軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

巨貧戦争

ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸

本当に朝から酷い目に遭った。

ちょっとした冗談じゃん。目が覚めたら目の前に美しい太ももがあったから、抱き着いただけじゃん。

しいて言えば目の前に降り積もった新雪を発見した感じです。飛び込むでしょう? 迷うことなくダイブするでしょう? 僕はします。

先生は恥ずかしがりすぎるんだよね。

あんなにスラリとした長い足なんてただの芸術作品です。その足から繋がるヒップへのラインとか最強です。至高です。神です。まあ自他共に認める貧乳さんだけど、あれで巨乳だとバランスが狂いそうだからあのサイズで良いと思います。

声を大にして言いたい。貧乳でも似合う人は居るのだと!

あ~。とりあえず痺れが取れて来た。

何処の家にモーニング雷撃なんて文化があるのか問いたい。

やった本人も巻き込まれて自爆して……ノイエに抱えられてお風呂場へと向かって行った。

朝風呂を好むアイルローゼのおかげでウチのお風呂頻度が上昇している。ただ入り過ぎの自覚がある魔女様は、お湯を作る魔道具の作成に乗り出した。何せこの家にはこの大陸でも屈指の魔力持ちであるノイエが居る。魔力だけなら源泉かけ流し状態だ。

そろそろ体を起こして僕もお風呂に。

起き上がろうとして手を動かしたら、もにゅっとした感触が。これは何だ?

「いやん。兄様のエッチ」

「……」

顔を動かしたら、全裸のポーラが絶妙なポージングで見せちゃいけない場所を隠して横になっていた。

どうやら僕の手が触れたのは彼女の小さな胸らしい。

「このまま私はも大人の階段をっ」

「その前に死への階段を全力で降らせてやる!」

「ありがとうございます!」

取り出した特大ハリセンでポーラの姿をした悪魔に向かい振り下ろす。

そのまま地底にまでめり込んで滅びてしまえ!

「って久しぶりに馬鹿を見たな?」

「あん? アンタは私のことを馬鹿と言えるほど賢いとか思っているの? 2個ある物を1個に減らすわよ?」

「何をする気だ?」

「肺を抉り取る」

「リアルに怖いヤツやん」

馬鹿が絶好調で馬鹿なことを言って来た。

「で、何してたの?」

「色々と事故って出れなくなってたのよ」

「ふ~ん。で、ポーラは?」

「あの魔女の代わりで魔眼の中で数合わせ」

「そろそろ出してくれない?」

「何でよ?」

そんなの決まっている。

「ウチのミネルバさんがポーラ不足で闇落ちしちゃってて」

「本当にこの国には変なメイドしか居ないのかしら?」

言いながらギリギリの感じで露出させつつ服を着ている君だって、手にしているのはメイド服だよね? 本当にこの国には正統派のメイドは居ないのか?

「まあ良いわ。弟子の成分が足らないなら私で十分ね。ちょっと行ってくる」

スチャッと敬礼し、ベッドから飛び降りたポーラが全力で走って行く。

その姿に不安しか感じないので僕も這うようにして部屋を出て彼女の後を追った。

向かった先はミネルバさんに与えられた個室だ。主任扱いになっている彼女は特権として個室が与えられている。

と、その部屋の中から……僅かに開いた扉の向こうから声がしてくる。

「いけませんポーラ様。こんな汚れてしまった私なんかに触れては」

「大丈夫。私のことをそんなに慕ってくれていただなんて……知らなかった」

「慕っていただなんて。ただの崇拝ですから!」

崇拝って貴女……。

「嬉しい。そんなに私のことを好きでいてくれたのね」

「はい! 好きです! 大好きです! ポーラ様が居れば他は要りません!」

「そうなんだ……本当かな?」

「本当です!」

「え~。信じられないかも?」

「本当ですとも! でしたら何をすれば信じていただけますか?」

「ん~。だったら人には言えない秘密を私に聞かせて」

「……秘密ですか?」

「うん。それで満足したら信じてあげる」

「ですが秘密と言うのは……」

「え~。教えてくれたら頬にキスしてあげるのに」

「……このミネルバ、ポーラ様に対して嘘偽りのない真実だけを語ることを誓います!」

「うん。ならまず貴女の性癖から」

パタリと扉を閉じて僕はゆっくりと立ち上がり、廊下の窓を開けて外を覗く。

人間知っちゃいけないこともあるんだと思う。それにあの馬鹿がやっているのはもうほとんど洗脳の領域だ。関わるな危険と僕の本能が激しく告げて来る。

「アルグ様」

「お風呂終わった?」

「はい」

機嫌が悪そうに視線を逸らす先生を抱き上げ歩いて来るのはお嫁さんだ。

「そうだノイエ」

「はい」

「今日は先生を残して先に仕事に行って欲しいんだけど良い」

「はい」

とととととっと、間合いを詰めて来たノイエが抱えているアイルローゼを押し付けて来た。

気を付けて受け取り改めて先生を抱きかかえる。

「ご飯」

「ほい」

切り替えが早いというか、これがノイエなんだけどね。

「それで弟子。私に何する気よ?」

「しないって。警戒しないで。本当に」

身構えて睨んでくる先生がちょっと可愛い。

「実を言うとあの馬鹿が姿を現したのよ」

「どの馬鹿よ?」

「多分一番最悪で」

バタンとミネルバさんの部屋の扉が開いて噂の馬鹿が出て来た。

何故か満足げな表情を浮かべ腕で口元を拭っている。

本当に君はミネルバさんに何をして来たのですか?

「ある意味で現在一番会いたい人物だね」

「そうね」

僕の腕の中でアイルローゼが何とも言えない表情を浮かべた。

「我が黒歴史が何故ここに!」

「何でだっけ? レイザさんが言うには旅人さんって人に貰ったらしいよ」

「旅人? 誰よ?」

「知らない」

「使えない猿ね」

「誰が猿だ!」

「あん? 昨日お嫁さんと魔女を相手に何度腰を、」

「この素材は?」

危険を感じて先生が顔を真っ赤にして言葉を挟んできた。

基本平等を愛する僕は、ちゃんとノイエと先生を相手に同じ回数しました。回数はね。

眉間に手を当てて馬鹿が困った様子を見せる。

「何故悩む?」

「あ~。疑似的シリコンをどう説明しろと?」

「そんな物を異世界で作るな」

「頑張った。感動した」

「知るか」

「ついでにパット入りブラも売れたわね」

「それは……再現できますか?」

「無理ね。もう疑似的シリコンが作れない」

「何故に?」

「3人の合作なのよ。あれって」

「何でそんな時だけ仲良く頑張るのかな?」

「あん? 無い者がある者を妬むからに決まっているでしょう!」

つまり過去から巨貧戦争は行われていたのか。

「まあそれを直すぐらいの分なら残っているけどね」

「あるなら出せや」

「いやん。私は出す方じゃなくて出される、」

スチャッとハリセンを構えたら、馬鹿がエプロンの裏をゴソゴソし始めた。

「てててて。腕そのもの~」

「な~に。馬鹿エモン。それ?」

「うふふ。これはね。その人形の両腕そのものだよ~」

「そっか~」

「ありがとうございます!」

振り抜いたハリセンで馬鹿が滅んだ。

悲しいことに滅んではいない。ベッドの上でわざとらしく大股を開いてピクピクしている。

「はい先生。戦利品」

「……」

「腕は手に入りましたから」

「でもこれって直して」

その部分はもうこだわらないで下さい。

相手はあの馬鹿賢者こと刻印の魔女です。

「それを渡したんだからこっちの腕は私が頂きます」

「おい」

復活した馬鹿が机の上のレイザさんの腕を回収しエプロンの裏へ。

「それと馬鹿なご主人様には、これを」

「何この筒?」

発煙筒のような筒を馬鹿から手渡された。

「あの青髪の子にあげたんだけど、私じゃないと外に持ち出せないからね」

「だから何よ?」

「今度外にあの子が出てきたら使ってあげて。そこのボタンを押すと動くから」

「で、何が起こるの?」

その説明が最優先だろう?

「あの子が大人しくなります」

「はい?」

「借りて来た猫のように静かになります」

本当か? それは何て最強兵器な?

若干先生が欲しそうな感じで見ているけど今は渡しません。

もしかしたらこれは僕にとって生命線になりえる道具です。

「で、魔女にはこの魔法。王女様に預けたんだけど捨てて行ったみたいで」

「何よ?」

「そこの旦那様の夜の活動を活発化させる魔法。性豪とか強精とか言われる類のヤツ」

握っていたスクロール調の筒を、アイルローゼが自分から遠ざけて摘まむように持った。

「で、2人して私に何か相談したいことがあるんでしょう?」

ベッドを椅子にしてポーラの姿をした悪魔が笑う。

「私の琴線が震えたら手伝ってあげるかもだけど……挑戦してみる?」

挑戦はしよう。何故ならば取引ではないのでこっちの懐が痛まない。

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