作品タイトル不明
152話
死の谷を攻略してから一週間、いくつかの街を巡りながら北東に飛んでいる。アレクセイさんから聞いた通り、ロシア軍はモンスターへ対抗しようと広範囲に展開していたようで、道中や街の中で壊れた戦車や墜落した戦闘機なんかも見うけられた。
民間人、軍人共に生き残りを見かけることはなく
日本との違いに驚いている。モンスターの強さ、人口密度、ロシアの厳しい冬と色々原因は考えられるがこうも人に出会わないとは……。
街や軍の設営した拠点を軽く調べてみた限りでは、食料や燃料に銃の弾はほぼ尽きていた。
ある程度の期間抵抗して生き残っていたようだが、物資の補給も途絶え、その後のモンスターからのアイテム調達も上手くいかなかったようだ。
日本を旅していた時は、何だかんだ生き延びている人たちに出会っていたのでそれほど感じなかったのだが、もしかしたら世界の状況は想像以上にヤバいのかもしれない。
生き残っている人がいれば物資の提供やレベル上げの手伝いを惜しむつもりはない。これからも一応街には立ち寄ってみよう。無人の氷ついた街を後にして移動を再開した。
「コイツらだよなぁ」
死の谷より北の空中エンカウントに、フロストドラゴンというモンスターが混ざるようになっていた。
同じドラゴンとつくモンスターだが、その大きさはゼロの三分の一程しかない。ゼロの進化前のワイバーンよりも小さいくらいだ。
その代わりにコイツらは群れで出現する。今も五体でこちらを取りかこみ、氷のブレスでこちらを攻撃してきていた。
ゼロが巧みに飛んで攻撃をかわすも、多勢に無勢。無比弾ともいかず尻尾にブレスが直撃し凍りつき、バランスを崩したゼロめがけて四体がブレスを吐き、一体が突撃してくる。
ゼロの回復はシュナイダーに任せ、自分は突撃してくるフロストドラゴンの対処にあたる。
背中に組みつこうとするフロストドラゴンを引きつけ、十分に近づいてきたところへカウンターで溜めていた黒龍剣の魔力を解き放つ。
頭を吹き飛ばされたフロストドラゴンが消えていく。残りの四体のうち二体もゼロがブレスで仕留めたようだ。これで残り二体。
数が減ってしまえばこちらのもの。ゼロの背中から飛びたち、二手に別れて残りのフロストドラゴンを各個撃破していった。
126番 フロストドラゴン アイテム1 凍てつく龍鱗 アイテム2 フロストスピア
凍てつく龍鱗は青白い丸みを帯びた流線形をしており、それ自体がかなりの冷気を放っている。硬度もかなりの物で、黒龍剣以外の武器では中々傷つけることができない。
フロストスピアはシンプルなデザインの槍で、柄は青く、穂先は透き通っている。氷の力を宿しているようで、敵に突き刺すとその傷口から徐々に相手を氷つかせるようだ。
敵わないほどではない。しかし一度に出てくる数が多く、ワイバーン以上の飛行速度が厄介だった。有効な攻撃は火炎系に黒龍剣、雷に打撃系だ。
こんなのが無限に湧いてくるんじゃ、軍隊も弾がいくらあっても足りないよな……そもそもどれだけ銃が通用するのかな。ミサイルなんかはそれなりに効きそうだけど。
死の谷を離れてからもう何体倒しただろうか? まだ五十は行ってないはずだけど……ドロップの回収を済ませて一時間ほど飛ぶと、今度はフロストドラゴンが二体現れた。
今回は少な目なので魔力を節約して倒す。三体以上の場合、急いで数を減らすために高火力技を出すので地味に魔力を消耗するのだ。
この後さらにフロストドラゴン三体と遭遇し、しばらく進んだところでその日は休むことにした。