軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プレゼントと

「ヴァレンナ、こ、こ、これ! プレゼント!」

姉がヴァレンナにビキニアーマーをプレゼントした。

「え? リファリナ? これって……」

「ヴァレンナが新しい鎧を必要としているって聞いて。今度、イルマータ信者の間で大会があるんでしょ?」

「ええ……嘘」

イルマータ信者の大会?

そういえばビキニアーマーを渡す理由については聞いてなかったな。

姉の思いつきに付き合うのに慣れていたから、あんまり深く考えなかったな。

「いや、マジで嬉しい。ありがとう」

「喜んでくれて、よかった〜」

「こんなのもらって喜ばない奴はいないでしょ。すげぇ、これってリファリナが作ってくれたのか?」

「うん……あ、アキヤも手伝ったよ」

余計なことを。

僕のことなんて黙っていればいいのに。

「アキヤ、ありがとうな」

と、声だけが伝わってくる。

「どういたしまして。で、イルマータ信者の大会ってなに?」

ついでだから質問してみる。

「聞いてないのかよ」

とヴァレンナが笑ってから説明してくれた。

女神イルマータ。

ヴァレンナが信仰している美の女神の名前だ。

美しさを強調することで女神の加護を受けることができるので、信者たちの間では定期的に自分たちの磨いた美を披露する大会が行われるという。

ちなみに、嫉妬によって他者を引きずり落とすような行為は美しくないとして、加護の力が失われることがある。

僕がふと思った、こういう大会で起こりそうな後ろ暗いことは滅多に起きないのだという。

「そうかぁ、これを作るために……」

「ヴァレンナ?」

「いや、この前遊びに来た時、酔って泊まっただろ? あの時にさ」

「あ……」

僕もすぐに分かった。

サイズを測った時だ。

「いやぁ、あん時は「あれ? このままやられる?」って思っちゃったよ」

「しないよ!」

「あはははは! ごめんごめん。じゃあ、ちょっと着替えてみていいかい?」

「もちろん。サイズの修正もいるかもだし」

「じゃあ……」

物音からして、ヴァレンナは別室に行ったのかな?

「姉ちゃん」

「なに?」

「アイテムボックスを閉じて、二人になればいいからね。僕、他にやることあるし」

アイテムボックスの整理がまだ終わっていない。

どうして油断すると、すぐに物が増えるんだ?

「いや、うん、まぁね」

アイテムボックスを閉じると、向こうでなにが起きているのかはわからなくなる。

プライベート対策はバッチリだ。

「じゃあ、うん、そうするね」

「はい。じゃあまた」

というわけで、僕は僕の作業に集中することにした。

とりあえずアイテム整理。

謎のキノコがたくさんあるな。

なんだこれと考えていると、姉の知識が下りてきていろんな種類の毒キノコだということが判明する。

やばぁぁ。

いや、毒キノコも薬の材料になるっていうのはわかるんだけどね。

だけど、なんでだろう?

これらの毒キノコから作れる薬一覧の中に、精力増強薬があることから目を離せない。

……いや、目を離そう。

まさか姉もいきなり薬の力に頼るようなことはするまい。

うん、気のせい気のせい。

あはははは。

……いや、姉ってそっち?

それすらもはっきりしてないからなぁ。

まぁ深く考えるのはやめて、整理に勤しむとしよう。

その夜。ついに姉から声がかかることはなかった。

「おはよう」

翌朝。

学校に行くと堂城さんに声をかけられた。

「あ、おはよう」

「この前は大変だったわね」

声をかけられたことにびっくりしたのに、さらに話が続いた。

「え? あ、まぁ……」

この前は大変?

それって絶対、あの件だよね?

「彼女、今日は学校に来ていないみたいなの」

「……ああ、そうなんだ」

「だから、もう大丈夫だから」

「ああ、そう?」

「だからもう、私にもあんな質問はしないでね」

それってつまり……堂城さんに姉のことを質問するなってこと?

尋ね返すこともできずにいると、堂城さんはすぐに僕から視線を外してそれきりこちらを見ることはなかった。

いや、タチキのことも謎だし、姉の死がさらに謎めいた気がするんだけどど……それより……。

堂城さんと姉って実は、そういう関係だったとか?

婚約者のいる堂城さんが姉と?

だから、姉はタチキによって消された、とか?

いや、まさか、ねぇ。