軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新しい魔法を使いたい

魔力操作の訓練も大分慣れてきた最近。ライトの魔法も息をするように発動出来るようになった。

魔力量も毎日使いきって、回復しては使いきることを繰り返して、最近は自分の中の魔力にそれなりの多さを感じとることができる。

空間魔法が使えるハズだから、魔力の素養はそれなり多いはずだ。

でもあの神様のことだから『実はお主の潜在魔力量が残念ながら少ないから使えないのじゃ』とか普通にありそうだ。

ライトの魔法以外にも、魔力で体を覆ったり、足や腕などの一部分に集中して纏わせたりもしている。これが何とも難しい。油断するとすぐに魔力が揺らいでしまう。

ライトは慣れてきたが、やはりまだまだのようだ。魔法は深い。

俺の謎の移動事件の翌日には、俺の母さんであるエルナの前で綺麗な寝返りを披露。

エルナは俺の成長に大はしゃぎしていた。

もう一回やってと何回もねだるので、繰り返し寝返り、そしてコロコロと転がる。

ますます喜ぶエルナ。その後ろに控えるサーラさんは成る程というスッキリした表情をしていた。

後日父さんであるノルドが帰ってきて、また寝返りを要求されて、両親共にまた大騒ぎしていた。

ーーーーー

五ヶ月。

「あれ? 魔力?」

「そう言えば、微かに魔力の気配がするね」

エルナとノルドが顔を合わせる。

つい、人前で魔力を流してもバレないかと思い好奇心でやってしまった。

二人の感受性が鋭いのか、エルナに抱き抱えられているからか、これだけ至近距離で流せばバレるのが当たり前かはわからないけど。

「となると、もしかしてアル?」

問いかけるように俺の瞳を覗きこむエルナ。

「あいー?」

「魔法の素養が高い赤ちゃんが無意識に使ってしまうって事を聞いたことがあるから。アルもそうなんじゃないかな?」

「そうだとしたら嬉しいわね。もしかしたらアルの将来は優秀な魔法使いかもね」

にこやかにエルナとノルドは微笑み合う。

よし、さらに驚かせてあげよう。

俺はエルナの腕の中で床に下りたい意思を告げるように、ゴソゴソと動く。

「アルったらどうしたの? コロコロしたいの?」

つい先程まで大人しかった俺が、突然動き出したことに驚くエルナ。

いや、違う。転がるのではない!

俺はさらに進化する!

ゆっくりと丁寧に俺を床に下ろすエルナ

それだけで、俺に気を使っているのかがわかる。

エルナとノルドは注意深く観察するためにしゃがみ込む。

仰向けの状態から寝返りの様にうつ伏せになる。そして両手で上半身を上げ、手と足を使いハイハイをして進む。

「ハイハイ!? アルったらもう出来るようになったの!?」

「エリノラでも七ヶ月半だったのに」

固唾を飲んで見守っていた二人が、いっせいに喜び出す。

「まだ五ヶ月なのにアルはすごいね~」

「本当だね」

「全く泣かないし、手のかからない子だったから心配だったわ~」

「エリノラやシルヴィオの時は苦労したからね。すくすく育ってくれて嬉しいよ」

微笑み合い、二人はそのまま一瞬触れるくらいのキスをする。

二人とも仲がいいね。続きは夜にやってね。

ハイハイが出来るようになったので屋敷を見て回ろうと思う。

エルナに抱いてもらって何回かは見回ったことがあるのだが、ちょっとした気分転換程度で一階の玄関とかエルナの寝室とかくらいしか見たことはない。

外も庭を少し回った程度でどんな光景が広がっているかわからない。

今日はハイハイでの移動を認められたのでどんどん探検する。

今日の俺のお守りはエリノラ姉さん。

赤茶色のポニーテールをしており、髪の毛を可愛いく揺らしながら俺の後ろをぴったりと付いてくる。

「そっちはダメ」

子供なのでサーラさんより好きにさせてくれるかと思いきや、結構細かく世話を焼いてくる。

一階の階段を少し覗いたら通せんぼされてしまった。今の俺はお預けをくらった犬のような姿になっているに違いない。

「一階は駄目なの!」

どうやら一階には絶対に行かせないように言われてるらしい。

二階は奥からノルドの部屋、エルナの部屋、エリノラ姉さん、シルヴィオ兄さん、部屋や、遊び部屋なんかが他にはある。

後は俺の部屋、リビングのような部屋、空き部屋、そして、この前俺が回収された書斎部屋と、二階はプライベート空間の確保された造りになっている。

なら、書斎でエリノラ姉さんに本でも読んでもらうか。エリノラ姉さんに取ってもらえさえすれば、後は本を抱き抱えでもして持たせてもらおう。そうすれば、部屋で好きに読むことができるかもしれない。

「あうー」

「本の部屋に入るの? あそこは本だけで何もないよー?」

「あいー」

俺は入りたい意思を表すために、トントンと木製の扉を叩く。

何か本当に犬になったみたいだ。

「別にいいけどー」

扉が開くなり、すぐに部屋へと入り、目当ての書物を探して本棚を見上げる。

探すのは、魔法関係の本や、この世界の情報がわかる本。冒険記とかの物語とかが嬉しいかな。

あった!

『魔法教本』

『ダンフリーの冒険記録』

『美味しい料理本』

『サーボリーの日常』

うんうん流石だよ待ってたよ魔法本。エルナ母さんが使えるから、あると思ったんだよ。

他にも冒険記録に、料理本。

いいね。興味ある。

『サーボリーの日常』に何故か凄く惹かれる。どうしてだろう。

サーボリーって何かさぼりみたいだ。

要チェックしておこう。気になる。

うん、他はよくわかないし時間があったら調べよう。

とりあえず、今は赤色をした魔法本だ。

俺はターゲットを魔法の本に絞り込む。

魔法本は棚の中段にあり、エリノラ姉さんが椅子に乗れば丁度取れる位置にある。

「あうー」

俺は棚を叩いて、無垢に本を見てみたいアピールをする。

「どうしたのアル? 本でもみたいの?」

俺の様子を見て推測するエリノラ姉さん。

そうです!そうです!

「あい!」

言葉が通じてるかのように、返事する俺。

エリノラ姉さんは特に俺の様子には疑問は抱いていない。……多分大丈夫。

「どの本なのー?」

エリノラ姉さんでも届く下の段から本を一冊取り出してくる。

違う。『マリーン姫と三匹のドラゴン』じゃない。

「じゃあこれー?」

それも違う。

俺は視線を中段に向ける。

「真ん中の本なのー?」

背伸びした後のだが、届かないのでエリノラ姉さんは椅子を引き摺って棚に寄せる。

そして真ん中の段の本を新たに指切していく。

「これー?」

惜しい!もうひとつ左!

「こっちー?」

エリノラ姉さんがついに魔法本を掴む。

「あいー」

魔法本に反応した俺を見て、エリノラ姉さんは魔法本を引き出す。

「じゃあ、読んであげるねー」

流石姉さん。頼りになる!

俺の隣にエリノラ姉さんも寝転び、寄り添って本を開く。

「魔力とは全ての人々が持っており、魔力を持たない者はこの世界にはいない」

知ってます。神様から聞きました。

「ーーーそして魔法は人それぞれのイメージ、願いであり。魔法のための詠唱も人それぞれ微妙に異なる。イメージや魔力操作に慣れると詠唱が少なくなるらしいが、詳しいことは研究中であり、無詠唱を扱う魔法使いはとても貴重である」

なるほどこれは知らなかった。勉強になる。

あれ? どうしたエリノラ姉さん? 続き読んで欲しいんだけど。

「……ここからはわかない。お母さんが読んでくれたのここまでだから」

なるほど、それですらすらと読んでいたのか。

さっきまでの頭の良さそうな凛々しさはどこにいったんですか……

適当にぺらぺらとページを捲ってみる。

あ!水魔法とかあるよ!見たいみたい。

「エリノラ様。そろそろアルフリート様をお休ませならないと」

「はーい、サーラ。本は終わりー」

そこで俺は本を取られてたまるか!と本にしがみつく。

「んー、もう終わりよー?」

「どうしました?」

「アルが本を離さないのー」

「気に入ったのかもしれません。その本も一緒に持っていってあげましょう。本に興味を示すとは珍しいですね」

何とか成功した。これで魔法の勉強ができる。ライトも飽きてきたんだ。