒険者通りの店でも売っているとのこと。

鍵盤ハーモニカのような楽器の魔道具や、ジャガイモの皮をむく調理用の魔道具なんて言うのもあった。魔道具である必要があるのかわからない万年筆の魔道具とかも……うん? 自動でインクを補充してくれる? インク切れしないってことか、へぇ、そりゃすごい。

中でも、紙を生産する魔道具とかが一般向けに売られているのは驚いた。

「この『製紙くん』は、かつての勇者が作り上げた魔道具ね。細かくした木材を投入すると紙にしてくれるのよ。その『永久万年筆くん』も併せて買ってく商人が多いわ」

『○○くん』っていうのはその勇者が開発した魔道具シリーズの名前にある特徴らしい。見れば、他にも『○○くん』と名の付く魔道具がいくつも並んでいた。

「紙作るのってわりと重要な道具だと思うんですが、普通に売られてていいんですか?」

「発明者の意向なので仕方ないのよ。けど壊れたら帝都でしか修理できないようになってるわ」

ちなみにこれ、一度にA3用紙サイズの1枚だけ、1枚の紙を作るのに数時間かかるという代物で、購入者はメンテナンスやアフターケアの名目で名簿に記録されるとのこと。

そういう生産系の魔道具をみてたら、ロクコが鍋を片手にやってきた。

「ケーマ、この『薪要らずの鍋』ってのすごくない? 自動で鍋が熱くなるんだって!」

「ホットプレートみたいなのか。温度調整はできるのか?」

「調整はできないみたいだけど」

「おっ、こっちの『加熱鍋くん』なら薪要らずで温度調整もできるみたいだぞ。弱、中、強と……冒険者にも料理人にも人気の高い一品、か」

温度調整できない方は銀貨5枚、温度調整できるのは金貨5枚だった。たった3つに温度を変えられるだけでこの差とは……

「それね。『製紙くん』もだけど、作れるのが『勇者工房』しかなくてね。……それに、安い方は壊れやすいのよ」

ブランド品ってことか。

そしてあまりに安いのだとカバンの中で発火することもあるそうな……もとい、そういう粗悪品を作らせて出所不明のノーブランド品として流すことで、相対的にブランド品の価値を上げているから買わない方がいいんだとか。

日本でやったら売った店が訴えられるところだが、この帝都ではブランド品以外は全部保証書のないジャンク品みたいなもんで、自己責任。全く上手くできてるぜ。

あ、作ったのハクさんか。