軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

120話

「なっ、まだあんのかよ! 卑怯だぞ!」

卑怯も何も、誰も鬼斬り包丁があれで全部だとは言っていない。単にあれ以上出しても、的がそれほど大きくないのだから無駄になると思ってのあの量だ。現に先ほど出した鬼斬り包丁は鬼の大技で消されてしまったのか、消滅してしまっている。残しておいて良かった。

鬼は必死に襲いくる鬼斬り包丁を捌いているが、かわしきれず次第にダメージを負っていく。さらに撃ち終わった鬼斬り包丁は収納で回収できるので、魔力が尽きない限り強化投射で撃ちだすことができた。

「がっ、馬鹿なお前どんだけあるんだよ」

「教えるわけないでしょう」

魔力が尽きたのか鬼が再び炎や大技を使う様子はない。腕も上がらなくなってきたのか、次第に鬼斬り包丁を捌ききれなくなり、ついにその刃が鬼の胸を貫いた。

「カハッ、畜生……ここまで、か」

後ろに倒れ仰向けになる鬼。その長く青い髪が床に広がる。む? まだ消えないか。きちんとトドメを刺そうとすると、鬼が話しかけてくる。

「なかなか……楽しかったぜ。お前、名前はなんて言うんだ?」

「……」

知ってる。こういう時安易に名前を教えたりすると、呪いがどうこうとか道連れにされたりするんだ。ゲームや漫画で散々見てきたパターンだ。

鬼の問いかけは無視して追加の鬼斬り包丁を放ち、楽にしてやる。

「ゴフッ、お前……マジかよ……」

そう言い残して鬼は黒い霧になって消えていった。ふぅ、なんとか勝てたな。思いもよらない強敵の登場に焦ったが、乗り越えることができた。

ゼロとシュナイダーとお互いの健闘をたたえあい、無事で良かったとひとしきり戯れる。するとゼロが少ししょんぼりとした様子で、すまんと謝ってきた。

「ん? どうして謝るんだゼロ」

キラキラを欲しがらなければ良かったと言ってくる。あぁ、なんだ自分のせいでピンチになったと思っているのか。

「なんだ、そんなこと気にしてるのか。良いんだよゼロ。最終的に回収したのは自分なんだし、それにああしなきゃあの鬼とも戦えなかっただろ? 一番の目的はモンスター図鑑の完成なんだから、これで良かったんだよ。むしろグッジョブだったよ。それに皆無事だったしね」

シュナイダーも結果オーライだよ。とゼロをペロペロと舐めて慰めている。こちらの言葉に少しは気が楽になったのか、そうかとホッとした様子のゼロ。結構繊細なところがあるんだよな。そこがまた良いところでもあるんだけど。

本当に結果をみればお宝を回収して正解だった。いらないと放置していった場合、あの鬼と遭遇できたかどうか……何はともあれ、鬼のドロップ回収と図鑑の確認をしよう。

113番 蒼炎姫(そうえんき) 鬼羅螺(きらら) アイテム1 蒼炎姫の炎髪 アイテム2 スクロール(蒼炎術) アイテム3 蒼炎姫メダル

ふむ。やっぱり女性型モンスターだったのか。あの見た目だもんな、しかし一人称が俺様だったのと身体の一部がささやかだったために一瞬男かと思った。

そしてドロップだが、あの長く青い髪が大量に手に入った。グラデーションが綺麗だが、髪って知っているとなんだかホラーじみている。どういう用途で使うんだろう……やっぱり交換所か?

蒼炎術はわかりやすく、あの青い炎を操ることができた。といっても各種魔法のように決まった形があるわけではなく、身に纏ったり自分の動作に合わせて炎が動いたりと、ゲームでいうエンチャントとかそういう感じの術だった。

「これはこれで扱いやすいかもな」

使いこなすには慣れが必要そうだが、見た目もカッコいいし良いかもしれない。どういうわけか炎を纏っている自分は熱くないし、服も燃えない。

喋るモンスターと会ったのは乙姫についで二体目だったが、確かに強かった。炎熱耐性や真紅の龍鎧で炎に耐性がなければ、もっと苦戦していただろうな。MVPは鬼斬り包丁だったが、火力面は黒龍剣でも時間をかければなんとかなったかもしれない。

何より一番の勝因は乙姫のような理不尽なワープや、読心、こちらの動きを封じる技を使ってこなかったことにある。相手が脳筋タイプで助かった感はあるな。ステータス自体はドーピングで底上げしているので、即死がなかったのも大きい。

やはり耐性ってのは大事だ。竜宮城にリベンジする時には各種耐性を身につけて挑みたいものだ。

軽くゼロとシュナイダーと反省会をしながらダンジョンの来た道を戻る。そう、まさかの徒歩で脱出だ。テ◯ポかリレ◯トか糸が欲しい。

ボス戦で疲れた身体でも雑魚モンスターに苦戦することはなく、マッピングも済ませてあるので一本道だからさほど時間はかからなかったが、少し億劫だった。

ようやく螺旋階段のある広間へと戻ってきた。下へと続く階段を見て、そういえばまだ下があったと思い出す。少しだけ覗いて、本格的な攻略は後日からしようと階段を降りていくと、大きな扉がある広間へとたどり着いた。

「特にモンスターなんかは居ないな」

扉には鍵穴らしき物は見当たらないが、開く気配はない。手分けして広間を調べてみたが、手がかりや怪しい物は見つけられなかった。

「うーん。上の階は全部調べたしなぁ。分からん」

また開かない扉問題だ。レアポップのモンスターがいてそいつが何か落とすとか? 何にせよ今日は疲れたのでミニログハウスを出して休もう。