軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

214、絶体絶命エリザベス

私は治療室で、治癒魔法使いナーサリーさんの見立てを待っている。あいつが解毒剤を持っている可能性もあったが、全て燃やしてしまったからな。ただ私と姉上をどちらも殺そうとしていたことから持ってない可能性の方が高い。だからためらわずに燃やしたわけだが……

「お手上げね。全く分からないわ。」

「え……じゃあ姉上は……」

「このままだと死ぬわ。ゼマティス卿を呼んで!」

「分かりました!」

姉上が死ぬ? 嘘だろ!? 私達魔力が高い貴族に毒は効かないんじゃなかったのかよ!

「エリザベス!」

おじいちゃん! ナイスタイミング!

「おじいちゃん! 姉上が! 姉上が!」

「カース! もう大丈夫じゃ! おじいちゃんに任せておけ!」

おじいちゃんなら……きっと……

姉上の腹と背中には合わせて三ヶ所の刺し傷がある。まるで三方から刺されたかのように。深そうだ。

おじいちゃんは傷口に手を当てたり、目を開かせて確認したり、口の中を覗いたりしている。

「分からぬ……こんな強力な毒なぞ初めてじゃ。まるでおとぎ話の『 死汚危神(だいおきしん) 』……」

「おじいちゃん……姉上は……」

「すまぬ……よもやこれほどの毒とは……」

あたりに沈黙が訪れる……

くそ! ゴリ押しだ! いくらでもやってやるよ!

『解毒』『解毒』

『解毒』『解毒』

『解毒』『解毒』

『解毒』『解毒』

『解毒』『解毒』

………………

「やめるんじゃカース。解毒が全く効かないわけではない。確かに使っている間はエリザベスは死なぬ。しかし一生使い続けるわけにもいかぬのじゃ……魔力は……いつか切れる……」

私が……解毒を、やめたら、姉上が死ぬ……?

「私もやるわ!」

『解毒』『解毒』

アレク……ありがとう……

「私だって解毒ぐらい使えるんだから!」

『解毒』『解毒』

シャルロットお姉ちゃんまで……

「仕方ないわね。本当に世話が焼けるんだから。」

『解毒』『解毒』

アンリエットお姉さん……

だが、このままだと……何か、何かアイデアはないのか!?

は! もしかして母上なら!?

「おじいちゃん! 母上ならどうですか! 治せませんか!」

「うぅむ、可能性はあるが……」

「行きます! 今すぐクタナツに連れて行きます! このまま出ます! 関所破りのお咎めは後ほど! 必ず出頭しますから!」

姉上をミスリルボードに載せる。王都の城壁なんか知ったことか!

「コーちゃん! 行くよ!」

「ピュイピュイ!」

「カース! 私も行くわ!」

「だめ! 関所破りだよ!? 絶対だめ!」

関所破りは重罪だ。アレクにそんな真似はさせられない。

「カースのバカ!」

「ごめんよ。行ってくる。」

外に出るまでの間も解毒をかけ続ける。母上ならきっと助けてくれる! それまで持てばいいだけなんだ!

ようやくコロシアムの外に出られた。

「おじいちゃん! 後を頼みます! さっきのあいつは魔蠍のボスみたいだったけど! まだまだ裏がありそうです!」

「役に立てず済まぬ。こっちは任せよ。エリザベスを頼んだぞ……」

全力だ。首輪を外す。全速力でクタナツの実家へ。あっちでも関所破りをすることになるな……