軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

136話

チャボさんの食堂でラーメンを食べ、ミニログハウスに戻って今後の計画を練る。

「うーん、どうするかな……」

「お兄さん、何を悩んでるの?」

日本を出て海外に着いたと言うと、お松さんも外に出たいというので連れてきた。マップスキルや観光雑誌、地図を前にうんうんと唸っているとシュナイダーにまたがってトコトコと近づいてきた。

「このまま北上して北極に行ってみるか、大陸を西に進むか悩んでます。その前にここら辺の探索はしますけどね。あっ、アラスカも近いな……」

「えーと、今はここに居るんですよね」

「そうです。こう島伝いに北上してきて、海を渡ってこの半島に来ました」

シュナイダーから降りて床に敷いた地図に乗ってきたお松さんに、これまでのルートを指でなぞりながら説明する。

「私が居たのがこの辺で、今はここかぁ。日本も広いなぁと思ったけど、世界は広すぎて想像がつかないですよ」

「本当ですよ。リアルに図鑑完成まで何年かかるかわかりません」

わかっていたことだが世界は広い。地図を前にするだけで改めて思い知らされる。あれだけ広大だと思った北海道が、この半島より狭いなんて……

なんだかRPGでストーリー中盤以降、空を飛ぶ移動手段を手に入れて行動範囲が広がり、どこへ行こうかというワクワク感よりも、現実世界だと広すぎてどこから手をつけて良いのかという感情が勝っている。

まぁコツコツやっていくしかないか。ゼロやワープゲートがあるだけマシだ。食事や宿の心配もしなくていいのは楽だしな。本当、モンスター図鑑様々だ。

「それで結局どうするんですか?」

「選択肢の多さで迷ったんですけど、とりあえずこの半島を北上してから大陸を西へ向かおうかと思います」

しかしまずは周辺の探索からだ。ロバさん情報によるとこの半島には火山も多く、死の谷なんて呼ばれている物騒な場所もあるそうだ。

良い感じにお腹も落ち着いたのでそろそろ狩りに出かけることにした。お松さんは流氷が見たいようなので、海岸沿いにちょっと探索してみるかな。

「ふぉー、凄い! 海が凍ってます」

「凄いですよねぇ、やっぱり実際に見ると迫力が違いますよ」

「現代人なお兄さんでもビックリですか?」

「テレビなんかで見たことはありますけど、やっぱり違いますね。現地の人たちは見飽きた光景かもしれませんけど」

「昔の人間の私にはもっとビックリです、生きてて良かったぁ。本当に綺麗です」

絶景に感動しているお松さんに、幽霊ですよね? というツッコミはやめておいた。

「あっ、お兄さん見てください! 海からタケノコが生えてきました」

「タケノコ? 何処ですか?」

何を言っているんだと思いつつ。お松さんが指差す方向を見ると、流氷を突き破って螺旋状に渦を巻いた巨大な尖った物が生えてきた。

かなりデカイ。タケノコというよりはドリルのようだ。流氷を突き破り、そのドリルの持ち主が姿を現わす。

「アザラシ? いやクジラっぽいか」

チラッとしか見えなかったが、ドリル以上の巨体の持ち主はクジラのようなフォルムをしていた。イッカクというクジラの友達に似ている。もっとも地球のイッカクはあんなに巨大ではなかったはずだ。

「外国の海にはあんな生き物もいるんですねぇ。凄い大っきいです。何を食べたらあんなに大きくなるんだろ?」

お松さんは江戸時代の人なので、まだモンスターと現代に生きる動物の区別がつかないので呑気な感想を述べている。

「お松さん、あれはモンスターですよ。ゼロ、行くぞ」

イッカク型モンスターの開けた大穴に近づく。水面を見るとバシャバシャと何かが暴れていた。

突然海に落とされて慌てたのか、二頭の白熊が溺れている。どうやらイッカク型モンスターはこの白熊を攻撃したみたいだ。

生命感知の反応からイッカク型モンスターは、まだあの白熊たちの下の海中にいることがわかる。

これも弱肉強食。自然の摂理なのかもしれないが、見てしまうと放っておけない。

普段あまり使わない飛翔スキルと真紅龍の鎧の炎の翼を使い、白熊たちの救助に向かった。