軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

目覚めると

姉の暴走に付き合っていろいろやった。

あいつに行動力を与えると碌なことにならないということがよくわかるような時間だった。

ただし、僕の実質の時間は一秒も過ぎてないんだけど。

いつも通り精神だけ疲弊して自室に戻る。

当たり前だけど、白蛇は木箱の中で眠っている。

白布みたいなのが一緒に入っているし、いまは春なので寒くないかもだけど、なんかこのままだとなぁと思ってタンスを漁り、タオルハンカチを二枚ぐらい追加で箱の中に入れて布団代わりにした。

明日は蛇を飼うためのグッズを見に行こうと決めてシャワーを浴びて眠る。

目覚めると、巫女姿の少女がすぐそばにいた。

ベッドの端に正座して僕を見下ろしている。

ビクッとした。

驚きで思考停止して、しばらく口をぱくぱくさせた後で、思い付いたことがあったので聞いてみた。

「……もしかして君って、あの白蛇?」

「はい」

少女は頷いておかっぱの前髪を揺らした。

「そっかぁ」

とりあえず、布団から出る。

「とりあえず、顔とか洗いたんだけど、いいかな?」

「あ、どうぞ」

というわけでベッドから出てトイレ行ったり顔洗ったりしてから自室に戻ってきた。

少女は変わらず、ベッドの上で正座していた。

僕は勉強机の前にあるイスに座った。

「じゃあ、とりあえず自己紹介から始めようか。僕は尾羽亮哉だよ。よろしく」

「よろしくお願いします。ましろは、 真白(ましろ) と申します。亮哉様の所へ輿入れさせていただきました。何卒、末長くよろしくお願いします」

そう言って、少女……真白は深々と頭を下げた。

んんん……っ‼︎

「いや、そんな気はしてたんだよね」

蛇神……清十郎さんが僕のことを同胞と呼んだ。

いきなり仲間扱いするにはなにかあるんだろうなとは考えていた。

現象としては僕が近い将来蛇になるっていうパターンと、もう一つ……あの時助けてくれた誰かと結婚させられるっていうパターンの二つだったんだけど……なんかやっぱり後者の方だったか。

あの、声だけのニチャア老人の話ぶりからして、なんかそんな感じかもなぁとは思ってたんだけど。

思ってたんだけど……。

「子供すぎない?」

「そんなことはありません! ましろはこれでも生まれて五年ですから!」

「ううん」

蛇ならそれで成人でもいいんだろうけど、人間なら幼女だ。

見た目は小学校……よくて三年生ぐらい?

「どっちにしても犯罪臭しかしないなぁ」

「世間の価値観なんて関係ありません。旦那様はタチキの一族になったのですから」

「タチキの一族?」

「はい」

「そのタチキってなにさ?」

蛇神の恩恵を受ける堂城家の影響が強い土地ってことはわかるし、怖い体験はしてきたんだけど、真白の言うタチキはそれとはまたなにか違うような気もする。

「タチキはもともと断鬼と書きました」

書き物を求められたのでルーズリーフとシャーペンを渡すと、真白がそこに『断鬼』と書いた。

「いまは堂城家しか残っていませんが、そもそもは私たちが力を貸して鬼と戦っていたのですよ」

「はぁ……」

「むっ、信じていませんね」

「信じてないというか、現実離れしているというか?」

「現実離れという意味なら、旦那様もかなり離れているようですけど?」

「……まぁ、そうかも?」

これは昨夜のアイテムボックスからの出入りを指しているのかな?

「まぁでも、いまは鬼と戦っていないんでしょ?」

「そうですね。いまはもう堂城家にすら金運家運を司っている程度にしか思われていないようですしね」

不満ですと、真白は頬を膨らませる。

口は達者だけど、そういうところは子供だよ?

「ですけど、旦那様を見て思いました。旦那様はきっと再び鬼と戦ってくれる方になると!」

「いや、ならないけど?」

なんで戦わないといけないのさ。

「タチキの者たちにさえ気付かれないように行動できるその能力は、きっと鬼への戦いに向いていますよ」

「いやいやいや……」

いかん、なんか変な方向に話が流れてるな。

「まぁとりあえず、朝ごはんにしようか。そっちの姿だとどっちがいいのかな?」

「あっ、ご飯は……昨日の《《鶏肉》》が美味しかったのですけど」

「《《鳥肉》》ね。生でいいの?」

「はい。あの《《鶏肉》》、とても美味しかったのですけど、特別な鶏なんですか?」

「まぁ、特別と言えば、特別かな」

「すごいです。旦那様!」

ちょっとした齟齬と感じながら、アイテムボックスに入って真白にあげるコカトリスの生肉を用意して、自分用に卵焼きと、ファイアブル肉と玉ねぎのバラ焼き風を作った。

肉は違っても玉ねぎとメーカーのタレを使っていれば、〇〇風ぐらいは名乗っていいと思う。

ファイアブルの肉がまったく減らないなぁ。

あと、ブラックサーペントの肉もどうするべきか。

悩みつつ、アイテムボックスから出る。

「わっ、やっぱりすごい。なんなんですか? どうなっているんですか?」

壁に向かった僕が振り返ると食べ物のトレイを持っているという謎現象に真白は大興奮だ。

「超すごい秘密。それより、ご飯だよ」

「はい!」

ご飯の言葉に反応すると、真白は勉強机の上に腰掛けてから白蛇の姿に戻った。

そして箱に戻って口を開ける。

食べさせてってことかぁ。

昨夜と同じように食べさせてから、自分の朝食を済ませた。