軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お好み焼きと謎バイト

アイテムボックスの謎。

それはゴミ箱。

モンスターを解体した後のクズとか、クラフトした後に残る材料のカスとか、金属は金属粉でまとめておいて溶かすと奇妙な合金っていう謎アイテムが出てきて面白いんだけど、革とか木工とかのクズなんかはどうにもならないのでゴミ箱に入れる。

で、このゴミ箱で処分した量が多いと、次の日、通帳に謎の入金が行われる。

「これぞ、異世界転生出稼ぎ姉流仕送り法!」

「どういう理屈かわからないけど、とりあえずモダン焼きを食べな」

「わーい! もちろん豚イカノシイカエビモツチーズ玉だよね⁉︎」

「そんなご馳走、食べことないくせに」

「食べたことないからいま食べたい!」

「はいはい」

豚肉はビッグボア、モツはファイアブルのだけどね。

それ以外は市販品です。

ノシイカは細切れにする派です。

鉄板とヘラは鍛治スキルを使って自分で作った。

そして家でガチのお好み焼きなんて作んないから、実質初挑戦なところがあるんだけどね。

うっすら生地を焼きながらそこにさっきの具と大量のキャベツを投入していき、別の場所で解した焼きそば麺を投入し、ある程度熱が通ったことを確認したら上の面にも生地の元をかけてからひっくり返す……んだけど。

こんな大量の具、ひっくり返すときに吹き飛んでしまいそうだけれど……どうかな?

「よっこら……と」

よし、成功した。

さらに入念に中を蒸し焼きしつつ、ここだと覚悟を決めてソースを塗って終了。

マヨネーズ、青海苔、鰹節、一味はご自由に。

出来立ては鉄板の上でヘラを使って食べるけど、今回はヘラで切って皿に乗せておく持ち帰りスタイル。

アイテムボックスの中にあったら冷めないしね。

「うまうま……持ち帰りスタイルはしっとり感がアップよ!」

「誰に話しかけてんのさ?」

「アキヤにだけど⁉︎」

「相変わらず友達がいないのね」

「いるし! 滅多に会わないだけだし! 一年に一回でも会えれば満足だし!」

「そうですね」

姉の涙の訴えを聞き流し、自分の分や作り置き分も焼いていく。

そういえば、真白はお好み焼きは食べるのかな?

アイテムボックスから出て確認してみると、「食べます!」と元気な返事が来た。

いつもは生肉派なのに、お好み焼きは食べるらしい。

不思議な蛇っ娘だ。

「お好み焼きは食べます。当たり前じゃないですか」

いつもは蛇状態なのに、お好み焼きと聞いたら幼女状態に変化していた。

食べるのなら僕も真白の方で食べることにする。

「あ〜あ、アキヤは彼女が出来ていいね〜」

「はいはい。そういう姉ちゃんも、そっちにおもしれー女扱いしてくれる王子がいるんじゃなかったっけ?」

「ンがぐっ!」

「こっちに戻れるなら、姉ちゃんを嫁にって欲しがっている蛇神様がいるよ」

既婚者だけど。

まぁ、たぶん向こうは気にしないと思う。

「……ぼっちでいいです」

「どっちでもいいけどさ」

そんな姉ちゃんを置いてアイテムボックスから出て、二人でお好み焼きを食べる。

「このお肉とモツ、美味しいです! 異世界肉ですね!」

「うん、そう」

「こんなの食べてたら、霊力が上がっちゃうかも」

ほっぺたを抑えて満足げに唸る真白を見ながら僕も食べる。

うん、美味い。

いつものノシイカの旨みだけじゃないな。

異世界肉やモツ、さらに海鮮やチーズの旨みをキャベツや麺が吸い込んでいて、複雑な味わいがある。

そこに混ざりこむチーズや餅のねっとり感もいい。

「さすが、具たっぷりなだけあるね」

「え? お好み焼きってこういうものじゃないですか?」

「……基本は豚玉だと思うよ?」

ううん、お金持ちの子め。

今回ノシイカ以外の海鮮の具は冷凍物を使ったんだけど、堂城さんのところで食べるお好み焼きはもっとすごい具を使っていそう。

偏見か?

「でもでも、異世界のお肉を食べられるのは旦那様のお家だけです!」

「それはそう」

そこはまぁ自慢だよね。

手に入れているのは姉だけどね。

「まっ、深く気にしても仕方ない」

姉の異世界転生流の仕送りに感謝だ。

「お義姉様といえば……いや、いえば、なのかわかりませんが」

「なに?」

「いま、そこに手紙が来ました」

「え?」

真白の指は僕の部屋の外、玄関を指していた。

どういうことかわからないけど、とりあえず部屋を出てみる。

すると、本当にそこに手紙があった。

上り框のところに乗せるようにして白い封筒があった。

封筒の表には「契約者様ご家族様へ」と。

裏には「ニャンゴト・サービス」と書かれていた。

うちの通帳に入金している謎企業だ。

「さすが、異世界と繋がる謎企業」

郵便を介さずに、しかも玄関を通り抜けて手紙を置いていくとは。

「よくわかったね」

「侵入を許したのは残念です。ですが、あれはきっとお義姉様が契約しているから仕方ないことのはずです」

「ふうん」

よくわからないけど、向こうに悪意がなさそうだからそういうものだと受け止めるしかない。

だってアイテムボックスのゴミ箱の中身を買い取ってくれている、うちにとってはまさしく優良企業なのだから。

「それで、なんの用なんだろ?」

表の書き方からして、僕宛なんだろうと思って中身の便箋を抜き取って確認する。

『バイトのご案内』

と書かれていた。