軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

これで全員集結しました。

「どうして……?」

リリアナの後ろに、同じく息を切らして走っている、ロイドの姿があった。

僕は、今回のクーデターに関してはロイドを外すことにしていたんだ。

王国のいざこざなんてロイドには無関係だし、実力だってこんなことを言ってはなんだけど、それほど強くはない。

何より……彼はユリのことが好きだったから。

もちろんユリが 袂(たもと) を分かった時点で、彼の存在は僕以外の全ての人々の記憶の中から消えてしまっている。

それは、当然ロイドにおいても。

それでも僕は、これから対峙することになるユリと会わせたくなくて、あえて遠ざけたはずなのに、どうしてこうなった。

「リリアナ、説明してくれ。なぜここに、ロイドを連れてきた?」

「え、えへへー……その、やっぱり仲間外れはよくないかなー……って」

僕が低い声で詰問すると、リリアナは愛想笑いを浮かべるもすぐに恐縮してうつむく。

本当に、僕の気持ちも知らないで勝手なことを……って!?

「ロ、ロイド!?」

「俺が強引にリリアナに連れてきてもらったんだよ。お前が俺をのけ者にしやがったからな」

胸倉をつかみ、ロイドが険しい表情で詰め寄った。

でも、その声はとても落ち着いており、そのギャップに僕は思わずたじろいでしまう。

「俺さ……入学式の日、最初はお前が第三王子だってこと知らなくて、気安く 絡(から) んだけどよ。それからも俺と身分に関係なく同じように接してくれて、嬉しかったんだ」

「…………………………」

「しかもほら、ハロルドっつったら『無能の悪童王子』なんて噂されていたのに、実際のお前は正反対のいい奴で、そんなお前と友達だってことは実は俺の密かな自慢でもあったんだ」

えーと……僕は何を聞かされているんだろうか。

そんなことを言われても照れるし、僕としてもどんな反応をしていいか分からなくなってしまうよ。

「だ、だからよ! 俺抜きでこんなことするなんて、やっぱりお前にとって俺は、友達でもなんでもないってことだろ! お前にとって、俺は……俺は……っ」

肩を震わせ、声を詰まらせるロイド。

彼を 慮(おもんばか) った結果が、こんなにも追い詰める結果になるなんて思いもよらなかった。

「……だけど、これは君にとってつらいことになる。それが分かっているから……」

「んなもん! ……んなもん、とっくにつらいに決まってるだろうが……」

……どうやら僕は、友達への対応方法を間違えてしまったみたいだ。

やっぱり前世がボッチだとデメリットが多いなあ。コミュ力大事。

「分かったよ」

「っ!」

「じゃあ君も一緒に行こう。……じゃないね。一緒に来て、僕を助けてほしい。僕の数少ない男友達である、君に」

「あ、ああ! 任せとけって!」

ロイドは腕でグイ、と涙を 拭(ぬぐ) い、破顔する。

くっそう、『ガルハザ』の攻略キャラだけあってメッチャキラキラしてる。それはもう背後にエフェクトがかかっているくらい。

「えへへー、よかったね」

「お、おう! リリアナ……今日のこと、教えてくれてありがとな!」

「まあねー。あんなに落ち込んでるところ見せられると、しょうがないよ」

感謝の言葉を告げるロイドに、リリアナは苦笑して肩を 竦(すく) めた。

あれ? ロイドが落ち込んでた?

「あー、やっぱりハルさんは気づいてませんでしたか。ロイドったら夏休み明けの初日、ずっとハルさんを恨めしそうに見て溜息を吐いてましたよ?」

「ちょっ!? リ、リリアナ!?」

「だってそうじゃない。ていうか自分がどんな顔してたか分かってないの?」

「う……」

などと二人でじゃれ合うのはいいけど、場を 弁(わきま) えてほしいところ。

だって。

「……今回の件が片づいたら、次はあの男だ」

「ふう……リリアナ嬢の友人を 消す(・・) のは気が引けるんだけどな」

「チャラ男のくせに生意気な!」

ほらー、三人の王子がロイドに敵意を 剝(む) き出しにしているよ。

心配しなくてもロイドには好きな人(ただし男)がいるし、リリアナが好きなのは肉一択だというのに。

「皆様、おふざけはここまでにしましょう。それよりもハル様……これで全員揃いました」

「じゃあ行こうか。決着をつけに」

そうだ。僕は今日、決着をつけてやる。

ハロルド=ウェル=デハウバルズのバッドエンドを回避するために。

そして――前世にはなかった『エンゲージ・ハザード』の、僕だけの最高のハッピーエンドを迎えるために。