軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25話.クレハとの邂逅①

「え、明日おねえと西園寺さんが遊びに来るのおにい!?」

「うん。なんかそういう事になってた」

「なってたって兄貴……。どういう展開があったら、そういう事に兄貴抜きでなんの?」

考え事してたら、そうなったとか言えない。

「とりあえず拓、これはチャンスだよ」

「そうだな姉貴。兄貴を推して推して推しまくって、引っ付ける!」

「西園寺さんには悪いけど、私達はおねえ推しだからね」

「西園寺さんには悪いけど、俺達は姉御推しだからな」

「「うん」」

なんか、咲と拓が悪巧みしてそうな気がするけど、基本良い子達なので大丈夫だろう。

「そうと決まれば、部屋の片づけ……は普段おにいと拓がしてるから片付けるところがないや」

「そこは自分が入らないとダメじゃね姉貴」

「良いのよ、適材適所って言うでしょ。私は片づけが苦手。おにいと拓は得意。どちらがやった方が良いかは明白!」

「姉貴は不得意が多すぎんだけど……」

「生意気言うのはこの口か拓ぅー!」

「いひゃいいひゃい、わりゅひゃったって」

妹と弟のじゃれあい可愛い。

「「……」」

あれ、いつまでも見ていたかったのに、何故か顔を赤らめて止めてしまった、残念である。

「にゃー」

「あ、マーちゃん! マーちゃんマーちゃんマーちゃ~ん!」

「んにゃぁぁっ!?」

俺の足元に寄ってきたマカロンが、一瞬で咲に抱きしめられてホールドされた。

「姉貴、可愛いのは分かるけど、適当に加減してやれよ……」

「無理!」

「すっげぇ良い笑顔だな姉貴……」

拓は多分何度も言ってきたのだろう。もう諦めている感じがひしひしと伝わってくる。

「まぁ明日はリビングじゃなくて俺の部屋で居るつもりだから、二人は気にしなくて良いぞ」

「「連れ込むの!?」」

「言い方ぁ!!」

紅葉さんの話をするのに、リビングで話をするわけにもいかないからね。

ただ遊びに来るというわけではないのだ。

重要な話をする為に、事情を知っていて集まりやすい俺の家を選んだに過ぎないのである。

勘違いしては痛い奴になってしまうからね。

「あ、マカロンも借りるぞ咲。ほら、会話に困った時に動物が居ると助かるだろ?」

「むぅ、おにいのヘタレ。マーちゃんをダシに使うなんて」

ごふっ……! 確かに取り方によってはそうなるかぁ……!

でもでも、マカロンは必須なんだよぉ。

「まぁまぁ姉貴。あの兄貴が女性を二人も家に呼んだんだぜ? それだけでも大進歩じゃねぇか」

別に呼んだわけではないのだけど。

「ま、そうだね。私達に出来るのは……明日の夜は赤飯にするくらい?」

「だな」

「お前達は何を言っているんだ……?」

赤飯て。特に何も起きないぞ。

「あ、これ何にも起きないって思ってる顔だ」

「女性二人も部屋に呼んどいてそりゃねーよ兄貴……」

えぇぇぇ……!? 俺がおかしいの!?

というかなんで心が読めるの!?

「仕方ないよ拓。おにいは精神が子供だもん」

「ああ姉貴。体は大人、頭脳も大人の迷探偵だな……」

その 名(めい) って言葉、迷うって変換されてる気がする。

でもそれただの大人ですけど。

「それじゃ、伝えるべき事は伝えたし、俺は走ってくる」

「「はーい」」

頭をさっぱりさせるのにも、ランニングは丁度良いんだよね。

中々眠れない夜を……なんて事もなくぐっすり寝た俺は、朝もランニングして、帰ったら軽くシャワーを浴びる。

流石に女性二人を招くのに変な服装出来ないので、ちょっと気合を入れた。

「おお、おにいがそれなりの見た目に」

「兄貴決まってるな!」

咲と拓の判子を貰ったので大丈夫だろう。

まぁ、相手が誰もが認める美女二人なので、俺がどれだけイケメンだったとしても霞むだろうけど。

でも昨日烈火もイケてるって言ってくれたし……烈火は社交辞令とかそういう事を言うのは苦手なので、本心で言ってくれた可能性が高い。

少しは自信を持っても良いのだろうか……?

いやいや、俺はモブなんだぞ。

調子に乗っちゃいけない。

主人公達とは見た目に天と地ほどの差がある。

「まーたあの顔は変な事考えてるよ拓」

「まぁいつものこった姉貴。俺達は邪魔になるし、部屋に籠っておこうぜ」

「そだね。それじゃおにい、頑張って!」

「ガンバだぜ兄貴!」

「う、うん」

頑張るって、何を?

そうか、モブの俺がメインヒロインにメインヒロイン級サブキャラヒロインと会うんだもんな。

それだけでも勇気が要るってものだ!

二人はそんな俺の気持ちを汲んで……なんて良い子達なのか……!

「あー……拓、これまた……」

「ああ……こういう顔の時の兄貴は、絶対違う事考えてんだよな……」

何か言いながら、二人は部屋に戻っていく。

残された俺とマカロンも部屋に戻る事にした。

「にゃー(お前はなんというか、少々残念な頭をしておるな?)」

開口一番それですかマカロンさん。

「えっと……今日はリーシャさんに紅葉さんの事情を話すと思うんだ」

「にゃん(あの銀髪の嬢ちゃんだな。はよくっつけ)」

「あはは! 面白い冗談だね!」

「にゃ……(……ダメだこいつ、早くなんとかしないと……)」

ピコン

「あ、ライムかな?」

スマホを起動すると、予想通りライムメッセージが届いていた。

リーシャ:おはよう玲央君。今日はどれくらいの時間に行ったら良いか、聞いておこうと思って。今丁度紅葉と会ったから、少し買い物してから向かうわ。

と来ていた。

俺はすぐに返信する。

玲央:おはようリーシャさん。時間はいつでも良いよ。

『リーシャが紅葉を招待しました』

紅葉:おはようございます玲央さん。向かう途中でリーシャさんと会いまして、一緒に買い物を済ませてから向かいますね。

玲央:おはよう紅葉さん。二人とも楽しんできてね。

紅葉:ありがとうございます。何か欲しいものはありますか玲央さん。

玲央:んー、特に……あ、昨日咲がお菓子を食べつくしてたと思うから、出せるのが無いかも……。

リーシャ:ふふ、了解。それじゃ適当に私達で買っておくわね。

玲央:ごめん二人とも。お願いします。

紅葉:このお菓子が良い、とかありますか?

ここで少し考える。

なんでも、なんて言ったら、この金銭感覚のおかしい二人の事である。

滅茶苦茶たっかいお菓子を買ってきかねない。

いや絶対買ってくる。

クッキー買ってきてって言ったら、長方形の小さな箱じゃなくて丸い缶に入った高級クッキー買ってきそうな気がするもん。

リーシャ:玲央君?

紅葉:玲央さん?

玲央:っと、ごめん。考えてたんだ。えっと、ポッキンとかキノコの里とかタケノコの山とか、そういう手軽に食べれるお菓子が良いかな?

リーシャ:了解。

紅葉:分かりました。飲み物はどうされますか?

玲央:二人の好きなので大丈夫。うちにもいくらかあるし。

紅葉:分かりました。では、少し待っていてくださいね。

玲央:はい。ゆっくり買い物楽しんで良いからね。

リーシャ:ええ。

紅葉:はい。

そうしてライムを終える。

マカロンは肩の上に乗って、それを見ていた。

「にゃん(モテモテだなご主人様)」

「茶化すなってば。そういうのじゃないよ」

「にゃ(このトーヘンボクめ)」

「うん、耳元でにゃんにゃん言われるとくすぐったい」

「にゃ!(聞け!)」

マカロンに肉球でぺしぺしされる。柔らかくて気持ちが良い、もっとしてください。

それから少し時間が経ってから、ピンポンという音がしたので、玄関に向かう事にした。