軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

316、決勝トーナメント三回戦

ダミアンと黒百合さんを控え室に呼んだ。後は任せるぜ。

「マジかよ……むしろ生き残りを数えた方が早ぇぜ。オメーとスティード君と……」

「ジーン選手、そしてクワナ選手の……四人ですか……」

おお、四人も残ってたか。なんだかお馴染みのメンバーのような……

アイリーンちゃんもセルジュ君も二回戦を突破できなかったのか……

「うぅむ、もう四人どうにか……いや、一人はいいんだ。残り三人……おう、ベレンガリアちゃんよぉ。出てみるか?」

「ええっ!? 私ですか!? いやいや、嫌ですよ! なんでこんな化け物達に交じりたいものですか!」

ベレンガリアさん居たのか。今日は影が薄かったな。

「とりあえず先に起きた順に治癒してやったらどうだ? その先着三人が三回戦進出ってことでさ。」

「仕方ねぇな。カースのアイデアでいくか。おうマリアンヌ、治癒魔法使いを呼んでくれるか?」

「はいはい。どこまでも運営泣かせな人達ですよね。そうそう、スティード選手は罰金ですからね。」

場外乱闘は禁止されていない。ならば大会の運営を妨げた罪ってところか。そりゃ困るわな。ちなみに私は昨日の罰金を払っていない。請求されてないのだから。

この四人になぜかラグナを加えた五人でクジを引く。ラグナはダミアンの推薦枠ってとこなんだろうな。物好きな女め。

残り三人は三回戦の後半に回されるそうで、合理的だね。

そしてここから先は抽選なし。全ての対戦が決まったことになる。

その結果、第一試合はクワナ対ジーン選手となった。クワナは双子のエリー選手にも勝ったんだしな。ジーン選手に対しても優勢ってことになる。それよりも、ジーン選手はシフナート君なのだろうか。アレクに事情を話す約束だが、昨日はそれどころじゃなかったもんな。後で聞かせてもらうとしよう。

『大変長らくお待たせいたしましたぁー! 午後の部、決勝トーナメント三回戦を行いまーす! 厳正なる抽選の結果! 一人目はぁー! 静かなるヒイズルからの刺客! クワナ・フクナガ選手! 相棒であるセキヤ選手が敗れた今! ヒイズルの魂を示せるのは彼しかいなぁーい! ムラサキメタリックの刀がなくとも戦えるところを見せてくれぇーい!

二人目はぁー! ジーン・ド・バックミロウ選手ぅー! やはりそうだったぁー! 彼女は用心棒貴族バックミロウ家の出! いつぞやの美少年シフナートきゅんを彷彿とさせる細身の美少女だぁー!』

『さぁてと、賭け率は……七対四か。クワナ選手がエリー選手に勝ったことが影響してんな。』

『さあー! 三回戦第一試合! 始めますよぉー! 双方構え!』

『始め!』

どちらも全然動かない……

『ちょっとー! 動いてくださいよ! お見合いじゃないんですよー!』

『お互いの力量が非常に似通ってるんだ。僅かでも隙を見せた方が負ける。待つしかねぇな。』

まだ動かない……

マジかよ、こいつら……

何分経ったと思ってんだ……

まだ動かない……

『ちょっとー! いい加減にしてくださいよぉー! そりゃあ先に隙を見せた方が負けなんでしょうけど!』

『参ったなこりゃ……よし! いきなりルール変更だぁ! 先に一撃入れた方の勝ちにするぜ! 動かねぇお前らが悪ぃんだからな! いけやぁ!』

その瞬間動いたのはジーン選手だった。いや、私には見えなかった。ただ、ジーン選手がいなくなったのだ。

そして次の瞬間、倒れていたのは……

ジーン選手だった。

『勝負あり! クワナ選手の勝利でーす!』

『まさに一瞬の交錯だったな。最後まで動こうとしなかったクワナ選手の忍耐が勝ったようだ。また、魔力なしではジーン選手は 縮地(テラトレシア) を十全に使えないってこともあるだろうな。』

エリー選手に続いてジーン選手までクワナに敗れたのか。あいつはただの好青年じゃないようだな。

「ジーン、いや、シフナート君。久しぶりだね。」

「カース君……僕を覚えていてくれたのか……」

あれ? マジでこいつシフナート君なの?

「マブダチだからね。短剣直入に聞くよ。君の性別は?」

「……カース君……君に理解してもらえるかどうかは分からない……でもこの機会に、伝えたいと思うんだ……」

何だ何だ? 理解を超えてるのか?

「僕は女だ。身体の造形は間違いなく女なんだ。しかし初めて君に会った時、つまりクタナツ時代だね。あの頃僕の心は男だったんだ。」

ん? まさか、あれか? 性同一性障害とかそれ系なのか?

「当時の僕は自分を男だと思い込んでいた。軟弱な女になんかなりたくなかったんだ。誰よりも強い、男の中の男になりたかったんだ……」

「シフナート君……」

「でも! 君に二度も負けて……自覚してしまったんだ……僕は……女だと!」

「シフナート君……」

「待て! 僕の本名はジーンだ! シフナートはただの偽名なんだ! 頼む! カース君にはジーンと呼んで欲しいんだ……」

「ジーン?」

「アレックスさんに全てを話す約束だったけど……僕の秘密は以上、いや、まだあった……」

ええと、シフナート君の本名はジーンで性別は女で心は男だったけど、今は中身も女の子?

「秘密?」

「いや、秘密ってほどのこともない……それは、つまり……その……」

「その?」

「カース君! 僕は君に惚れた! アレックスさんが正室だってことは知ってる! ならば側室の座を与えてくれ!」

そうきたか……

かなり本気みたいだな……

しかし、無理なものは無理だ……

「ジーン、すまない。僕の伴侶はアレクただ一人と決めたんだ。自分に解除不可能な契約魔法をかけたぐらいなんだよ……」

「そうだろうな……いいんだ。分かってる……だが僕は諦めない。側室にしてくれなくても、君の傍から離れるつもりはない!」

うぅん……モテ期なのか?

ソルダーヌちゃんもそうだが、ありがたいことだし、嬉しくもあるのだが……どうしたものか。