軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

君……スケベだね

「はふ~。自宅のお風呂がこんなに気持ち良いと思う日が来るだなんて」

「はい」

ピタッと隣で並んで張り付いて来るノイエが可愛らしい。

長い髪をお団子にしてうなじとか全開です。ほんのり首筋が赤くなるとどうしてこんなにエロく見えるのでしょうか?

ようやく先生からの許可が出たので本日から湯船にinだ。ただしリハビリが義務づけられてますが。

素人が短刀でザクザクと斬ったのが良く無かったらしく、実はそこそこやっちゃったらしい。

腕に対して横に切らなければ血管とか切断しないからいけるかと……今思うと変な脳内麻薬でも大量分泌してたのかな?

お湯の中で握ったり伸ばしたりしながらちゃんと動くようにしばらくはトレーニングし続けます。

と、ノイエの白い手が伸びて来て、まだハッキリと見える傷口を指先でなぞる。

「消えない?」

「少し残るみたい」

「……」

「まっ僕が悪かった訳だしね。ってノイエ? 汚いよ?」

腕を掴んだ彼女が舌で傷跡を舐める。

止めさせようと腕を振るけれど、本気になった彼女に適う訳がない。小柄な相手がまるで岩のようにビクともしない。

しばらくペロペロ舐めて居たノイエがジッと傷跡を見つめると首を傾げた。

「消えない」

「消えないって」

「……消えたのに」

とても不満気にアホ毛を回し、彼女はしばらくそれを続けた。

「ホワイ?」

さて寝ようとしたらノイエにマウントポジションを取られた。

でもおかしい。何がって彼女の髪の色が金髪なんですよ。つまりグローディアの可能性が高い。

彼女は僕が異世界人だと知った時に殺そうとした……まさかリベンジか? 大丈夫。今までの僕とは違う……相手の膝が腕の付け根を押さえていて腕が上がりません!

らめ~! 僕のノイエの危ない三角地帯をそんな間近で見せつけないで~!

「で、誰でしょうか?」

「……初めまして?」

「初めまして」

小首を傾げた彼女がふんわりと挨拶して来た。

セーフ。間違いなくグローディアじゃない。彼女の場合は挨拶なんて無く、いきなり平手打ちだ。

「どちら様でしょうか?」

「ボクはリグ」

「……もしかしてリグ・イーツン・フーラーさん?」

「はい」

ボクっ娘だよ。それは良い。問題は何故に"彼女"が出て来た!

記憶が確かなら相手は『吸血のリグ』だ。例の事件で捕まる前に何人もの生き血を吸った人だ。

「そんなリグさんがどうして?」

「……分からない」

「はい?」

「奥でボーッとしていたら、誰かに引っ張られて……気づいたら此処に」

そんな無茶苦茶な理由で出て来れたりするの? ノイエの中ってどうなってるの?

「だったらお帰り頂いても良いでしょうか? ずっと腕の付け根を押さえられてて腕が痺れて来てます」

「うん。そうだね」

よっしゃ~。平和的に解決できそう。

だが彼女は僕の上から移動すると、キョロキョロと辺りを見渡した。

「無い」

「何がでしょうか?」

「喉が渇いた」

「ああ。それなら」

ベッドから立ち上がってベッドサイドに置かれている金属製の蓋を……指を引っ掛けて引っ張れば行ける! 根性で蓋を開けたが良いけど……グラスと紅茶を持つ握力がまだ無い。

「ごめんなさい。ここからは自分でやって貰っても良いですかね?」

「うん」

フワフワと歩いて来た彼女がグラスを掴み冷えた紅茶を注ぐ。

何口か味わってから、金属の蓋を閉じてこっちを見た。

「美味しい」

「それはどうも」

「……怪我?」

「えっ? ああ……うん」

視線が僕の腕を見ているので気づいた。

と、彼女はグラスを冷蔵庫の上に置くとフワフワと歩いて近づいて来る。

白い指先が傷を確かめるように包帯の上からなぞる。

「プレート?」

「はい」

「……下手な傷」

「済みません。自分でやったんで」

「そう」

微妙に焦点が合っていないような彼女の目が僕を見る。

と、その腕が首に回り抱き付いて来た。

「ちょっんむ……ん~っ!」

ガリッとやられた。キスして来たと思った唇を噛まれた。

でも相手が離してくれない。って気のせいかこの人、僕の血を吸ってませんか! 物凄く唇がピリピリして痛いんですけど!

全力抵抗だ。ノイエの胸をグイグイ押す格好になるのは不可抗力だ。実際お嫁さんの彼女に何をしても問題無いんだけどね。

「君……スケベだね」

「噛んでおきながらそんなことって、あれ?」

噛まれたはずの唇が痛くない。触れてみても傷跡も無さげだ。

「ノイエの体って便利だね。魔力が無尽蔵だから」

「はい?」

「その傷ぐらいは治せる。でも凄く痛い。我慢して」

「ちょっとそれって……痛い痛い!」

説明なく包帯を取ると噛みついて来た。それも腕の傷跡を、ガリッと豪快にっ!

激痛に身を捩って抵抗していると、痛みが引いてペロペロと舐める舌の感触に変わる。

それでも激しくビリビリとした痛みが全身を貫く。

「あの~」

「……なに」

「それって?」

「ボクの術式。対価を得ることで対象の傷を癒せる。強化系を基本に作られた物」

合間合間にペロペロと舐められていると、傷口が綺麗にくっ付いて線のような跡しか見えなくなった。

正直言ってかなり凄い。

「凄い魔法だね」

「うん。でも対価が必要」

「対価って?」

「生き血」

治療を終えた片腕を放り出して次の腕を掴んだ。

あっもう一回。今の苦痛をもう一度ですか?

「吸って得た血を使って怪我の個所を壊して作り直す。詳しいことは知らない。でも凄く魔力を使うから……この体じゃ無いとこんなに直せない」

「なら本来は?」

「うん。舐めて傷跡を誤魔化すくらい。でもノイエの体なら……もっとやれそう」

ガブッて遠慮を覚えてくださ~い! ものすっごくいてぇーんですけどっ!

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