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作品タイトル不明

159.神話大戦と窮地

159.神話大戦と窮地

「『 畢竟星の終焉(アカシック・ノヴァ) 』」

邪神ニクスの攻撃は、次元そのものを振動させるほどのものだったが、

「≪星の未来を 紡(つむ) ぐ戦士たちよ≫」

星の女神イシスが全員に祝福を与える聖句を唱えた。

無の次元にも関わらず、春の穏やかさを感じさせるような一陣の風が通りぬけたように感じる。

「皆さんの体力や魔力が100倍以上向上したはずですよ」

難なく女神が言う。と同時に、

「我が信仰の片翼にて二十五重大結界、信仰のもう比翼にて 蘇生領域(バルム・ヘルツ) 形成(・オメガ・カイト) 」

その加護に驚くまでもなく、アリシアが邪神の即死級の攻撃を防ぐ。

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……』

一瞬、邪神の攻撃により、時空そのものが消失し再誕生したために、轟音すらも聞こえない。

無音と言う名の虚無と、暗黒の衝撃が耳目を犯す。

だが、次の瞬間には、俺たち賢者パーティー、そして勇者パーティー全員が、散り散りではあるが先ほどまでと同じ姿勢で立っていた。

「ど、どうして場所が変わってんだ……」

ビビアの呟きが聞こえるが、賢者パーティーは当然のこととして作戦を進めていく。

「大結界は私の分を除き全損壊しましたが、威力は殺せました。魂の消滅ではなく、一時的な死亡で済みましたので、無事皆さん生き返っています。場所が変わっているのは……ご想像にお任せします」

「了解した。ローレライ、アリシアは回復時間をとる。全体回復を」

「は、はい!」

「ええええええええええええええええええ!?!?! 死!? 俺が死っ……!!!!」

ビビアや他の勇者パーティーは騒ぐが、神相手には死をも織り込んで戦うのは当然だ。

「さあ、次はこの星最強の存在の力を見せつけてやれ、コレット。そして、聖獣の力を発揮せよ、フェンリル! 二人へっ……!!!」

俺は矢継ぎ早にスキルを行使する。

「≪決戦≫付与! ≪神話創成≫付与! ≪人類の剣≫付与!」

「了解なのじゃあああああああ! 我が旦那様!!! ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「我を千年閉じ込めた原因をここで取り除くのはやぶさかではないのう。わおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

コレットとフェンリルが本来の姿へと変貌する。

黄金竜と呼ばれた惑星最強と謳われた神話存在、ゲシュペント・ドラゴン。

そして、十聖のフェンリルと呼ばれたかつての星の聖獣。

その最強の存在二体がこの星のすべての加護を受けて、邪神へと襲い掛かる。

「 焔よ魂さえも(エグ・ラス・) 残さぬよう灰へ帰せ(ヒューリ) !!!」

「 雷神との契約に従い(ミョルニル・) 氷結の魔神よ降誕し(フェンリル・) その終末を示せ(ミストルティン) 」

「≪無属性≫付与! ≪融合化≫!」

本来ならば反発しあう オリジン(魔法元素) を無属性をくわえた上で融合させる。

『カッ……!』

玉座の前に立つ邪神ニクスは、その人類が生み出せる最強の攻撃を前にしても、なお避けようともせず、攻撃は直撃し次元自体が激震した。

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!??!?!」

誰ぞやの悲鳴が次元の振動に負けないほどの音量で轟く。

無理もない。

これこそが神話級の戦い。

いや、星の存続が決めるかどうかの神話そのものなのだから。

だが、その伝説の存在二人が生み出した爆心地から、次に聞こえて来た音は、悲鳴でもなく、ましてや哄笑でもなかった。

その代わりに響いてきた音とは、

『ごごごっごごごごごごっごごごごごごっごごごごごごっごごごごごごっごごご……』

そんな空気が漏れるような、鈍い、重い音なのだった。

「な、なんの音なんですか、この何とも聞いたことがあるような、ないような音は……」

ローレライが不気味がって声を上げた。

そして、相変わらず、

「ふふふ、その程度かね。諸君。本当に飽いて来た。そろそろ退場してはくれないだろうか」

余裕ぶった邪神ニクスが立っていた。

「あ、あの攻撃を受けても無事だなんて。玉座の前から動かせすらできねえじゃねえか。ひい、ひいいいい……」

ビビアが情けない悲鳴を上げる。

だが、

「いや、そうじゃない」

俺は微笑みながら首を横に振り、

「 逆だ(・・) 」

「は?」

俺の呟きに、勇者ビビアが間抜けな声を上げる。

だが、俺は構わずに続けた。

「逆なんだよ、ビビア。あいつは」

邪神は、

「玉座から1mmも動かないんじゃない」

奴には今まで俺たちに攻撃するチャンスが何度もあった。

俺たちの攻撃を防いだ時もそうだし、勇者ビビアに威力偵察をさせた時なぞ、攻撃をかわして倒すことなど容易だったろう。

だが、奴にはそれをしなかった。

なぜなら、

「 動けないんだ(・・・・・・) 」

「はぁ!?!??!」

驚嘆の声を聞き流しながら、俺は邪神を見上げ、問いかける。

「なぁ、そうなんだろう? 邪神ニクス。いや……」

俺は奴を見上げながら言った。

「偽神ニクス・タルタロス。 不死を騙りし宇宙癌(シングレッタ) 宇宙癌(・ステラ・キャンサー) よ」

その言葉に、邪神は初めて浮かべていた笑みを消したのである。