軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

163話

次の日の朝、自分用にと用意された個室で目覚める。今日は氷像化された人たちを救うための作戦会議をする予定だ。

身支度を済ませると、見計らったようなタイミングで部屋の扉がノックされる。

「はい、起きてます」

「大統領がお呼びです。一緒に朝食でもいかがかと」

「行きます」

扉を開けるとそこにはあの犬好きの軍人さんが立っていた。敬礼をされたので、お辞儀でかえす。

「おはようございます。案内よろしくお願いします」

「はっ!」

案内されたのは昨日夕食をとった部屋だった。すでに大統領家族が揃っていて朝の挨拶を交わす。

それにしてもマキシム大統領は昨夜大量にウォッカを飲んでいたのにまったく平気そうだ。

レベルが上がって自分もお酒には強くなったが、ロシアの人はみんなこんなのだろうか? 一人で五本は空けて最終的に奥さんに怒られてやめていたけど……まだ飲めたのだろうか。

軽く今日の予定を大統領と話しながら朝食を済ませると、娘さんたちが近寄ってくる。どうやらシュナイダーをお求めのようだ。

シュナイダーにどうするか聞くと、子供たちの面倒をみておくとのことだ。

「すまないね佐藤君。娘たちがわがままを言ったようで」

「いえ、ちゃんとシュナイダーにどうするか確認しましたので大丈夫です。本人の意志ですよ。日本でも子供や女性陣とよく遊んでいたので嫌ではないと思います」

「ははは、君とシュナイダーは心が通じ合っているんだね。まるで会話ができるようだ」

「あれ? そういえば言ってませんでしたっけ。シュナイダーとは話せますよ。テイムしているので。ここら辺のスキルについても後でお話しさますね」

「……いや。随分利口な犬だと思っていたが、本当に話せるのかい?」

「テイムしている自分と、同じく自分がテイムしているゼロというドラゴンとは普通に会話できますよ。テレパシーみたいな感じですけどね。あとはレベルの上がった動物や他の人がテイムしているモンスターとも話せますね」

「今さらだがワンダーランドにでも迷い込んだ気分だよ……これ以上私が驚くことはあるかい?」

うーん……どうだろう。お松さんは日本じゃ結構すぐ受け入れられたし、何かあるかな?

「どうでしょう。多分ないと思います」

それから氷像化された人々を救出するための作戦会議が開かれた。集められたのは実働部隊、ようは戦える軍人さんたち全員で広い会議室に百名近いマッチョマンが集まっている。

大統領からの紹介をうけた後、自分がモスクワにたどり着くまでの間見てきたこと、氷像化した人たちはまだ生きているのではないかという考えとその治療方法についての予想も話した。

次に氷像化している人たちが元に戻った際の安全確保のため、モスクワ中に配置されている像の運搬が必要でそのためにはここにいる全員の協力が必要だと話す。

そこで一人の軍人さんが手を挙げ、質問をしてきた。

「街中の化け物どもと、あの人攫いサンタはどうするのですか? 奴らは倒してもまたわいてくるし、サンタがまた人を攫ってきたらキリがないのでは?」

「それは……」

透明化スキルとサンタのドロップアイテムのプレゼント袋を取り出して実演してみると、唖然とする会場を大統領が鎮める。

「こんな具合にモンスターと戦わなくても氷像の回収は可能です。プレゼント袋はこの一つしかないので自分がサンタから調達してこようと思います」

しばらくは夜のサンタ狩りをしてプレゼント袋を集める。その間この軍人さんたちには現代兵器に頼らない戦いに慣れてもらおう。

次に武器やスクロールを出して一通り説明をしていく。もちろんスキルについてはここにいる軍人さんたちは把握していたが、まさかこんなに種類があるとは思っていなかったようだ。

そもそもドロップ率アップがないとスクロールや武器のドロップはかなり渋いからな。

魔法やスキルスクロールの実演を、まさかの大統領がかって出て会場は一時騒然となった。

しかし、大統領の一喝で静かになり、良いのかなと思いながらも説明をしながら大統領にスクロールを渡していく。

大統領が覚えたスキルを使うたび、どよめく会場。最終的に収納に余っていたスクロールを全部覚えた大統領が何故か自分に相撲を挑んできた。

流石に負けるはずもなく、そっと大統領を床に倒すと何故か大爆笑する大統領。

一瞬シーンとする会場だったが、次の瞬間大歓声に包まれる。

「あの大統領を……」

「あいつは横綱なのか?」

「これで勝つる」

「俺とも相撲してくれ!」

歓声に戸惑いながら大統領に手を差し出した助け起すと、そのままこちらの手を掴んで万歳させられる。

するとまた歓声が大きくなり、まだ救出作戦も成功していないのになんだかすでに勝ったような雰囲気だ。

(まだ武器の説明が残ってるんだけど……)

しばらく謎の熱狂はおさまらなかった。