軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

251、蹂躙

昨日だけでホユミチカと領都の間ぐらいまでは到達していた。この分なら今日の昼すぎには領都に着くとウキウキしていたのだが。

ノルド川を越えた辺りでコーちゃんが「ピュイピュイ」と。カスカジーニ山にアレクがいると教えてくれたのだ。

どうせ夕方には帰ってくるだろうから先に到着して待っててもいいのだが、いち早く会いたいがためにワガママを言わせてもらった。

カスカジーニ山となるとカムイが牽けなくなるので姉上が頼りだ。

コーちゃんの導きに従い山際に沿って上へ上へ。アレクはどこかなーと……

そしたら……

まさかこんな状況になっているなんて……

虫の知らせ、いやコーちゃんの導きに従ってよかった……本当に。

「いたわ。まずいわね……」

くそ、私には見えない。遠見が使えないからな。

「下着姿にされてるわ……十五人ぐらいの男に囲まれてるわね。やるわよ!」

「慎重にお願いね。僕がアレクを確保するまでバレないようにね。」

くそ、マジかよ……

あのアレクに一体どうやって!?

だがどうでもいい……あいつら皆殺しにしてやるよ……

そして姉上の隠形でそっと近付き、のしかかっている男をまず殺す。乾燥の魔法、やはり姉上も使えるのか。

黒の上下とは、アレクはなんて魅力的なんだ。男どもがトチ狂うのも分からんでもない。しかし許さん。

浮いている板から飛び降り、のしかかっている男を蹴り飛ばした。

「お前ら皆殺しだ。」

私がやるわけではないが。

「うわあっ! 魔王じゃねーか!」

「虐殺エリザベスまで!」

「なんだよこの狼は!」

奴らは狼狽することこの上ない。

その間にアレクを介抱しよう。間に合って本当によかった。まさかこんな事態になっているとは。コーちゃんのおかげだ。

あぁ、こんなに泣いて。よしよし、怖かったよな。もう大丈夫だからな。

アレクに服を着せるなんて初めての経験だ。体が動かないようだが、毒か?

私が服を着せ終わるより先に全員殺したようだ。さすが姉上。カムイもか。ありがとな。

『解毒』

姉上ありがとう。

「アレク、ただいま。待たせてごめんね。」

「カース!カース! 遅いわよ! バカバカ! ずっと待ってたんだから! 寂しかったんだから! うわぁぁぁぁーーん!」

泣いてるアレクも可愛らしい。でも会いたかったのは私も同じだ。死体の処理は姉上に丸投げ。私はアレクと抱きしめ合うのみだ。

こら、コーちゃん。そんなバッチいものは食べちゃだめ!「ピュイー」

それにしてもアレクは本当にいい匂いだ。髪も少しだけ伸びたのかな。綺麗だなぁ。短い髪もよく似合うよなぁ。

あ、魔物まで寄って来てる。まあ姉上とカムイがいるからいいや。任せよう。

「やっと帰って来れたよ。」

「おかえりなさい。会いたかったんだから。」

「ごめんね。まさかこんなことになるとは思わなかったよ。」

「うん、もういいの。帰ってきてくれたんだから。早く帰りましょう。私達の愛の巣へ。」

「うん。帰ろう。マーリンにも心配かけたね。」

「ダミアン様も心配してたわ。」

「ははっ、それはどうでもいいや。」

「うふっ、それもそうね。」

「あーアンタ達、帰るわよ。私だって早く兄上に会いたいんだからね!」

「お待たせ。行こうか。」

「お待たせしました。この度は助けていただきましてありがとうございます。おかげで……」

「当然よ。あなたは私の妹ですもの。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」

「ありがとうございます。コーちゃんにカムイも本当にありがとう。助かったわ。あ、お姉様、よろしければあそこのヒクイドリですがお納めいただけますか?」

おお、ヒクイドリ!? アレクがやったの!? めっちゃ素早くて厄介だと聞いているけど……

「あら、アレックスちゃんやるじゃない。ははぁん、さてはあれのせいで魔力を使い過ぎたのね? だから毒に抵抗できなかったってわけね。」

「恥ずかしながら……」

「それが恥ずかしいなら私なんか生きていけないわ。お互い無事だったことを喜びましょ?」

毒……姉上からすれば他人事じゃないもんな。

「あ、そ、そうですよね……ありがとうございます……」

こうして私達は不思議そうな顔をするアレクを木の板に乗せて山を降りた。降りてからはカムイが牽いてくれるので領都の北門まですぐだ。

早くも説明しなければならない……

私の状況を……

浮気の告白なんかより百倍言いにくい……

ああ、もう北の城門に着いてしまった。