軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ノイエの説得か

「これで探してるんだ」

ひと通り説明を受けて改めて地図を見る。と言うより地図上の板をだ。

それをチビ姫が右に左に動かしては動きを止めて反応を待って居る感じだ。

「途方もない作業な気がするんですけど?」

「そうだな。だから昔から新年の儀式の時に人が集まっている場所に対して使って来たのだ」

「なるほど」

そっちの方が確かに効率は良いけど。

「街に来ない人とかは確認できませんよね?」

「その通りだ。だから私は何度もそう父上に告げたのだが、こういうことに関しては慣例を護る人でな」

「引退して邪魔者が居なくなったから、チビ姫の玩具にした訳ですね?」

「人聞きは悪いがその通りだ」

否定してよ。実際玩具感覚で板を動かしてるけどさ。

「これって見つかるとどんな感じで反応するんですか?」

「ならば見せよう。キャミリー」

「は~いです~」

チビ姫が手にした板を動かし王都の上で止めた。すると板にうっすらと点が灯る。その数は……8か。

「王都に8人の祝福持ちが居るということですね?」

「そうなる」

僕にノイエ。ミシュとルッテ。叔母様に医者の先生。それでモミジさんと……あれ? 数が合わない?

「7人しか知らないんですけど?」

「ああ。残りの1人は存在を隠している」

しれっとお兄様が黒いことを言って来たよ。

「何でまた?」

「お前が得意にしている手だな」

「そんな……必殺の武器を隠して最後に一撃ですか?」

「その通りだ」

僕に対するお兄ちゃんの評価に泣けて来たよ。

「何かの為に8人目は隠してある」

「そうですか」

気にはなるけど隠しているなら仕方ない。

「王都外では?」

「うむ。領地持ちの有力貴族が数人囲っていることが分かっている」

「取り上げるのは……理由がありませんね」

「そう言うことだ。下手に取り上げようとして争いになったらたまらんしな」

「ですね」

そうなると、こうして地道に探すしかないらしい。

「それで自分への仕事とは? たまにここに来てこうして探せと?」

「否。捜索はキャミリーに任せておけば良いだろう。お前には発見した者に会って来て欲しい」

「発見した?」

するとチビ姫が板を動かし……随分と田舎の方へと運んだ。

「灯ってますね」

「ああ。偶然見つけたキャミリーが凄いがな」

「えっへんです~。尊敬するです~。ケーキを食べさせるです~」

「偉いぞチビ姫。ケーキは陛下の許可を得たらな」

「……最近ケーキばかり食べているという報告が」

「おにーちゃん。ここは任せるです~」

聞きたくないとばかりにチビ姫がこっちにお尻を向けて机の上を這いまわる。

だからそんな色気の無い下着を見せられてもな。

「それで僕に会いに行けと?」

「そう考えて居る。何か不都合でも?」

あ~うん。不都合と言うか、大問題が。

「たぶんノイエが付いて来ますが?」

「それは困る。雪が解けてドラゴンの動きが活発になって来た。今ノイエに抜けられるのは正直苦しい」

「ですよね」

そうなると変態娘ことモミジさんと、護衛の騎士を連れて行くしかないが……。

「正直に申し上げて、ノイエの説得が難解だと思います」

「どうにかいたせ。もし連れて来れるようであれば、しばらくはお前の所に預けてと考えている」

と言うことは、僕の部下に祝福持ちが1人増えるということか。

フレアさんが抜けて正直戦力ダウンしていたから有り難い言葉だけど。

「今夜から努力してみます」

ただ最近のノイエは甘えん坊が半端無いからな。

「ノイエの説得か……」

何てハードルの高い難題ざましょ。

「アルグスタ」

「……スィーク叔母様。お久しぶりです」

廊下を歩いていたら紺色のドレス姿の叔母様に呼び止められた。

メイド長を辞めたメイド神ことスィーク叔母さんだ。

「このような場所で何を?」

「いえ。実は……イールアムに見合い話を持って来たのですが、あの馬鹿息子が逃げておりまして」

「それはそれは大変で」

「それでアルグスタは何を?」

「ええ。ちょっと陛下から仕事を依頼されましてね」

「シュニットから?」

2人だけだから問題無いけど、国王を呼び捨てにしないで。

「はい。王都を出る仕事になりそうなので、どう妻を説得するかで悩んでおりました」

「なるほど。それは頑張れとしか言いようがありませんね」

「ですよね~」

分かってます。今夜から頑張ってノイエを説得します。

「それで叔母様の方は捜索中ですか?」

「ええ。全くあの子は……」

少し怒った様子でため息を吐くスィークさんに興味を覚えた。

思わず逃げたくなるようなお見合い相手ってどんな人なんだろう?

「ちなみにどのような方とお見合いを?」

「これです」

何処からそのお見合い書類を取り出した?

叔母様から手渡された薄い板を重ねたようなお見合い資料を開くと……家柄も経歴も全てにおいて問題無い。そっちは問題無いんだけど、

「年齢が45とありますが?」

「ええ。ですが礼儀作法や知識などは、わたくしに匹敵する逸材かと」

色々とダメでしょう? 確かにこれを渡されたら逃げるな。

「あの~叔母様?」

「何か?」

ここは従兄弟に恩を売っておこう。

「出来たらもう少し若い方が」

「それだと能力的に我が家に相応しく無いのです」

だからって45歳はどうなの? 子供を産んで育てないとハルムント家が滅びるよ? ウチもそれで頑張ってるんだからさ?

「なら若くて叔母様がこの1点なら自分にも劣らないと思う人を紹介するのは?」

「その理由は?」

重ねて来る問いに……正直に行こう。

「叔母様のような完璧な人など、この国に居ないからです!」

何故か頬を赤らめて叔母様が頷きだした。

「……なるほど。一理ありますね」

「ですから1点に絞り、後は出産を考えて年若な相手にする。これでハルムント家は安泰です」

「面白い発想ですね。試してみるのも悪くない」

「どうぞどうぞ」

機嫌を良くしてスィークさんが去っていた。

頑張れ従兄弟よ。僕に出来る最大限の手助けはこれぐらいだ。

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