作品タイトル不明
140話
とにかく中に入れて暖かくしてあげよう。白熊たちが中に子供たちを運んでいる間、急いで人数分の布団を並べる。
えーと、全部で七人か。ミニログハウスは十畳ほどしかないので部屋が布団で埋もれる。広げていた勉強道具も片付ける。
子供たちを布団に寝かせ、魔法でお湯を作り湯たんぽを作り布団の中に放り入れていく。
子供たちは皆痩せこけており、充分な食事がとれていないことがうかがえるが意識も朦朧としているようだし、とりあえず飲めそうな子に水差しでスポーツドリンクを与えていく。
素人の介抱ではできることはたかがしれているな……ちゃんとした医療知識のある人に見てもらいたいが、この状態の子供たちが長距離の移動に耐えられるとは思えない。
自分にできることをしよう。中級回復魔法をかけながら子供たちが寒くないようにする。しばらくすると呼吸が落ち着き、顔に赤みがさしてきて寝息をたて始めた。
「ふぅ、ちょっと落ち着いたかな?」
「よかった〜」
お松さんも子供たちの汚れた顔をタオルで拭ってくれたり、色々と看病を手伝ってくれた。
ひと段落ついたので夕飯を食べながら、シュナイダーにどういういきさつで子供たちを見つけたのか尋ねる。
最初は皆で普通に狩りをしていたようだが、モンスターが枯れてしまい途中から街の探検に切り替えたらしい。
探検していくうちに街はずれの教会にたどり着き、人間の匂いがするので行ってみると毛布にくるまった子供たちが寄り添って意識を失っているのを見つけたとのことだ。
「他に人は居なかったの? 子供たちだけでここまで生き残れるものかな?」
すると教会には他にも人間の匂いが残っていたという。しかし急いで助けないと子供たちか危ないと思って連れてきたようだ。
それは良い判断だと思うが、その匂いの人物は今頃子供たちを探しているかもしれない。
「うーん。どうするかな……この状態の子供たちを放って行くのも心配だけど、保護者の人も放っておいたら子供たちを探して危険な目にあうかも……」
辺りはもう真っ暗だ。子供たちの状態から察するに、保護者の人も満足に食事できていないのではないだろうか?
よし、決めた。ちょっと教会に行ってこよう。レトルトのおかゆやスープなどの消化に優しそうな食事を出しておき、もし自分が出かけている間に子供たちが起きたら食べられるようにしていく。
説明はお松さんに任せよう。露和辞典も出しておく。
シュナイダーには留守番を頼み、子供たちへの回復魔法をお願いする。白熊たちは……窮屈そうにしているしもう一つミニログハウスを出しておいてあげよう。
「ゼロ、その街はずれの教会に案内してくれるか?」
任せろと頷くゼロにまたがり教会を目指して飛び立った。
教会は街から結構離れた場所に建っていた。こっち方面にはまだ来ていなかったな。
扉を開けて覚えたてのロシア語で挨拶をしてみるが返事は返ってこない。
浮遊松明を浮かべ、暗い礼拝堂を進んでいく。部屋をノックしながら声をかけ調べていくがやはり人の姿は見当たらなかった。
どうやらまだ帰っていないようだ。探しに出て入れ違いになってもあれだし、少しここで待ってみよう。あまりに帰ってこないようなら書き置きを残して一旦帰ろう。
筆記用具を取り出し、露和辞典を頼りに単語を並べていく。えーと、子供たちは無事街で保護している、と。
時計を確認すると教会に着いて二時間ほど経過していた。今日のところは書き置きを残して一旦帰ろうかな。
一応少し物資を置いていくか。あまり手をかけずに食べられる食料と書き置きを、わかりやすいように礼拝堂の入ってすぐの場所に置き教会を出た。
「動くな、両手を頭の後ろで組んで膝をつけ」
教会を出た瞬間、頭に硬い物を押し当てられロシア語で何か言われる。
後半は何を言っているかわからなかったけど、動くなだけはわかったぞ。勉強の成果がでている。