軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14、エデンのど真ん中

そんな熱い夜を過ごした翌日、パイロの日。

行きたい所はたくさんあるが、しばらく放ったらかしだった楽園へ行こうと思う。

コーちゃんとカムイを連れて行こう。荒れてなければいいのだが……

到着。クタナツから一時間ちょい。恐るべき速さだ。我ながら感動すら覚えてしまう。

楽園の城壁内には……

掘立小屋がポツポツと点在していた。さすがに中央の私の家周辺には何もないが。勝手に建てやがって……と言いたいところだが、許す! 全然腹が立たない。再び楽園に来れた喜びが大きすぎるのだ。

「ピュイピュイ!」

「ガウガウ!」

コーちゃんとカムイは走り出した。思いっきり遊びたいそうだ。行っておいで!

「よーし、アレク。久しぶりに中に入ってみようよ。何事もなければいいね!」

「ええ、ここに来るのは二年ぶりかしら。見たところ無傷のようね。」

玄関は壊れてない。魔力錠も問題なく作動した。中に入っても異変は見当たらない。どうやら一安心か。

気になっているのが風呂とトイレだ。まずは風呂から。

二年前の九月に両親が使って以来放置だった湯船。さすがに空になっている。保温や魔力回復性能がどうなっているのか、検証はまた今度。今日は取り敢えず収納しておこう。そしてクランプランドに発注していた新しい湯船を置いておこう。ここのサイズに合わせて発注したやつだからな。

次にトイレ。

ん? 臭いぞ?

ってことは浄化槽内のスライムが死んでしまったのか……

二年間も餌なしだもんな……悪いことしてしまった。ごめんよ、名も無きスライム。

となると浄化槽ごと入れ替える必要があるな。マイコレイジ商会のセプティクさんに相談してみよう。

よし、確認終わり!

予想外の損傷はあったけど、予想していた損傷がなかったので良しとしよう。

「じゃあアレク。寝室に行こうか。」

「うん……先に行っててくれる?」

「分かったよ。待ってるね。」

トイレかな? しかしそんなことはどうでもいい。ここならどんなに激しくしたって問題なしだ。ふふふ、まだかなまだかなー。

ドガッ

ん? 何かが壊れたような音がしたぞ?

アレクがどうかしたのか? 行ってみよう。

「アレク!」

トイレのドアが内側から壊されていた。アレクの風球か? 大丈夫なのか?

中に入ってみると……

アレクが……

スライムに包まれていた……

「アレク!」『乾燥』

まずは顔だけでも出さないと!

さらに『乾燥』

よし! 上半身が出てきた!

『乾燥』

よし!

見たところ全滅したか……

「アレク!」

急いでポーションを飲ませて、さらに身体中にも振りかける。服は全て溶かされており、下着がわずかに残るだけ、全身大火傷状態だ。

スライムがギリギリ生きていたのはいいとしても、どうやって浄化槽から登って来たんだ? もういないよな?

それよりクタナツへ帰ろう。アレクを母上に診てもらわないと!

コーちゃん、カムイ! 帰るよ! 乗って!

「ガウガウ」

え? 番をする? 分かった。ありがとな。二週間後にはまた来るからな。待っててね。

行くぜ!

全速力!

その間にアレクの容態チェック。

呼吸はしている。

心臓も動いている。

ならば大丈夫だろう。

せっかく伸びた髪がまた短くなってしまったが、命が助かってよかった。

ベリーショートのアレクだってかわいいさ。

そんなことより……

あと二分も遅れたら絶対死んでたよな……

自宅のトイレで魔物に襲われるって……怖すぎる。しかもアレクが抵抗もできないなんて、やはりスライムは恐ろしい魔物だよな。オディ兄直伝の乾燥魔法があってよかった。

帰りは三十分ちょい。全力全員だからな。

城門の手続きがもどかしい。城門から実家まですらもどかしい。高級ポーションのおかげで外傷はすでに消えたが、早く母上に見せないと安心できない。

全く、私達の人生って波瀾万丈だよな……