軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

38話.藤堂誠也の為に②

「おはよう玲央君」

「おはようございます玲央さん」

「……」

どうして?

リーシャさんは分かる。

だけど、何故紅葉さんが?

「機械のようにこちらを向かれても困るのだけど。昨日ね、紅葉にお金を払おうとしたら、『そういう事でしたか。なら私も付き合います』って言われて」

「な、成程。……良いの? 紅葉さん」

「勿論です。リーシャさ……リーシャは私の事情も知って貰いました。そして今回は誠也おじさまの件。知らぬ仲ではないのに、水臭いではないですか」

呼び方がリーシャさんから、リーシャに変わってる。

些細な違いだけど……原作では敵として戦う二人が、こうして協力する関係になるなんて、胸が熱くなる。

「そっか。リーシャさんが良くて、紅葉さんも良いのなら、俺から何か言う事はないよ。協力してくれてありがとう紅葉さん」

「ふふ、いいえ。それに、これ以上リーシャにリードされるわけにはいきませんものね」

「紅葉……」

あれ、先程まで良い雰囲気だったのに、何故そこでにらみ合うの二人。

「あれ、おねえに西園寺さん?」

「「!!」」

まだ寝ぼけ頭の咲が階段から降りてきた。

眠そうに目をこすっているので、起きたばかりなのだろう。

「咲、目はこすっちゃダメだぞ。いつも言ってるだろ? 摩擦で眼球に傷が……」

「はぃはぃ~。分かってるよおにいー。それより、両手に花でどこ行くの~?」

「ああ、ちょっとダンジョンに」

「……おにい。そんな美女二人を引き連れて、行くところがダンジョンて……」

急に真顔で声のトーン落として言うのやめて貰って良いかな?

俺だってこの二人とどこか行くなら、遊園地とかショッピングとかの方が良いとは思うけど!

でもそれだとこの二人と行ける理由なんてないわけで……むしろダンジョンだからこそ行けるわけでですね。

くっそう、誰かと共有したいこの想い!

「咲ちゃん、お兄さん借りていくわね」

「どうぞどうぞー! どうせなら一泊してきても良いからねおねえ!」

「ふふ、そんな事にはならないと思うけれど」

「一泊……成程、それも良いですね。ダンジョンが終わりましたら、近辺の我が社経営のホテルに泊まりますか?」

「「え」」

何を言い出すのかこの人は。

「でもそうね……ダンジョンの攻略時間によっては、それもありかもしれないわね……」

何故にリーシャさんまで受け入れる方向になるのか。

「ですよねリーシャ。ではそうしましょうか」

「そうね紅葉」

あれ? 俺の意見は?

「おにい……」

咲よ、どうしてそんな情けない奴を見るような視線を向けてくるのかな?

いつもの優しい咲に戻ろ?

「そ、それじゃ、時間も勿体ないし、早速行こうか」

「ええ」

「分かりました」

「うぃ~。行ってらっしゃいおにいー。おねえに西園寺さんが居るなら大丈夫だろうけど、危なくなったら逃げるんだよおにい」

「どういう心配の仕方なんだよ。そこは危なくなったら二人を守れくらい言ってくれ咲」

「だっておにいのが弱いでしょ?」

「グフッ……!」

俺にクリティカルヒットする言葉のナイフはやめてもらっても良いですか。

「おにいをお願いしますおねえ、西園寺さん」

「ええ、任せて」

「はい。それと咲さん、私の事は紅葉と呼んでくれて構いませんよ……? 西園寺さんだと、なんだか距離を感じて寂しいです」

「そうですか……? それじゃ、紅葉ねえって呼んでも良いですか?」

「ええ、それで構いません。敬語で無くても良いですよ?」

「いやそれは……。おにいより二人とも大人ですし……」

「さりげなく俺をディスるのそろそろ止めようか咲、俺のライフはもうゼロよ?」

「おにいはどうせ戦わないから棺桶のままでも大丈夫」

「何それ怖い。棺桶のまま指揮するの?」

「狙われない最強の布陣じゃないおにい?」

「確かに! 天才か咲」

「えへへ」

「「……」」

あれ、リーシャさんと紅葉さんに、すっごいあったかい眼差しを向けられてる。

「さ、さぁ行こうかリーシャさん! 紅葉さん!」

「クス。ええ」

「はい、玲央さん」

さっきも言ったけど、またちゃんと返事をしてくれる二人には感謝しかない。

それから電車に乗り、場所を移動する。

道中二人に向けられる視線の多い事多い事。

和、洋の超絶美女が、モブ顔を挟んで歩いているんだから当たり前だが、二人を見た後に俺を見て怪訝な顔をされるんだよね。

分かる。

分かるよ。俺もそうする、俺だってそうする。落ち着け何人の俺が居るんだよ。

そんなくだらない事を考えてしまうくらいには、感情が無になっていたのだが……。

「紅葉、ぶしつけな視線を送ってくるだけならまだ我慢できたのだけど……」

「ええリーシャ。玲央さんを見るあの視線……許せませんね……」

なんか二人の殺気が凄い事に。

落ち着いてほしい。

美女に挟まれたモブの男なんて見たら誰だってそうなるのだから。

俺だって遠目で美女とモブ顔の人を見かけたらきっと、ギャルゲーの主人公かよ! って思うからね!

なので俺自身はそんなに気にしていないのだけど。

気持ちは凄く分かるので。

「二人が綺麗だからね、仕方ないよ」

「「!!」」

「それより、二人ならもっと交通手段もあっただろうに、俺に付き合わせてごめん」

リーシャさんなら転移魔道具もあっただろうし、紅葉さんだって車で行けたはずなのである。

場所はライムですでに共有してあるので、現地集合でも良かったのだ。

「何を言ってるの。一緒に行く方が良いでしょ」

「そうですよ玲央さん。それこそ気になさらないでください」

二人は本当に優しいなぁ。

俺の都合に自然に合わせてくれるんだから。

二人の力になれるように、ダンジョンでは頑張らないとね。