作品タイトル不明
164話
結局希望者全員と相撲をとることになり、百人近くのロシア軍人を転がすことになった。
相撲をして落ち着いたので次に武器を出して、特殊な効果のあるものは説明していく。軍人さんといってもRPGに出てくるような武器は使ったことがないだろうし、実際に使ってみて自分にあった武器を選んでもらう。
アレクセイさんは馴染みのあるナイフに近い形状の風斬りの短剣を選んでいた。
しかし風斬りの短剣は百本もないので、ほとんどの人がメイン武器プラス、サブにゴブリンナイフを選んだ。
武器や弾薬もほとんど消費していたらしく、武器の提供は喜ばれた。後で予備にいくつか武器を渡しておこう。
後はスクロールを覚えてもらって、スキルを使った戦闘に慣れてもらうのとレベル上げかな。最終的にフロストドラゴンをテイムできるくらいになれば結構やっていけると思う。途中昼食の休憩を挟んだ長い会議だったので時刻はもう夕方だ。
レベル上げやらなんやらは明日からということで会議はお開きになり、部屋に大統領と自分だけになる。
「君には本当に驚かされるよ」
「マキシム大統領」
「ついこの間まで食べるのにも困って、武器や弾薬も尽きかけて通信も使えずもはや世界には我々しかいないのではないかとすら思えた」
ぽつぽつと大統領は語る。昨夜話した時とは雰囲気が違う。
「化け物どもにやられ消えていく国民に、気がつけば街中に配置されている凍り付けの人々。怒りと無力感で頭がおかしくなりそうだったよ。
そこに君が現れた。物資を提供してくれるだけではなく、知り合って間もない友人のために氷像を元に戻す方法を探してるという」
アレクセイさんたちを助けたいという気持ちに嘘はないが、ロシアの人たちに協力してもらわないと図鑑埋めが大変そうだという至極自己中心的な考えもある。
「はははっ。そんな顔をしなくても良いさ。大方君の大目標のことを後ろめたく思っているのだろう? 理由がなんであれ、君のその目標がなければ私たちは出会っていなかった。
それに日本でもロシアでも人を救ってきたという結果は変わらない。最初に会った時は協力は惜しまないといったが訂正させてほしい。
どうかロシア国民を助けるため、君の力を貸してもらいたい」
「もちろんですよ、人攫いのサンタとあの城の主の手からロシアの人たちを取り戻しましょう」
その日の夜、一足先に氷の城に乗り込んだ。とはいっても城門前までで城の攻略が目的ではない。
城門前は広場のようになっており、氷でできた木や花、噴水が配置されていた。
夜明け頃、目的のサンタが現れた。今日もしなくていい仕事をこなしてきたらしい。ゼロの突進でサンタを広場へと叩き落とし戦闘が始まった。
(あれだけ派手に戦っても物が壊れてない。当然だけどここはダンジョンで決まりかな)
無事サンタを倒しプレゼント袋も回収できた。サンタとの戦闘中増援のモンスターや、他のサンタが来ることはなかった。
今倒したサンタが最初に倒したやつがリポップしたものか、他の個体かはわからない。サンタの個体数やリポップ間隔の調査、プレゼント袋の回収もかねてしばらく夜から夜明け頃には城通いだな。
そういえばもう一つのサンタのドロップ、魔法のソリを調べていなかったと取り出す。
ソリに乗ってみるが、当たり前だが動かない。いや、魔法のソリというくらいだから、もしかしたらソリをひく動物がいなくても動いたりするかなと思ったけど……
どうやら普通にソリをひく存在が必要なようだ。どうしよう、ゼロにつけるには装具が小さいし、となるとシュナイダーしかいないわけだけど。
ちらっとシュナイダーを見ると、あまりギュッてしないでねとこちらに近づいてくる。試してくれるようだ。
装具をシュナイダーにとりつけ、ソリに乗り込みシュナイダーが走り始めるとシュナイダーとソリが浮かび始め空を駆けた。
魔法のソリは空飛ぶソリだったらしい。シュナイダーは空歩や飛翔スキルを使っておらず、普通に走っているだけなそうなので飛んでいるのはソリの力だろう。シュナイダーの足元とソリからはキラキラと光が出ている。ファンタジックだ。
上空を一回りして広場に降りる。面白い体験だったが自分にはゼロがいるし、なんなら自分自身飛翔スキルで飛べる。
良いアイテムかもしれないが、自分にはあまり使いどころはなさそうだった。
ソリの検証も済んだので大統領官邸へ戻ることにした。朝食を食べたら、今日はいよいよみんなのレベル上げだ。