軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ゴーレムの可能性(2)

寝て起きたところで、テストールはそれなりの量の土を持って帰っていた。

だが、作業中に自分の掘った穴にはまって帰れなくなり、そのまま動きを停止していた。マナが切れたようだ。

動かなくなったゴーレムは魔力を注ぎ込めばまた動く。通常、1時間程度動くというのが【クリエイトゴーレム】による知識だ。

「ダンジョンの外だとどれくらいの時間動けてた?」

「んー、1時間くらいね。モンスターのゴーレムだともっと長い時間外で動けるはずだけど」

他に【クリエイトゴーレム】で覚えた知識に何か情報はないだろうか。と、思い出すように情報を引き出すと、『魔石を埋め込むと、持続時間が長くなる』という知識があった。

ただ、肝心の『魔石』についての知識は全くない。

「ロクコ、魔石ってなんだ?」

「え? 魔石ってあれでしょ、えーと、マナがいっぱい詰まってる石よ。モンスターからよくとれるけど……あ、そういえばモンスターのゴーレムには魔石があるものだけど、ケーマがつくったゴーレムには魔石ないの?」

無いんだなぁこれが。

つまり、ゴーレムにとってはバッテリーみたいなもんか。ダンジョン内ではマナが充満してるから問題ないが、外ではそれほどでもないので魔石がないとすぐ動けなくなる、と。

幸い、テストールはニクがすぐに回収できた。30センチのゴーレムが出られなくなる程度の穴だったからな。子供でも十分だ。引きずってたけどそこはしかたない。バスケットボールくらいの土の塊だし、それなりに重いはずだ。……うん、ケモ耳娘は力持ちなんだろうか。

ダンジョンの領域に入ったところでテストールは動き出して、また穴を掘りに行こうとしたので止めて、ニクと戻るように命令しなおした。

動作を停止しても命令は持続するようだな。この情報もいい収穫になった。流石テストール。

「というわけで、今後はゴーレムに土や石を回収してもらうとして……魔石欲しいなぁ」

「魔石? DPで交換すれば?」

「……やべえ、その発想はなかった。ロクコに言われるまで気づかないとか、俺は馬鹿だったのか……ショックだ」

「どういう意味よ?!」

DPカタログを見る。魔石はお宝の項目にあった。宝石とかと同じカテゴリのようだ。魔石もいくつかグレードがあるようで、安いものは10DP、高いのは数万DPと、色々あった。とりあえず安い魔石をいくつか買って、これも色々試してみよう。

「そうだニク。字は読み書きできるか?」

「……でき、ません。申し訳ありませんご主人様……」

申し訳なさそうに頭を下げるニク。うん、怒ってないよ? なんか心痛くなる。

「そうか。じゃあロクコ、ニクに字を教えてやれ。ちゃんと覚えさせられたらいっぱいメロンパン食べていいぞ。ニクも、ちゃんと覚えたらハンバーガー食べ放題だ」

「え、メロンパン食べ放題?! わかった!」

「よ……よろしいのですか?」

うんうん、ニクはハンバーガーが絡むと目に光が入るな。というか今、かなり目が生き生きしてる気がする。助けたころの死んだ魚のような目はどこかに消えたようだ。うん、子供は元気なのが一番さ。

しかしやっぱり犬耳娘は肉が好きなんだな。牛ステーキとかあったら大喜びだろうな、DP交換できないか探しておこう、お礼に足を撫でさせてくれるかもしれん。

そのうち、ニクには洞窟の外でいろいろ作業してもらう必要があるから、いろいろ覚えてもらわないとな。

というか、今更だけど奴隷のままでいいんだろうか。……いや、奴隷じゃなきゃマスタールーム出入りできないのかもしれないから、今どうにかする必要もないな。

この世界、奴隷ってなにか魔法的な縛りとかもついてるんだろうか。見た目的には首輪がついてるけども……まぁ今度でいいか。

さて、ニクとロクコが文字の勉強をしている間にこちらはゴーレムの作成だ。

普段ならそろそろ眠りたいところだが、そんな俺も1つだけ睡眠より優先することはある。

ぐっすり眠るための準備だ。

当方にはぐっすり眠るためなら睡眠時間を削る用意がある!

うん、結局睡眠が一番だよね。

いくつかの魔石と掘削用にツルハシをDPと交換して手に入れる。

DPはまだ3500DPはあるが、無駄遣いすればあっという間になくなってしまう。

魔石は10DPのものをひとつ、テストールに埋め込んでみた。これでどのくらいの期間ダンジョンの外で動けるのか……テストールにはダンジョン領域外で畑でも耕しておいてもらおう。手は鍬の形にマイナーチェンジしておいた。

まだしばらくは冒険者もこないだろうし、外で作業させても大丈夫だろ。

そして今度は人間大のゴーレムを造ることにした。

一回くらいはクリエイトゴーレムの設計図通りに作ってもいいだろう……

……

…………

あ、ちょっと土が足りないな。

せっかくだから中抜きして軽量化しておこう。材料の節約になるし。

あと10DPの一番安い魔石を埋め込んでおく。

そんなことやってみたら結構キビキビ動くゴーレムができた。

テストールより動きが滑らかなのだ。中抜きの効果だろうか?

ニクに文字を教えていたロクコがなんかこっちを見て驚いた顔をしていたが、気にしないでツルハシを持たせて洞窟の拡張をさせることにした。「これで洞窟を掘り進めてこい」っていうだけでいいんだから楽なもんだ。

ああ、堀った岩をつかってオール石材のゴーレムも作りたいな。

前に山賊が掘ってた石、DPにするんじゃなくてアイテムとして回収しておけばよかった。

*

10DPの魔石を埋め込んだテストールは、一日経っても平然と畑を耕し続けていた。

まだまだいけそうだ。どこまでもつかな。

そしてツルハシを持たせたクレイゴーレムの方は洞窟を5m掘り進められていた。大の大人が通れる通路が5mだ。

うん、これはなかなかどころかかなりの働き者じゃないか。関節が壊れかけてたので石材で修理してやり、再び穴掘りに戻らせた。この調子で石や土の貯蓄を増やすのだ。ついでに洞窟を拡張するのだ。

で、さっそくストーンゴーレムもつくってみた。

パワードスーツ型の。

「ねぇ、ケーマ。これは……なんなの?」

「ゴーレムアーマーだ」

「なんでニクがゴーレムの中にいるの?」

「そりゃ、着てもらったからな。ニク、ちょっと動いてみてくれ」

「は、はいっ」

今回、フレーム型のゴーレムをニクに着てもらって、ゴーレムにはニクの動作をアシストするように命令してあった。

ニクが歩くが、重さを感じさせない挙動を見せる。素早い挙動にはついて行けていないようだが、ひとまずは中身がシェイクされて即死、みたくはならないようで安心した。

「すこし歩きにくいですが、問題ないです」

「よし、この壁を殴ってみろ」

「まって、それ何よ。なにその石の板」

「壁だけど?」

正確にはあまった石でゴーレムと同じように作ったので壁ゴーレムというところか。動かないように命令、というか何も命令してないから実際ただの壁だけど。非常にシンプルな構造のため、かなり魔力は節約できた。バリエーションとして岩肌の壁とか煉瓦風の壁とかもできそうだな。

「いき、ますっ……ていっ!」

ぼごぉ! と石の壁が見事に砕け散る。ロクコがかなり驚いていた。

殴ったニクも目を見開いて驚いていた。

殴るところはしっかり石で包んであるので、手を痛めたりはしてないだろうけど、大丈夫だっただろうか? そこが今回一番大事なところだ。大丈夫そうだったら俺も使うんだから。

「よし、見事な攻撃力だ。これで戦闘もできるかな? ニク、手足に異常は無いか。怪我してるようなら大変だからちゃんと言えよ?」

「だ、だいじょうぶです」

「よしよし。魔石埋め込めば外でも動けるみたいだし、単純作業にもいいだろう。もうちょっと改造して服の下に全部隠れるようにするか、あるいは逆に全身鎧風にすれば……人里まで降りていっても問題ない、かな?」

デザインはこのあいだの騎士団のを参考にしてみようか。なんて考えてたら、ロクコが首をかしげて言った。

「ん? ケーマ、人里まで行くの?」

「ああ。さすがにこれ以上引きこもってるだけじゃ何もできないからな……今なら騎士団が山賊を片付けてくれたこともあって比較的安全に人里まで行けるだろう。情報収集しないといけないし、一度行く必要がある。……あ、ダンジョンマスターだと出歩けないとかある?」

「いや、そういうのはないわよ大丈夫……その、てっきりケーマはマスタールームから出る気がないんだと思ってたわ」

ああ、そりゃね。この世界きてからずっとマスタールームから出てなかったもんな。

「それはお前、山賊が居たからな……出れるわけないだろ? 死ぬぞ」

「ああ……そうだったわね。仕方ないわね」

しみじみと山賊が居た頃を思い出す。いやぁ、山賊は強敵でしたね。

……なんかこう、あんまり何もしてない気もしないでもないけどさ。

もう今やあいつらはDPになった。それでいいじゃないか、うん。