軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

真意のほどは?

龍虎が相対するかのような絶対的なピンチを迎えましたが、どうやらフレアさんの許嫁らしい少年が必死に宥めてくれて大事に至らなかった。

ただ『フレアの責めに比べたら』とか、『これぐらい楽な方だよ』とか、不穏当な発言が多く含まれていたことは、後で調査する必要があると思います。

アーネス君とやらがフレアさんの手でソファーに運ばれ、片づけを済ましたメイド長は消えるように退出していった。

とりあえず危険は去ったのだが……僕は落ち着いてまずクレアたちを見る。

イネル君に抱き付いている彼女は甘えん坊モードだ。

それは良い。次に姉たちの方を見る。

アーネス君を膝枕しているフレアさんが彼を軽く撫でている。

「クロストパージュの一族って、結婚相手に見た目が幼い人を選ぶ傾向でもあるの?」

「アルグスタ様。その言葉の真意のほどは?」

ジロッとフレアさんがきつい視線を向けて来た。

「だって……ねぇ?」

彼女を見るのは怖いから、膝枕されている許嫁の方を見る。

皮鎧を着ているフレアさんの下半身は、基本機動性重視でミニスカのような物を穿いている。よって彼女の膝枕は半分ぐらい素足だったりして……男子からすれば理想的な枕である。

膝枕の感想は良い。その枕で眠る少年にしか見えない人物が問題だ。どう見ても14歳のイネル君程度にしか見えない。

つまりショタだ。アウトだ。犯罪だ。

「そんな若い子を篭絡するのはどうかと思うよ?」

冷ややかな目がこっちを睨んで来る。

「……失礼ながらアルグスタ様」

「はい?」

「アーネスはこう見えても18です。貴方より年上です」

「まさかっ!」

ここにもミシュ系の異常な生物が居たかっ! 遺伝子を……この遺伝子を解明すれば、人類に不老不死は無理でも不老長寿が得られるかもしれないっ!

「だが年齢など関係無いっ! もう見た目からして絶対的にダメでしょ! 何かこう……犯罪臭がプンプンする! よってクレアとイネル君も、もう少し育ってからにしなさい!」

「こっちに不意に飛んで来た火の粉の意味が分からないっ!」

見た目って大切なんです。妄想って時には恐ろしいのです!

「で、話を戻して……そんな子の『ズキューン』を『バキューン』とかダメでしょう!」

数多くの噂話は届いています。

女子寮の一室から轟き響く男性の叫び声を。

「……そんな温いことはしませんわ」

「…………はい?」

「『ドカーン』を『チュッドーン』して『ドドーン』をしながら『ピーポーピーポー』を押さえつけてから『ドドドドドド』を後ろから抉るように『ピーピーピー』を突っ込んで『ズガドーン』を擦って『ズキューン』させてます」

どんな拷問ですかっ!

余りの惨劇に男性としての何かが引いた。

そんなことをされたら僕なんて間違いなく干からびてミイラになっちゃう。

「ってうちのノイエに最近変なこと教えませんでしたか?」

「はい。アルグスタ様を調教……奉仕したいと言ってたので」

奉仕を調教と間違えるってどんな思考から出て来るファンタジーですか!

「良く分かった」

「はい?」

どうやら僕の考えは間違っていなかったらしい。

「クロストパージュの女性って……絶対に性的な意味で野獣でしょう?」

「……アルグスタ様。その考えを悔い改めるまで話し合いをする必要を感じました」

ギランとその目を光らせたフレアさんが、とても冷たい表情を向けて来た。

ノイエは仕事を終えるなり急いで城へと向かった。

だが彼の執務室は無人で、メイドが言うには『今日は馬車でご帰宅なさいました』とのことだった。

今朝一緒に馬車で来た事実をすっかり忘れていたノイエは急いで帰宅する。

「奥様。お帰りなさいませ」

「ん」

帰宅したノイエは食事かお風呂かで一瞬悩む。

「アルグ様」

「はい?」

「アルグ様、どこ?」

「旦那様でしたら帰宅してから寝室の方に」

その声で彼女の行く先は決まった。

迷うことなく私室へと向かってその扉を開いた。

「アルグ様」

だが返事がない。

視線を巡らせると……ベッドの上で座っている彼の姿を見つけた。

膝を抱いてガタガタ震えている彼が居た。

ほぼ瞬間移動に近い動きを見せてノイエは彼に抱き付いていた。

「アルグ様。大丈夫?」

「……」

「なに?」

ブツブツ呟いている彼の様子がおかしい。

その口元に耳を寄せると……

「怖い。怖い。『バキューン』に『ズキューン』をねじ込むとか……怖い。怖い」

壊れたようにそんな言葉を呟いていた。

自分の知識に当てはめて少し悩んだノイエは、軽く拳を握って見つめた。

「『バキューン』に『ズキューン』する?」

「いやぁ~っ!」

彼が頭を抱えて怯えてしまった。

どうしたら良いのか分からないノイエはしばらくオロオロしては、軽く拳を作っては『する?』と聞き続けては怯えさせ続けたのだった。

パチッと目を覚まし彼女は体を起こし、ゆっくりと自分の隣で眠る相手に視線を向けその手を伸ばす。

包帯が巻かれた右腕の傷口を避けるように掴み持ち上げると、自身の手を動かし包帯の上を滑らせるように走らせた。

一瞬光が生じて……その効果を確認する。

「右は問題無いけれど……左の方は確認しようが無いわね」

自身が作り上げた全く違う形式の術式だ。

もしこれが世に出れば新しい問題を起こす可能性すらある。

「でも貴方が望んだことよね? そんな問題よりもこの子の方が大切なのでしょう?」

掴んでいる腕を優しく胸元に運び抱きしめる。

両腕を自分で切り裂いてまで彼は護りたいのだ。

大陸屈指のドラゴンスレイヤーを。

「本当に馬鹿な男ね」

軽く手の甲にキスし、彼女は意識を手放した。

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