軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結構ピンチでしょ?

「……」

目を開けたら見覚えのある天井だったからボケは無い。

ノイエ愛用のベッドだ。彼女のベッドは寝心地が良いからこのままずっと使いたい。

ゆっくりと体を起こそうとして余りの激痛に挫折した。

体が痛いのは地面を転がったからだね。右肩が痛いのは……どうなったんでしょう?

こんな時は看病してくれている……って誰も居ないやんっ!

あんなに頑張ったのにノイエもポーラも居ないだなんて、本気で泣くよ?

ウルウルと潤む世界を見つめていたら扉が開いてポーラがやって来た。流石我が家の可愛い義妹だ。

「ポーラ」

「何だ。もう起きたの? そのまましばらく寝てれば良いのに」

「……」

知らない間にウチのポーラが悪い子に! もしかしてミニスカメイド服を無理やり着せたのを怒ってですか? あれは仕方ないのです。ご褒美なのです。男だったら誰もが抱く野望なのです!

「どう体の調子は?」

「って賢者?」

「他に誰が……ああ。この体で逢うのは初めてか」

やって来たポーラは短いスカートを抓んで軽く一礼をする。

「初めましてアルグスタ・フォン・ドラグナイト。私の名はイーマ」

「いーま?」

はて? そんな危険人物のっ!

近づいて来たポーラの右目に金色の星マークがっ!

「滑稽な魔女!」

「そうなのよ~。みんな私のことを指さして笑うのよ~。って違うからっ!」

「婚活な魔女!」

「大丈夫よ~。次のパーティーには絶対に良い男が~。って違うからっ!」

「蒟蒻な魔女!」

「プルルンって。もうプルルンって凄いんだから。って違うからっ!」

「と言うかウチの可愛い義妹で遊ばないでくれるかな?」

「全力で遊んでおいてっ!」

『ムキィ~』とエプロンの端を噛んでそんな声を上げる。

ウチのポーラが毒されています。

「何故にポーラに乗り移った?」

「別に? あっちとこっちと移れた方が便利でしょ?」

「……理由を言え」

「政治的高度な戦略を元に何となくあれ~な感じで?」

「ノープランじゃ無いかそれ?」

「あれよあれ。高度な戦略を維持しつつ臨機応変に対処できるように?」

ダメだ。全力で誤魔化す気だ。

「……ポーラは納得してるの?」

「してるわよ。無理やりなんてそんな興奮すること私が出来る訳無いでしょ?」

「その言い方だと絶対に出来るよね?」

「平気よ~。自分の体を自分で犯すなんて高度なことは出来ないから~」

「だからポーラの口で『犯す』とか言うな!」

ハリセンを取り出したけど振れない。

全身に激痛が走って動けなくなった。

「ああ。結構な怪我だから無理しない方が良いわよ?」

「結構って?」

「全身打撲。右肩は砕けて、あと複数の骨折ね」

「良く生きてたな」

「ええ。治療は終わっているけど、しばらくは寝てなさい」

言うと彼女はタオルを絞って僕の額に置いた。

「で、試験は?」

「大甘採点でギリギリ合格ね。と言うか貴方……他人に好かれ過ぎよ? どれほど協力者が居るの? 何々? 異世界に来たからってハーレムでも作ろうと声をかけまくった感じ?」

「ウチには最愛のお嫁さんが居るから他は要りません」

「え~。つまらないわ」

「知るかっ!」

暴れられないから静かにしておく。

と、彼女は片膝を抱いてこっちを見つめる。

「下着が丸見えなんですけど?」

「この子って下着とか普通でつまらないのよね。もっとこう官能的な方が良いでしょ?」

「そんな下着はお兄ちゃんが許しませんっ!」

「でも穿いてたら見るでしょ?」

「……否定は出来んな」

だって僕は性欲のある男性ですから。

「ですって。だから今度際どい下着を買いに行くわよ」

「もしもし?」

「ああ。今ポーラって子に教えて」

「何を教えてやがるんだボケっ!」

ポーラの中にある優しくて格好良いお兄ちゃん像を破壊することは許さん。断じて許さん。

「それは良いとして……何から話そうかしら?」

「聞きたくないから話さなくても良いです」

「そう? なら掻い摘んで……貴方には始祖の魔女を倒す手伝いをして欲しいの。つか手伝え」

「だが断る!」

「だが許さん!」

「マジで~」

無理やりとんでもない仕事を押し付けようとして来るんですけど?

「やだよ~。始祖の魔女って過去の人じゃん? もう死んでるんじゃないの?」

「生きてるから。ちょっと人じゃ無い姿になって結構元気だから」

「ならご自分でどうぞ」

そもそも僕に押し付けるなと言いたい。

「そう? ならノイエって子の体を使って倒しに行きましょう。装備は裸エプロンで良いかしら?」

「大変申し訳ございません。その装備は僕専用になっているので外ではご勘弁ください」

「そっか~。って、お嫁さんにそんな格好とかさせてるんだ~。ええ。裸エプロンは裸の上にエプロンを」

「だからポーラに教えるなボケがっ!」

うちの可愛い義妹を汚染するなと言いたい。

それでなくても気づけば立派なメイドと化して……あれ? ポーラは騎士にするはずだったよね?

「何ちょっと? 何で泣いてるのよ? 大丈夫よ。この子だってあと数年もすれば男相手に股を」

「それ以上言わせたら今日をお前の命日に変えるっ!」

ううう。可愛いポーラが変な魔女と怖い叔母の手でどんどん穢されて行くよ。

「で、説明を続けたいんだけど……良い?」

「まだ続ける気だったお前にビックリだな?」

「続けるわよ~。だってあれを倒さないとこの世界は無に帰っちゃうんだから……結構ピンチでしょ?」

「聞きたくなかったです」

本気で聞きたくなかったのに刻印の魔女は全てを教えてくれました。

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