軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生かすも殺すも俺の気分次第だ

得た褒賞を前に……ハーフレンは良く堪えたと思った。

何故目の前の娘たちは誰もが豊かな胸をしているのだろうか?

全ては偶然なのだが、彼女らを屋敷に連れて来た文官などの『分かります』と黙して語る熱い視線が忘れられない。多分3日としないで『ハーフレン王子は巨乳好き』と城内に広まるだろう。

だがそれはそれで悪くない。これほどの特徴があれば彼女と間違えることも無い。

何より相手が自分を軽蔑する良い理由にもなるだろう。

「初めましてと言っておこう、か」

「「……」」

娘たちは全員が緊張し震えている。

覚悟を決めてどんな場所にでもと思っていたら……まさかの第二王子の屋敷だったのだ。

彼女らが戸惑うように、今回の褒賞で戸惑う者たちは別に居た。

何せ娘らは全員敵対した者たちの血族だ。

反乱があっさりと終わってしまったから王国側からすれば恨みの意識は全く無いが、彼女らからすれば父親の仇が目の前に居るのだ。凶行に及んでも不思議ではない。

そのことを何度も兄から聞かされたハーフレンだが、彼は正直凶行など起きないと思っていた。

「強いて言おう。俺は君たちの父親が歯向かった国王の息子である」

事実を告げると娘たちは増々恐怖で身を竦ませる。

下手な貴族や将軍の元に送り込まれた方が良かったと思わせる反応だ。

「お前たちの父親は我が父王に敵対し反乱を起こした。そして討伐されお前たちはこのような憂き目にあっている。正直に言おうか? お前たちの命は俺の自由だ。生かすも殺すも俺の気分次第だ」

軽く半歩踏み出すと、娘たちは腰を抜かしそうな勢いで後退する。

これが真実だ。

何も知らずに領地の屋敷に居たら、父親が国に対して敵対行動を起こし討伐された……そんな話をすんなりと受け入れ、挙句にユニバンス王家の者を恨むなど直ぐには出来ない。

彼女たちの心の中にあるのは、恨みや復讐心では無く……迷いだ。

どうして父親は国に対してそんなことをしたのだろうか?

その答えが出る前に自分たちの行く末が勝手に決まる。

今の彼女たちが何を考えているのか、ハーフレンは手に取るように理解出来た。

死にたくない。生きていたい……そんな感情だろう。

「だが心配するな」

笑いながらハーフレンは軽く手を広げる。

「俺はお前たちを殺す気は無い。妾として貰い受けた都合、この屋敷に住んで貰うが……屋敷から出ないのであれば好きにして貰っても良い」

「「……」」

何とも言えない様子で娘たちの戸惑いの眼差しを受ける。

「お前たちの父親がこの国に弓を引いたのは事実だ。地位によっては父親以外の家族を失った者も居よう。それは国の定める法で決まっていることだ。俺ですら助けてやることは出来ない。

だがお前たちは直接何かした訳ではないだろう? 親の都合で巻き込まれ、こうして妾にさせられた」

悲しいが王子の地位を得ていても、出来ることよりも出来ないことの方が多いのだ。

地位が高き者は負う責任も多い。

父親の死だけでは許されず、祖父や祖母、母親や兄に至るまでの血族を喪った者とて居ることをハーフレンは知っている。

彼女らより幼い弟や妹などは親戚の家に養子として出されたが、『反乱者の子』と言う烙印は死ぬまで付いて回るだろう。

「だから俺がしてやれるのは、この屋敷でお前たちを保護することだ。他の貴族や将軍たちに手出しなどさせない。ここに居る限り安全に過ごせることは保証しよう」

奇しくも母親である王妃と似たようなことをする羽目になったと、ハーフレンは胸の中で苦笑した。

「ついでに言えば俺はお前たちに手を出す気も無い。たまに狂言に手を貸して貰うことはあるかもしれないが基本手は出さない。

だがずっと飼殺している訳にもいかないから、いずれお前たちは何かしらの形で下賜されることとなる。その時は『王子にお手付きにされた妾』と言う肩書が付く。

妾である都合上位の貴族に嫁ぐのは難しいが、前途有望な者に嫁げるよう努力する」

「「……」」

余りのことに理解出来ない妾たちが顔を見合わせて首を傾げる。

その様子に笑みを浮かべるハーフレンは、軽く頭を掻きながら何となくで口を開いた。

「まあいきなりで理解しろとは言わんさ。少しずつ分かってくれ」

自分が言っていることが無茶苦茶なのは理解しているが故の言葉だ。

「それと……お前たちは何か質問されたら『王子が激し過ぎて大変です』とか言ってれば良い。そうしてくれればお前たちはこの屋敷で自由に暮らして貰って構わない。

ただ生活態度は注意しろよ? 脂肪を溜め込んで醜くなると嫁の貰い手が居なくなるからな?」

軽く笑って彼は説明を終えた。

どんよりとした空気を身に纏い、フレアは彼の屋敷にやって来た。

馬車の中で膝を抱えて色々な感情に蓋をする。

頭で考えていたことを体が拒絶する……そんな感覚に襲われて正直胸が苦しいままだ。

だが自分も彼に嫌われる道を選んだのだ。

どんなに好きでも、どんなに彼を愛していても……今の自分は彼に相応しくない。

ある意味彼が嫌う条件を整えてくれたのだから、それを使って自分から畳みかけるしかない。

まずは礼儀として無事の帰還を祝ってから、活躍したことを褒めて、それから褒賞のことを何となく嫌な感じで言えば良い。

王妃様の所に居るメイド長のような冷たい視線が出来たら良い。

頭の中で色々と考え……到着し馬車を降りたフレアは屋敷の中に入る。

通された応接室に居た彼は、左右に胸の大きな女性を置いた自分の方に抱き寄せ……あろうことか揉んでいた。豊かなそれを。

プチッと頭の中で何かが切れる音を聞いたフレアは、迷うことなく彼の顔面に拳を放っていた。

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