軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

228、土の日

デメテの日。フェアウェル村で言う『土の日』

この日の朝、カムイが目を覚ました。

「ガウガウ」

「ピュイピュイ」

コーネリアスはカムイの首に巻きつき再会を喜んでいるかのようだ。カムイとてまだ完全に回復したわけではないだろう。それでもカースに会う、カースを守る一心でここまでやって来たのだ。寝込んでなどいられないようだ。カースの顔をペロペロと舐めている。

コーネリアスもその反対側をチロチロと舐めている。

「坊ちゃんは慕われているようですね。」

「そうね。そろそろ一週間か……もし明日になっても目覚めなかったら、私だけでもクタナツを目指してみるわ。幸い来るときに乗った板があるから、飛べなくはなさそうだし。」

「お嬢様……賛成できません。せめて魔力が今の五倍はなければ……」

「そうでもないわ。先日の続きをお願いできる? 今の私ってかなりいい感じよ?」

「ええ、分かりました。バルトロメーウスイニに勝ったぐらいで調子に乗ったとは思えませんがビシビシやりますよ。」

「お願いね。」

エリザベスは『自在反射』をもう覚えてしまった。しかもカースと違ってすでに使いこなせるようになってしまっていた。

「お嬢様……一体どうやって……坊ちゃんですら覚えただけで使いこなせていない魔法なのに……」

「言ったでしょ? 今の私はいい感じなの。試したいからもっとたくさん撃ってくれる?」

エリザベスの制御は完璧だった。強い魔法は跳ね返し、数が多く弱い魔法は見事に避けている。いや、避けていると言うより魔法の方がエリザベスを避けているように見える。

マリーの攻撃が全く当たらない。それどころかエリザベスの反撃に手も足も出なくなってしまい防戦一方だ。

「お見事です。いつの間にここまで腕を上げられたのですか? まるで奥様のようです。」

「ようやくなのね……目が覚めてからよ。魔力の流れって言うのかしら……見えるようになったの。魔法がどこを通るとか、私のどこを狙ってるとかがね。」

「さすがです。それこそが奥様が不敗の一因『魔力感誘』です。魔力を目で見るように感じ取り、動きを誘導する。エルフの魔法『自在反射』と似ておりますが、魔力効率が桁違いに良い技術です。」

「たぶんこれが出来るのは今だけ。私の中から消えてしまう前に、忘れないうちに感覚を掴んでおかないといけないわ。」

「エルフの飲み薬にそのような効果があるとは初耳です。そもそも人間が飲んだのも私が知る限り初めてですからね。お嬢様ならきっと到達できます。奥様の領域まで……精進してください。」

「やっぱり母上は凄いのね……何よ、魔力ではとっくに負けたとか言ってるくせに……」

「それは本当ですよ。お嬢様の魔力はすでに昔の奥様を超えておいでです。『魔力感誘』を極めましたら魔力をほとんど使わなくても私に勝てますよ。」

結局二人は夕方までカースのことなど忘れて特訓をしていた。周囲には数名のエルフが物珍し気に見物していた。

カースはまだ目覚めない。