軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

68話.『真鑑定』の効果

「玲央君、『真鑑定』は覚えられたの?」

リーシャさんが期待に満ちた瞳で聞いてくる。

覚えられたんだけど……ね。

「う、うん」

「? 何か歯切れが悪いわね?」

「その……」

まさか『真鑑定』が俺の最大魔力量よりも消費が高いとか思わないじゃない?

一体どういう事なの。

ゲームではそんな事なかったのに。

とりあえず、その事を説明する。

「うっそだろ……『魔眼』持ちの玲央でも足りねぇとか、どんだけだよ……」

「所持者が居ないのも納得だな」

「そんな落とし穴があるなんてねぇ。流石の玲央もこれは予測できなかったか」

「玲央さんでも無理なら、大抵の人は無理ですね……」

うぅむ……せめて一度でも使えるなら熟練度を上げて消費を減らせるのだけど。

一度も使えないのでは、どうしようもない。

「玲央ちゃん、ウチが補助してあげよっか☆」

「え?」

「足りない魔力を、ウチが貸してあげる☆ それで何度か使えば熟練度が上がって消費も下がるっしょ☆」

「「「「!?」」」」

色々な意味で驚いた。

クレハさんはもしかして……

「……クレハさん、頼んでも良いですか?」

「マカセロリ☆」

どんな返事なんだ。

クレハさんが俺の後ろへと回った。

「それと玲央ちゃん、ウチの事は呼び捨てるように言ったっしょ☆」

「あ……その、女の子を呼び捨てにするの、慣れなくて……」

「女の子かぁ☆ ウチこれでも千歳超えてるから、人間で言ったらババァってレベルじゃないよ☆」

「「「「!?」」」」

「せっ……いやいや、そんな風には全然見えませんよ!?」

「魔族は若い間が長いからねぇ☆ どこかの戦闘民族みたいだよね☆」

うん、今確信したけど、この人、いや魔族だけど、絶対転生者だ間違いない。

「……クレハさん、どの戦闘民族が好きでした?」

「ベジータかな☆」

ぐほっ、良い趣味してらっしゃる。

俺は王道だけど悟空が一番好きです。

いやそこじゃない。確定じゃないか真っ黒だ。

「何の話をしてるの?」

リーシャさんが不思議そうな顔で聞いてくるけど、これが普通の対応である。

「あー、えっと、ある漫画のお話でね」

この世界じゃないけど。

「何故このタイミングでそんな話を……?」

心底不思議そうだけど、俺にも分かりません。

いけない、終始クレハさんのペースに乗せられ……ンヒッ!?

せ、背中に柔らかい感触がぁ!?

「くふふ☆ 役得だねぇ玲央ちゃん☆」

「「……」」

「あ、あの、そこまで引っ付く必要が……?」

女性陣、特にリーシャさんと紅葉さんの視線が凄まじく怖いんですけどぉ!?

いや美鈴さんも目が怖い、見てる場所が二人と違うけど!

「過不足分をすぐに送らないとだからねぇ☆ そうしないと、玲央ちゃんが倒れちゃうぞ☆」

「な、成程……」

俺の為を思ってしてくれているのなら、何も言えない。

「柔らかくて役得でしょ☆」

「……」

ノーコメントでお願いします。

「それじゃ、リーシャさん。剣聖の証を貸して貰って良い?」

「ええ。分かったわ」

リーシャさんがいつも身に着けている剣聖の証を受け取る。

藤堂先生から受け継いだ、名誉ある証。

リーシャさんからすれば、自分の命よりも大切な物。

それを、俺に貸してくれた。

リーシャさんの信に応える為にも、絶対に成功させる!

「行くよクレハさん。『真鑑定』!」

別に言わなくても良いのだけど、クレハさんに合図を送るという意味で言葉に出す。

体の中からごっそりと魔力が持っていかれる。

けれどそれとほぼ同時に、温かい何かが体を満たしてくれる。

これがクレハさんの魔力なんだろう。

感じる。凄まじい大きさの魔力湖から、川のように魔力が流れて、空になった俺の体を満たしてくれるのを。

クレハさんはやはり、とんでもない実力者なのが分かった。

通常、他人の魔力の波長に合わす事は至難の業だ。

魔力の質が違うと体が弾いてしまう為、代用するのは高難易度の技術が必要になる。

「……でき、た」

剣聖の証(真)

STR+スーパーレア

AGI+レジェンダリー

DEX+スーパーレア

ALL+エンチャンテッド(隠し特性)

ぶはっ! ステータスオール+に数値がエンチャンテッドだってぇ!?

この+の表記は、ゲームのレアリティと同じだ。

コモンから始まり、アンコモン、レア、スーパーレア、レジェンドと効果が上がっていく。

中でもエンチャンテッドはほとんどの装備にまずつかない最高レアだ。

それが、更に滅多に着かないステータスオールに着くとか……流石はこのゲーム屈指の最強サブキャラクターの一人だ。

「はい、どうぞリーシャさん」

「ええ、ありがとう。……! これ、は……。す、凄い、わね……力が、溢れてくる……!」

身に着けただけで効果を発揮するので、リーシャさん程の人なら体感で違いが分かるだろう。

本来ならもっと終盤なんだけど、ね。

次のイベントでも必ず役に立つだろう。

「うっ……」

「「「「「玲央(君、さん)!?」」」」」

「おっと☆」

体がよろめいた俺を、クレハさんが支えてくれた。

「玲央ちゃんは『魔眼』持ちだからねぇ。いくらウチが補強したとはいえ、一瞬とはいえ空になってるわけだからね☆ 『魔眼』の負荷が体に掛かったんだよ☆」

「玲央君……ごめんなさい、私……」

「謝らないで、リーシャさん。これは俺が、したかったんだ。……もうすぐ、大きな戦いが起こる。その時に……必ず役に立つから」

「「「「「!!」」」」」

そこで俺は、気を失ってしまった。

「玲央……!」

「……大丈夫だ烈火。気を失っただけだ」

「ったく、相変わらず玲央は無茶するんだから。こっちの心配する気持ちをちょっとは考えなさいよね」

「ふふ、ですね。私達の為に、一生懸命になってくれる。でも、そんな玲央さんだからこそ、私達も守りたくなるのですから」

「うっ……まぁ、そうなんだけど」

「くふ☆ 愛されてるねぇ玲央ちゃん☆ それでね、玲央ちゃんは状況から気付いてるみたいだけど……そのうち、ウチや魔王様とは関係ない魔族が仕掛けてくるよ☆」

「「「「「!?」」」」」

「だから、無理したんだろうねぇ☆」

「玲央君……先の事を予測して……」

「チッ……ったく、一人で抱え込もうとしたのかよ玲央の奴……!」

「フ……そうではない烈火。確証が持てない間は、言えなかったのだろう。いたずらに不安にさせたくないだろうからな」

「!! そうか、そうだな。なら俺達は、玲央が話してくれた時に備えて、準備しておかねぇとな」

「ですね。せっかく集まっているのですから、私達で模擬戦でもしませんか?」

「お、良いねぇ!」

「フ……相手になろう」

「人数は5人だけど、どうチームを組むのかしら?」

「あ、ならウチが相手してあげよっか☆」

「「「「「!?」」」」」

「最近体動かしてなかったから、偶には思いっきり動きたいんだよね☆」

「おいおい、それは俺達全員を一人で相手するって言ってんのかよ?」

「そだよ☆ 今の皆程度なら、瞬殺だよ多分☆」

「「「「「!!」」」」」

「そこまで言われたら、黙ってられないわね」

「おうリーシャさん。やったろうぜ!」

「その舐めた口を閉ざしてやろう」

「私達全員を相手にそんな大口、よく叩けたわね! けちょんけちょんにしてやるわ!」

「クレハ、私達をあまり舐めない方が良いですよ!」

目が覚めた時、ルンルンなクレハさんと、どこか落ち込んでる皆が居たんだけど、一体何があったんだろう……?